【アセクシャルのこと】このままで生きていい
この前、同世代の同僚の女の子から、仕事のあとにごはんに誘われた。優しくて、話も面白くて、いつもきれいな色やかわいい柄のお洋服を着ている、大好きな子。職場からちょっと離れて、落ち着いて話せるお店を選んだ。
コロナが流行する前にも一度、彼女からごはんに誘われていたが、気軽にごはんに行ける状況ではなくなってしまった。彼女にプレゼントしようと思って買っていたブローチは、いつか渡そうとずっと持っていた。
この機会でやっと渡せた。彼女はとても喜んでくれて、その場で着けてくれた。少しくすんだブルーのトップスに、黄色と緑の模様のブローチはよく映えた。彼女をイメージして選んだこちらも、とても嬉しかった。
食事をしながら、いろんな話をした。
職場のこと、仕事のこと、家族のこと。
彼女は数年前に大病を患い、手術をし、療養していた。
お互い、今生きていることが幸せだね、と話した。
彼女はふと、「両親が亡くなったら、姉と一緒に住むことになるのかな」と言った。
なんとなく今なら、彼女にも、話せると思った。
「ねえ、アセクシャルって、知ってる?」
彼女は知らないと言った。
私は、自分が誰かに恋愛感情を持つことがないこと、過去に男性に恋愛感情を持たれて肌に触れられたときの嫌悪感や、自分はそういうつもりがなかった行動が恋愛感情の表現と周囲に捉えられたことに対する違和感の話をした。
だからと言って、女の子に恋愛感情を持つこともない。
人にはそれぞれいいところがあって、それを見つけるとそれぞれに素敵だと思う。それが私にとってはすべてなのだ。
いつ、どんなきっかけで「アセクシャル」という言葉に出会ったかは覚えていないが、私と同じような人たちがいると知ったとき、本当に安心した。私は異常ではない、ただそういう性質を持つ人間だということを認められた。
彼女は静かに話を聞いてくれた。
話してくれてありがとう、と言ってくれた。
帰宅後、今日はありがとうとLINEをしたら、こんな返信が返ってきた。
「さっきの話も聞けて何だか私もすっきりした気がする。
私が何なのかまだよくわからないけど、このままで生きてていいんだなぁと思った。」
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