「あなた」と「あなたたち」という意味があるとするならば。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『メッセージ』でね、
地球上空に現れた宇宙船の中に居る
二体の地球外生命体へと、この生命体たちが
地球にやって来た目的を訊ねるため、
彼ら生命体たちとコミュニケーションを図るシーンがあって。
どのようにコミュニケーションを取ればよいか、
というミーティングにおいて、ある言語学者がチームに対して
【“What is your purpose on Earth?(地球に来た目的は?)”
ということを訊くのよね?】
と語られる。さらに、ここで
【次に明確にすべきなのは
“あなた” と “あなた方” の違いよ
必要なのは 個々の情報ではなく
全体の目的だもの】
とのように提案する。
つまり、宇宙船の中には
ふたりの生命体がおられて、このとき
「あなたが地球に来た目的は?」と
「あなた方が地球に来た目的は?」とでは、
質問の主旨が変わってきて、わたしたちが訊ねたいのは
「あなた方が地球に来た目的は?」
のほうだから、とのことなのだと存じますが。
英語の「you」には、
「あなた」という意味だけでなく、
「あなたたち」という意味も含まれる、
というのは学校の英語の授業でも習ったけれども。
この映画の場面において、言語学者は
「What is your purpose on Earth?(地球に来た目的は?)」
という質問における「your(you)」を、
「a specific "you"(個人のyou)」と
「a collective "you"(集団のyou)」として区別された。
映画『メッセージ』のこのシーンを観ながら、
英語の言語ってそういうふうになっているんだあ!
と思いまして。つまり、たとえば、
一人称の「I」と「we」、及び
三人称の「he・she」と「they」では、
単数と複数で語句が異なるけど、
二人称の「you」においては
単数と複数で語句がおんなじになっている。
だからこそ、地球外生命体の彼らに対して
より正確に質問をするため、言語学者は、
単数の「you」を「a specific "you"」、
複数の「you」を「a collective "you"」とに分けて、
質問をしなければいけない、と語られていた。
たとえば、日本語の言語では、
「わたし」と「わたしたち」、
「彼・彼女」と「彼ら・彼女ら」、
「あなた」と「あなた方」のように、単語の後ろに
「たち」「ら」「方」等のことばをつければ、
それだけで複数だと示すことができる。
こういう言語のちがいってば、もしかしたら
英語や日本語だけでなく、ぼくは
その他の外国語はまったく存じないけれども、
あらゆる言語によって、いろいろ、
それぞれ特徴があるのかもしれないな。
‥‥と、これらのことを
あらためて思っていたのはね、先日、
Mr.Childrenのライブを観たからなのでして。
ここで、そう言えば、って思い出すのは
Mr.Childrenの桜井さんが、以前のライブのMCの中で
【"you" っていうのは、
「あなた」っていう意味と
「あなたたち」っていう意味があるそうですよ。
もちろん、ご存知ですよね(笑)。(会場拍手)
この会場に居る「あなた」と「あなたたち」と、それから
ここには居ない「あなた」と「あなたたち」に、
この歌を歌わせてください。】
とのようにおっしゃってから、ギターの弾き語りで
『Your Song』という曲を演奏されていたことなのだけれども。
(30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス
2022.5.10 東京ドーム公演より)
このことより鑑みるとするならば、Mr.Childrenの
最新アルバム『miss you』だってもね、
先日のぼくのブログでは、この「miss」の語句とは
結婚をされていない女性への敬称なのだと考えれば、
つまり、このアルバムとは
男性を表す「Mr.Children」から
女性を表す「miss you」へと宛てられた
ラブレターのような作品なのかもしれない、
と申しあげました。
そこからさらにね、
この『miss you』の「you」もまた、
以前、桜井さんのおっしゃっていた
「あなた」と「あなたたち」という意味があるとするならば、
たとえば、このアルバムを聴く人たち、
ライブを観ている人たち、及び、
今回ライブには来られなかったけど
Mr.Childrenの音楽を愛するわたしたちみんな
(ぼく自身は「miss(女性)」では無いにしても)に対して、
表現をなされている作品なのかもしれない、
とも思ったんだった。
そう感じながら、あらためて
映像作品「Tour 半世紀へのエントランス」にて、
『Your Song』を観ていたら、また
涙ぐみそうになってしまったなあ〜。
そして、さらにはさ、
Mr.Childrenの音楽の中で登場している
あらゆる「you」についても、すべて
このように解釈できるやもしらない。。。
君と僕が重ねてきた
歩んできた たくさんの日々は♪
令和6年10月16日