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偲ぶ家。

父の葬儀、および、
斎場での火葬収骨までのすべてが終わり、
家へ帰宅したのは、たしか、
夜の七時半ごろだったかな。

そのとき帰宅した家は、
もちろん、誰も居なくて、
部屋の電気もついていないから、
暗いと言えば、暗いんだけれども。

でも、いつも、
同じような時間で帰ってくるときにはさ、
もうちょっと、なんか、
ふつうの暗さ、とゆうか、つまり、
とくに気にもしない程度の暗さなんだけど。
この日はね、みょうに、
いつも以上に、
家が、暗いように感じられた。

これは、たぶん、
「葬儀を終えて帰宅した」という、
ぼくの心持ちの表れなのだと想うけど。
ぼくは、なんだか、
この「家」がさ、意思を持ちながら、
「家」が、父のことを悲しみ、
偲んでいるように感じたのよねえ。

そして、玄関を開け、
部屋の電気をつけて、
持ち帰ったお骨壷や遺影や白木位牌等を飾る
「後飾り」を和室に設置して、
ろうそくに火を灯し、
お線香を供える。

この日は、まだまだ、いろいろ、
これからの日々のことを
不安にも感じながら、
ぼくと母は、二人で、
帰宅した父に手を合わせた。

令和2年12月18日