そのときの時間でしか撮れない。
先日、とあるオンラインショップのセールで
『天然コケッコー 完全盤 Original Soundtrack by rei harakami』
のCDを購入いたしまして、最近は、この
rei harakamiさんの音楽を聴いていたのですが。
ぼくはこのサントラになっている山下敦弘監督の映画作品
『天然コケッコー』を観たことがなくって、映画の
タイトルは存じていて、そして、映画が公開されました
平成19年当時、鑑賞したい! とは思いながらも観られず、
なので、今回、サントラ購入のご縁として、
映画『天然コケッコー』のDVDを図書館で借りてきて、
昨日、観ました〜。
とっても素晴らしかったなあ!
映画のストーリーとしては、小学生中学生合わせて
全校生徒六人の田舎の分校に通う中学二年生の
右田そよ(演・夏帆さん)の学校へと、
ある日、東京からそよと同じ中学二年生の
大沢広海(演・岡田将生さん)が転校して来る、
という場面よりスタートするのですが。
全校生徒六人の学校ならではの日々の出来事であったり、
田舎だからこそ起きるかのような町の出来事であったり、
そよたちが話す方言であったり、
また、DVDパッケージ裏面の作品紹介には
【山と田んぼが広がる木村町】と記されていて、
この「木村町」という町名は、
くらもちふさこさん原作の漫画作品で登場する
架空の地名らしいですが、Wikipediaによれば
くらもちさんの母方のご出身地である
「島根県浜田市」周辺がモデルとのことでして、
映画でも浜田市が主なロケ地となっていて、その
山あいや自然や田園と稲穂の風景が素敵だったり、
それらの雰囲気の中に、rei harakamiさんの
音楽がふわりと流れてくる、というような、
本編121分のあいだ、この感じを
ずっと愛おしく観ておりました。
そして、映画公開より17年が経った今、
映画を観てみると、ここで映されている光景とは
そのときの時間でしか撮れないものなのではないか?
とも思えてきて。つまりはさ、たとえば、
映画のセリフでも言われていたけれど、その後
この学校は廃校してしまったやもしらないし、
そよと大沢が中学三年生になったときの
修学旅行で訪れた東京の街並みもまた、
現在とはかなりちがっているだろうし、そして、
当時10代だった夏帆さんや岡田将生さんのお姿だっても
このときだからこそ観ることができる、とも思えるから。
そんなことを感じたら、この映画を公開当時に
観たとしても感じなかっただろうはずの感情が、
湧きあがってくるかのようで、
なんだか、じーんとしてしてきたのよね。
映画『天然コケッコー』の主題歌は、
くるりの『言葉はさんかく こころは四角』なのでして。
ぼくはこれまでこの曲の中で歌われている
歌詞の意味がよくわからなかったけど、
今、この映画を観ながら思ったのはね、
映画の場面では、そよが
何気なく言ってしまう一言によって、
まわりのだれかがすこしだけ傷ついてしまう、
というようなシーンが幾度かあって。
そのことより鑑みれば、つまり、
「言葉」は三角形の形をしていて、また
「心」は四角形の形をしているようだからこそ、
うまいことハマらないんだけれども、
でも、そこから、どうしたらよいか?
を考えようとする大切さ、
みたいなことが歌われているのかなあ?!
って。そしてさらには、
「涙」はまあるい形であって、そのような、
言葉、心、涙、それぞれに
いろいろな形があるんだろうなあ、とも思ったんだった。
そう思ってみると、なんだか、この
『言葉はさんかく こころは四角』という歌が、
もっと好きになってきたようにも存じます。
サントラCD封入のリーフレットでは、
くるりの岸田繁さんによる、平成23年に亡くなられた
rei harakamiさんのことが記されていて、
その文章が、もう、とっても素敵で、
なんだか泣けてきてしまったなあ。。。
令和6年8月4日