時空を超えて人々の心を揺さぶる。
昨日は、名古屋へと行ってまいりました。
朝、自宅を出発して
豊橋駅より東海道線に乗り金山駅下車、
地下鉄名城線へ乗り換えて矢場町駅で降りてからの
最初の目的地はね、松坂屋美術館にて
「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」
を鑑賞いたしました。
キース・ヘリングさんの作品について、
シンプルな線とカラフルな色で描かれる人間や犬の絵、
というイメージは持っていたですが、
詳しいことは存じておらなくって。
たとえば、1958年生まれのキース・ヘリングさんは、
ご自身がLGBTであることを公表され、そして、
1990年、エイズによる合併症により31歳で亡くなられた。
つまり、キース・ヘリングさんの
アーティストとしての活動期間は約10年であったこと、
また、そのご活動においても、ニューヨークの
ポップカルチャーだけでなくって、
HIV・エイズの予防啓発運動、そして
社会における差別及び不平等と闘われていたこと、
そのようなことを存じながら、その意志を感じながら、
作品を鑑賞することによって、
シンプルかつカラフルで鮮やかな作品が、
さらに鮮やかに観えてくるようでした。
はたまた、このうえのところでぼくは、
シンプルな線とカラフルな色で描かれる人間や犬の絵、
と申しあげましたが、それはそうなのだと存じますが、
線や色はシンプルと言えども、
描かれている内容は、じつは
とっても複雑と申しますか、つまり
たくさんの要素が描かれるかのように込められていて。
ひとつひとつの作品から、そのような
たくさんの要素を、すこしずつ
見つけるように鑑賞していたら、
鑑賞する時間も結構かかっていたんだけれども、
展覧会、たのしかったなあー。
キース・ヘリングさんのことで思い出すのはね、
数年前、ぼくが現在勤めている学習塾にて
講師のお仕事をし始めたころ、当時の
中学三年生の女子生徒さんたちが、学校の
美術の教科書でキース・ヘリングの作品を見たらしいけれど、
「キース・ヘリング、超良い〜!!!」
とのように言っていて、ぼくも
「キース・ヘリング、かわいくて、かっこいいよねー」
って話していたことなのでして。
今、思えば、学校の美術の教科書って
いろいろな時代のいろいろな作品が掲載されていると思うけど、
でも、そうなると、どうしても
ひとつひとつの作品の掲載は小さくなってしまう。
そのようなときにね、キース・ヘリングさんの作品は
縮小されて小さなサイズで掲載されたとしても、
つよい、と申しますか。
つまり、作品が
目に飛び込んでくるかのごとく認識できる、
というのもあるだろうし、また、そのように
掲載された作品からでも、つよいメッセージ性を
感じられるかのようで、生徒さんたちは
美術の教科書からでもそのようなことを感じ取ったやもしらない。
展覧会の公式サイトでは、キース・ヘリングさんについて
【社会に潜む暴力や不平等、HIV・エイズに対する
偏見と支援不足に対して最後まで闘い続けた
ヘリングのアートは、時空を超えて
現代社会に生きる人々の心を揺さぶることでしょう。】
とのように記されているのですが、
あのとき、生徒さんたちが話していたのは、
まさに、時空を超えて
人々の心を揺さぶっていた、と言えるのだろう。
そして、昨日、ぼくもまた
心を揺さぶれたかのようだったなあ。。。
このたびの「キース・ヘリング展」の中で
好きだなあと感じた作品はたくさんございますが、
そのなかでもね、ひとつの作品の中で
マンガのコマのようにいろいろなシーンが描かれている
『Retrospect』という作品、かっこよかったなあー。
鑑賞後、この作品のポストカードも購入して、
今、ポストカードで『Retrospect』の作品を観ながら思うのは
やっぱり、ポストカードではどうしても
作品のサイズは小さくなってしまうけど、
それでもそんなことはまったく関係なくって
作品の中のそれぞれのコマの中のシーンが、
生き生きと鮮やかに動いているようだなあ〜。
令和6年10月14日