【米MBA社会人留学】3つのタイプとお勧めの対象者
この記事は、米MBA/大学院留学に関して、興味はあるけど何から調べたらいいか分からない…と言う方向けです。私も1年前はそんな状態でした。
MBA受験の入り口として、まずはどのような種類のMBAがあるのか。この記事では網羅的にどのような選択肢があるのかを、私の理解の範囲で紹介します。
海外MBAと一言で言っても、いくつか種類があります。想定している年齢層や、学べる内容、卒業後のキャリアも変わります。
自分の場合、結果的にMITの経営大学院 (MIT Sloan) に合格できました。受験を決めた当時は、仕事、家事、育児で忙しい中、膨大な大学の数や種類をどうリサーチし、受験校を決めればよいのか、完全に迷走していました。
知ってしまえば何て言うことはない情報ですが(こんなことも知らずに受けようと思ったのかい!という突っ込みはご尤もです)、手探りの自分にとってはかなり時間と労力の消費だったので、これからMBA受験を考える方の、とっかかりになればと思い、記すことにします。
(日本からの大半の方は社費のようなので、ここら辺の情報は、会社からの学校指定や、先輩からの情報もあり、良く言うとボトルネックにならない、悪く言うとあまり選択肢がない、と言う感じのようです。私のように私費の方のご参考になればと思います。)
先に3つの学位のこと
まずはここ。私は最初にここでつまずきました。
なにげなくMBAと言っていましたが、厳密には似たようなのを含め種類がいくつかあるようです。
MBA - Master of Business Administration
MIM - Master in Management
MS - Master of Science / Master in XX (in Management 等)
基本的にはMBAが多いようですが、私のようにMid-Careerだと他の選択肢が混じってきます。あえて特記が無い限りは、この記事においては、便宜上、これら全てを含んで "MBA" と呼ばせてください。
海外MBAの3つのタイプと4つ目の選択肢
さて気を取り直して…。海外MBAは大きく分けて3タイプあります。そこに加えて、前述の4つ目の選択肢も入れて整理します。
2年制 Full-Time MBA
1年制 Full-Time MBA
Executive MBA (Part-Time)
Master of Science / Master in XX (Full-Time)
それぞれみていきます。
① 2年制 Full-Time MBA
巷でMBAと言えば、通常はこれを指し、一番有名で一般的なタイプではないでしょうか。
年齢:20代から30代前半
社会人経験:有する方が好ましいが、必須としていない場合が多い
期間:2年間(アメリカの場合は9月入学、5月卒業が多い)
社費 vs 私費:日本からは社費が圧倒的に多いが、海外では私費がメジャー
授業:月~金(または月~木)など、フルタイム
仕事:休職または退職した上で入学
卒業後:戦略コンサル、金融などへの転職や、起業が多いが、派遣元企業に戻る人も少なくない。就活が必要な人は、通常1年目が終わった夏にインターンをする。
② 1年制 Full-Time MBA
3つのタイプのうち、一番馴染みが薄いのがこれではないでしょうか。
私が今回入学するMIT Sloan Fellowsもこれに当たりますが、受験を考えるまでは私も都市伝説レベルでしか存在を知りませんでした。いわゆる、Mid-Career向けと呼ばれるプログラムです。
年齢:30代中盤~40代以上
社会人経験:10年以上など下限の目安を設定している場合が多い
期間:1年間
社費 vs 私費:日本からは社費が圧倒的に多いが、海外では私費がメジャー
授業:月~金(または月~木)など、フルタイム
仕事:休職または退職した上で入学
卒業後:キャリアシフトや起業を目指す人も多いが、これまでの経験を生かした転職が多い、また派遣元企業に戻る人も少なくない
※ただし、アメリカ以外のMBAの中には、若年層を対象にしている2年制と対象は同じだが、期間は1年間のものもあるようです(例:INSEADやLBS)。
③ Executive MBA (Part-Time) - 略してEMBA
MBAを意識している人にとっては、そこそこ耳にすることがあるかもしれません。
年齢:30代後半~40代以上
社会人経験:年数の下限のほか、立場的にExecutiveであることが目安(なにをもって "Executive" というかは曖昧ですが、例えば私は「経営層」ではないですが、部門長などを務めていて、部下が30名ほどおり、それで十分、EMBAの対象になるそうです)
期間:1年~1.5年など
社費 vs 私費:通常は会社から派遣されることが多い (Executive Trainingの一環として)
授業:週末や夜、オンラインなども取り入れられる(いわゆる「パートタイム学生」)
仕事:在学中もフルタイム勤務「必須」のところが多い
卒業後:企業派遣も多く、フルタイム勤務が必須でもあることから、卒業後の転職は視野に入らず、現職でさらなる活躍を目的としていることが多い
④ Master of Science / Master in XX (Full-Time)
私にとってはこれがやっかいでした。冒頭で書いた学位の種類に相まって、選択肢がどんどん枝分かれしていく感じです。詳しくは後述しますが、1年制MBAとの違いが、よくよく調べないと分からなかったり、同じプログラムでいずれも取れたり(私が通うMIT Sloanがそのパターン)、リサーチに時間を費やすことになりました。これを書きながらも、いまだに全体像はたぶんよく分かっていません(自分に関係あるところしか調べていないため)ので、その点ご了承ください。
年齢:20代後半~誰でも
社会人経験:下限なし
期間:1年または2年
社費 vs 私費:通常は私費だが研究職の場合は社費も?
授業:月~金(または月~木)など、フルタイム
仕事:休職または退職した上で入学
卒業後:キャリアシフトや起業を目指す人が多いが、研究職の場合は企業派遣も少なくないのでは?
自分に合うタイプを見つけるには
まず整理すること
自分に合ったプログラムを特定するには、まずは①②③④を絞った上で、学校を絞っていくことをお勧めします。学位の種類は、具体的に取りたいものが決まっている方以外は、いったん脇に置いておくので良いかと思います。
そのためには、まずは以下を整理する必要があります。
自分が置かれている状況
新卒か、社会人経験があるか
有職か、無職か
社費か、私費か
休職制度があるか、何年仕事を離れられるか
何を目的として留学するのか
転職 and/or 給与アップ
現職でのステップアップ
現地就職
英語上達、など
何を学びたいのか
ビジネス(卒業後、戦略コンサルや金融に転職したい場合など)
ビジネス以外(よくあるのは、公共政策系)
など
簡易的な図にするとこんな感じです(クリックすると拡大します)。
例えば、一番一般的な例として、社会人経験が5年くらいで、卒業後は外資のビジネス系に転職がしたいのであれば、迷わず①2年制MBAとなります。MBAを考える人のほとんどはこれに該当するのではないでしょうか。
一方で例えば、社会人経験が10年以上あり、管職職の場合、②1年制と③EMBAの選択肢がありますが、②は原則休職か退職が必要な一方、③は条件として (1) 現職が日本の場合、アメリカでのオンキャンパス授業のためには頻繁に渡航ができる、または (2) アメリカで勤務している・できる、または (3) 完全オンライン授業の場合は時差でアメリカ時間(日本の真夜中…)の授業を受けられる、など、そこそこハードルが高い条件のいずれかをクリアする必要があるので、結果的に選択肢から外れることも考えられます。
また①②は受験のタイミングで有職であることを必須とされないことが多いですが、③はExecutiveでフルタイム勤務者が対象のため、受験のタイミングで無職の人は対象外となることが多いようです。
これ以外に、学費や場所など、個別の事情も当然考慮する必要がありますが、まずは上記の基本的な条件で絞っていくと、おのずと①②③ (④) のどれに自分が該当するか、どれなら受験・通学可能かが絞られるため、まずは消去法で①②③のどれに的を絞るのか決めるのをお勧めします。
Wikiにもここら辺が少し書いてありましたので載せておきます。
私の場合
私は当初、上記の条件的な全体像が全く見えておらず、また②の存在も都市伝説レベルでしか知らなかったので、かなり惑わされてしまいました。
その上、人類学や社会学(ダイバーシティ等)などビジネス以外にも興味があったので、自分が受けるべきは、MBA(②)なのか、MSや他のMaster(④)なのか、最後の最後まで迷ってしまいました。
私はかなり迷走した方だと思います。何せ、MIT Sloanの1年制プログラム(②)である、MIT Sloan Fellowsに10月頭に受験した当時、12月願書締め切りのHarvard Kennedy School (HKS) の公共政策プログラム MC/MPA(④ 1年制で社会人経験が長い人が対象のプログラム)もまだ受験するつもりでした。
今から思えば、HKSは学習内容も願書の内容も全く異なるので、早々に選択肢から外してよかったのですが、自分の学習内容が必ずしもビジネスだけではなかったり、将来教育の分野にもいきたい気持ちがあったりと、自分の目的が絞られていなかったのが要因だと思われます。
MITの願書を出し終わった後にHKSを本格的に調べ始めて、あ、ちょっと違うな(これはこれですごく面白そうだけど…)と思い、外しました。願書締め切り2ヶ月前のことです。(なんて綱渡りな)
5月末に受験を決めて、最初の願書締切(MIT)まで実質4か月しかなかったので、仕方がないといえば仕方ありませんが、最初から上記のような全体像の整理を理解していれば、もっと早くに判断できたと思います。だれか最初に教えてよ~、と心底思ったので、今回記事にまとめてみました。
ちなみに、自分は最終的にどこを受けたかというと、②のMIT一択で、④Harvard Kennedy Schoolも、他の①③も受けませんでした。②はMIT以外にスタンフォードのMSxというプログラムが有名・人気で途中まで検討していましたが、最終的には受けませんでした。
その思考プロセスも誰かの参考になればと思い、最後は、実際の学校名を踏まえて①~④を整理してみます。
各タイプの学校の選択肢
アメリカでは、学部の大学で一番古くからある東海岸の名門大学8つをまとめて、Ivy League(アイビーリーグ)と呼びますが、MBAでも、M7(Magnificent 7)という呼び方があるそうです(受験を考えるまで知りませんでした)。
学部のアイビーリーグ (8校)
ブラウン大学
コロンビア大学
コーネル大学
ダートマス大学
ハーバード大学
ペンシルベニア大学
プリンストン大学
イェール大学
※アルファベット順
※なお同じく名門とされるスタンフォード大学やMITは、「アイビーリーグ」には入りません。その理由は単純に、「アイビーリーグ」という名前の発祥が、東海岸のスポーツリーグに由来しているためで、東海岸ではないスタンフォード(西海岸)や、スポーツリーグに入っていなかったMITは、アイビーリーグには含まれないためです。
MBAのM7 (7校)
シカゴ大学 (Chicago Booth School of Business, or "Booth")
コロンビア大学 (Columbia Business School, or "CBS")
ハーバード大学 (Harvard Business School or "HBS")
マサチューセッツ工科大学 (MIT Sloan School of Management, or "Sloan")
ノースウェスタン大学 (Northwestern Kellogg School of Management, or "Kellogg")
スタンフォード大学 (Stanford Graduate School of Business, or "GSB")
ペンシルバニア大学 (the Wharton School at the University of Pennsylvania, or "Wharton")
※アルファベット順
M7は、「東海岸」といった縛りはないので、唯一西海岸のスタンフォードも入っています。
ちなみにアメリカのMBAは、上記の "" にある通り、「通称」のようなニックネームがついています。コロンビアやハーバードのように、単なる頭文字のこともあれば、シカゴやMITのように、MBAを提供する学校そのものの名前で呼ばれることもあります。
M7の学校は、当然のように、①2年制プログラムは提供していますし、それがメインのMBAとなります。
一方で、②1年制プログラムは、私も存在をほとんど知らなかったくらいで、実際、M7の中では2つしか存在しないようです。
MIT Sloan Fellows Program
Stanford MSx Program
(上記とは別に、コロンビア大学にJ-Term という16か月のMBAプログラムもあるようです。ただ調べてみると、これの対象者は、Mid-Careerというよりは2年制MBAと同じ若年層なので、MIT Sloan FellowsやMSxとは少し趣旨は異なるように見えるので、ここでは割愛します。)
細かい特徴や得意分野などは多少異なるものの、②の主な趣旨としては、社会人経験が10-15年以上あり、できれば管理職経験もあり、でも④EMBAではなく、フルタイムでMBAを学びたい人向けの、1年プログラム、です。
ちなみに、ここで学位について補足しておきます。
MIT Sloan Fellowsは、入学後、(1) MBA、(2) Master of Science in Management、 (3) Master of Science in Management of Technology の中から選べます。(2) (3) は卒業論文が必要となります。
Stanford MSx は、厳密には "MBA" ではなく、Master of Science in Leadership and Strategy のようです。
Wikiにここらへんのことが詳しく書いてありますのでご興味があればご覧下さい。
アメリカ以外のMBA
自分の場合は、子供をアメリカ教育に触れさせたかったことや、自分がもう一度アメリカに住みたかったこともあり、アメリカ以外は一切検討しませんでしたが、アメリカ以外でも同等に有名なMBAもたくさんあります。
これらの多くは特徴としては①に酷似していますが、1年制の選択肢がアメリカよりも多いようです。プログラムの期間以外は①の条件に該当する方は、アメリカ以外の1年制を探してみるのも良いかもしれません。
例
London Business School (LBS)
INSEAD
HEC Paris ←16ヶ月?
※ChatGPT 4 に聞いたところ以下を列挙してくれました。正確性はご自身でご判断お願いいたします。
MBA以外の選択肢
いわゆる大学院(修士)は調べればいくらでも情報が出てきますが、分かりにくいのが、詳細を調べていかないと、対象の年齢や期間などがよく分からないということ。。
とは言え、ようやくなんとなく調べたところ、当然2年制の修士プログラムはどこにでもありそうでしたが、中には1年制というものがあり、アイビーリーグやM7周辺だと、
Harvard Kennedy School
Columbia University の SIPA
この2つくらいが見つかりました。(他にもあるかもしれません!)
※ChatGPT先生の回答はこちらです。
自分の場合の学校選択の思考プロセス
冒頭で書いた通り、私は①~④の全体像がなかった中で、少なくとも明確だった条件は、
1年制であること
フルタイムであること
アメリカであること(でもNY以外&子育てに向いている街)
日本でも名前が知られた学校であること
ビジネス以外のテーマも充実していること(Tech、Data、HRなど)
この5点です。
その上で、一つずつ絞っていきました。ここから先の思考回路は、個人的な情報が多く含まれるので、いつか有料で追記できたらと思います。
今回は、社会人向けアメリカMBAの全体像をご紹介しました。ここでご紹介できなかった素晴らしい学校もたくさんあるようです。
まずはこの全体像を入り口に、ご自身の留学目的やその他条件で絞っていく上で、少しでもその参考になれば幸いです。
🌷ここまで読んでくださりありがとうございました!🌷
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