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私の心に季節外れの雪が降る

生まれて16年で、やっとSnow Manに出会えた

音楽文サイトへの投稿は8月いっぱいで、音楽文を読めるのは今年度いっぱいで終わってしまう。
多くの人が、自分の大好きな音楽を語らう場がなくなってしまうのは、とても悲しい。ということは必然的に、私もこのサイトに投稿できなくなる、ということである。私は筆が早い方では無いので、この音楽文が最後の投稿になると思う。

そう思った時に、どのアーティストを書こうかと考えた時、私は1つに選べなかった。だから、私の世界を広げてくれた、私が今まで好きになったアーティスト全員について、話したいと思う。
そのため、タイトルを見てこの文を閲覧してくださった方は、途中まで興味のない文かもしれない。だが、私は私が好きになったアーティストを、ぜひ多くの人に触れてもらいたいと思っているため、読んでもらえたら嬉しいと思う。


本題に入る前に、なぜ私が音楽を好きになったのか話したいと思う。
私は幼少期、祖母の家に行くと、必ず祖母と歌っていた。当時、祖母はコーラスをやっており、そこで歌った歌や、歌集から知っている曲を引っ張ってきて、教えて貰ったりしながら一緒に歌っていた。
それから時を経て、私が小学校5年生になった時。通っていた小学校の伝統で、学年全体で吹奏楽をやるという伝統があった。そこで吹奏楽と出会い、管楽器・ホルンと出会った。現在高校2年生となった今も吹奏楽部でホルンを続けている。
これらの出来事が私を音楽好きにさせた理由だ。
音楽好き、といってもたくさんのバンドだったりアーティストを聞いている訳では無いが、音楽好きと名乗らせていただきたい。


長い前置きはこれくらいにして本題に入ろうと思う。


私が最初にアーティストにハマったのは小学校3年生。
並外れた高音と透明度の高い声、彼によって紡がれる色彩豊かで、まるで物語のような音楽に惹き付けられた。
私がハマったのは、歌い手・まふまふだ。
まふまふは、豊かな声域と少し難解な歌詞、彼にしかない世界観で数多の人を魅了している、ネットシーンに現れた稀代のマルチクリエイターである。
当時友達がおらず、学校が憂鬱だった私に突然まふまふという光が差した。

『そう全部知っていたんだ 生きていくこと
 そんなものに何も意味は無くて』/永眠童話

『いっそ
 何もかも消えてしまえ
 全てが狂った世界だ』/ベルセルク

『ああ 人生とかいう罰ゲーム』/罰ゲーム

当時の私にはまふまふの作る曲が、何よりも生きる糧だった。
世の中の明るい部分の側面を切り取ったような、鋭く尖った歌詞。
前向きな歌詞の曲を聴き続けていると、逆に「なんで私はこんなにうまくいかないのだろう?」と思うことが小学生ながらにあった。その中でまふまふの曲は負の感情を肯定してくれる、いや、代弁してくれた。
まふまふの言葉は慰めであり肯定であったと思う。
でも、まふまふの作る曲は俗に言う、暗い曲だけではない。歌い手・そらるとのユニット、After the Rainの曲は比較的、キラキラと明るい曲が多い印象を受ける。

『どれだけ今日を捨てたって
 つまり誰かが望んで描いた昨日だろう』/セカイシックに少年少女

『君をまだ好きしている
 あの夏の向こうで何回だって恋している』/彗星列車のベルが鳴る

『頬の下紅葉雨催い
 憂いを傘で寄り添う理由に』/四季折々に揺蕩いて

だがしかし、一貫して死生観を歌うという面では変わらないものがある。
上に載せた楽曲は、どれもハッピーエンドではない。あくまでも私の価値観であるが。
そして死生観のほかにもう一つ、魅力的な部分がある。
それは、日本語ならではの美しい歌詞だ。
まふまふの真骨頂とも言われている「和ロック」はそれが顕著に表れる。

『桜花 ボクは恋に落ちた 水面の月を求めた
 されど手遊ぶはガラスの色
 千の夜が瞬く間に闇夜を縫って君を隠す』/桜花ニ月夜ト袖シグレ

『君と辿る
 月夜を拒むほどの遣らずの雨』/夕刻、夢ト見紛ウ

『遊里に咲く雪月花
 霞む私は朧月』/朧月

聞いても美しい、見ても美しい。
難解に見えるが、よく考えるとニュアンスになって自分の手に落ちてくる。そんなところがまふまふの作る歌詞にはあると思う。
聞けば聞くほどまふまふの作る音楽に溺れて、ほかの音楽なんて耳に入ってこなかったある日。

「明日、欅坂がテレビに出るんだよ!!」

妹の声がやけに鮮明に聞こえた。
私が中学2年生。まふまふにハマってから実に6年経った日のことである。
朝から妹のテンションが高く、理由を聞けば欅坂46がテレビに出るから、らしい。
私は小学生の時に少しだけAKB48を齧ったが、それ以来アイドルに興味は湧かなかった。
音楽を聴くのは嫌いではないし、妹の好きなグループの歌を少しでも聞いてみたいと思った。
ついに欅坂46の出番。だが画面に不動のセンター・平手友梨奈は見えない。
代わりにセンターを務めたのが、この後私の推しとなる、鈴本美愉である。
披露する曲は"アンビバレント"

パフォーマンスが始まったと同時に彼女は髪をかきあげ、鋭い眼差しをカメラへ送る。
ズボンの裾を揺らすと同時に彼女のふんわりとした髪の毛も揺れ、独特の空気を身に纏う。
キレのある踊りに豊かな表現力。私を虜にするには十分すぎる材料だった。

『好きだと言うなら否定しない
 嫌いと言われたって構わない
 誰かの感情 気にしてもしょうがない』/アンビバレント

従来の女性アイドルにはない歌詞にも頭を殴られたような気分になった。
調べれば調べるほど、彼女達の奥深さを知っていく。

『理解されないほうが よっぽど楽だと思ったんだ』/エキセントリック

『世の中の常識に傷つくのなら
 君の代わりに僕が炎上してやるさ』/避雷針

現代の若者の気持ちを代弁するかのような歌詞。彼女たちの一心不乱な踊りと成熟しきらない声で紡がれる歌は刺さるものがある。
そして彼女たちの魅力はこれだけではない。

『涙に色があったら
 人はもっと優しくなる』/世界には愛しかない

『君と僕はラブラブで
 付き合ってるってこと』/手を繋いで帰ろうか

今までのアイドルのようなキラキラした曲も歌えるというところだ。
ギャップにやられた人もファンの中には少なくないだろう。
気分によって聞く曲が選べて、いつの日も寄り添ってくれる。そんな曲を彼女たちは歌っている。
次に欅坂46の曲に溺れた私は2020年1月、ある出来事によって現実に引き戻された。それは推しの卒業である。先述した鈴本美愉が欅坂46から卒業することになった。そこから私は前までのような熱狂的な感じになることもなく、曲を聞いて静かに応援するようになった。

それから10ヶ月ほど経ったテスト期間のとある日。
休憩を兼ねてYouTubeのおすすめ欄をスクロールしていると、とあるグループのMVが出てきた。楽曲名は最近よく耳にするが曲全体は知らない。興味本位で聞いてみようとその動画を再生した。
聞いて、まず惹かれたのは音。電子サウンドから始まる曲は新時代を象徴していてなんとも新しい。そして画面内で次々に展開されるダンスとアクロバット。
そう、私が次にハマったのはジャニーズ・Snow Manである。
私が最初に見たMVはSnow Manのデビュー曲"D.D."だ。
白を基調とした空間に衣装。圧倒的な歌と踊りの力で魅了する彼らに、歌詞の通り『The time has come』彼らの時が来ていると感じた。そして私が聞いて凄いと思った歌詞が『頂上見せてあげよう』だ。デビュー曲でこんなにも強くファンに一番高いところからの景色を見せると宣言するグループはあまりいないのではないだろうか。この歌詞を歌えるのは、長年自分たちが努力してきてやっと掴んだスタートラインであり、自信がないと歌えないと思う。ずっと長く応援してきたファンはこの歌詞で撃ち抜かれたと思う。私はこの時点でファンでもないのに撃ち抜かれた。
次に聞いた曲は"KISSIN'MY LIPS"
イントロは音の繰り返しで、これから何が来るのだろうと聞く人を期待させる構図に。歌が始まってみると……英語。
驚くべき2ndシングルは全歌詞英語。歌詞を理解するのに時間がかかって、何度も歌詞を見て和訳を試みた。和訳するとなんとも艶やかな歌詞。
D.D.とも少し変わった落ち着きのある大人っぽいダンス。ギャップが凄すぎて暫く何も考えられなかった。
そして次に聞いたのが"Boogie Woogie Baby"
後にこの曲が私のSnow Manの中で1番好きな曲となる。
そこで強く胸を打った歌詞が『怖いものは無いよ』
この歌詞を聞いたときに涙が出て、なんでこの人たちはこんなに歌に説得力があるのだろうと思った。それは歌を聞いて理由がわかるものじゃないと思い、あらゆる媒体を使ってハマりかけているSnow Manを調べた。

今の情報社会は凄い。私が調べようと思ったことに付随して少し踏み込んだことも教えてくれる。
Snow Manは元々6人組だったらしい。そこから3人が加入して現在のSnow Manの形となった。メンバーの中には、ジャニーズJrを15年以上続けている人もいて、同期がもう既にいない人もいる。越境してきた人もいれば、大きく年齢が離れていたり、元居たグループを離れた人もいる。
彼らのデビューは「やっと手にした」デビューだったのだ。
それぞれがたくさん頑張ってきたからこそ、頂上を見せるという歌詞も、怖いものは無いという歌詞もあれだけ説得力があるのだろうと思った。そんな彼らはこれから先ずっと、季節外れの雪を降らせ続けるだろう。

Snow Manを調べ、曲を聞き、ハマったと言える時に思ったことがある。
私はこれほど素晴らしいアーティストに出会うのに16年かかったのか、ということだ。
誰しもアーティストにハマったときに、少しは思うだろう。なんでもっと早くハマっていなかったのだろう、と。
でも私はこの形でSnow Manを見つけて、好きになることができてよかったと思っている。これも巡り合わせだと思うからだ。
あの日、YouTubeを開くことがなかったら。
あの日、私がD.D.のMVに興味を持たなかったら。
今テレビの前で、スマホの前で、Snow Manを応援している自分はいないのだ。


私の心に季節外れの雪が降るまでに、たくさんのアーティストにハマってきた。
そのアーティストたちは今も私の胸にいて、いつも支えてくれている。
音楽はいつだって自分たちの傍にいて、喜怒哀楽に寄り添ってくれるものだ。
音楽が不要不急と言われるようになってしまった今、伝えたいことがある。
それは、音楽は最高だ、ということだ。
たくさんの人が、私のように音楽を楽しんで、好きになれる日が来ることを願っている。



[引用]
『』内歌詞はUtaTenから引用。
   " "内、/ 以降の言葉が楽曲タイトル。

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