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長期金利上昇

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市場予想を上回る米主要企業の決算発表が続いているうえ、ビットコインの最高値更新を受けて投資家心理が強気に傾いた。ただ、米長期金利が上昇する中でハイテク株が売りに押され、相場はやや伸び悩んだ。

20日朝に発表した2021年7〜9月期決算で1株利益が市場予想を上回った通信のペライゾンが上昇し、前日までに好決算を発表した保険のトラベラーズや医療保険のユナイテッドヘルスの上げも目立った。好調な企業収益を受けて米景気への楽観が広がり、キャタピラーやJPモルガン、シェブロンなど景気敏感株が買われた。

ビットコイン価格が20日午前に一時6万7000ドル近くまで上昇し、半年ぶりに過去最高値を更新した。

米長期金利が19日夜に一時1.67%と5月以来の水準に上昇し、20日は1.6%台半ばで高止まりした。ハイテク株に売りが出た。

インフレの長期化や米長期金利の上昇、供給制約が米企業の業績回復の足かせになるとの警戒感は根強く、強気になりきれない投資家は少なくない。

投資助言会社ファンドストラットのトーマス・リー氏は20日付のリポートで、S&P50の年末時点の目標を4800と100ボイント引引き上げ、現状からさらに6%の上昇を予想する。「ビットコインの高値更新がリスク選好の環境を映している」とみており、新型コロナウイルス感染の収束で米経済と企業業績の回復を見込む。

調査会社のリフィニティブによると、20日朝時点で主要500社のうち1割強が第3四半期決算を発表し終えた。1株利益が市場予想を上回った企業の割合は86%と良好な出だしとなっている。だが、大和キャピタル・マーケッツアメリカのシュナイダー恵子氏は「決算を公表したのは金融や保険など供給制約の悪影響を受けず、金利上昇の恩恵を受ける企業が中心で、後半の決算発表では悪い見通しが続出する可能性がある」と話す。

今後の見通しを巡ってインフレや供給制約に言及した企業の株価は売りに押されている。ユナイテッド航空ホールディングスは市場予想を上回る決算を発表したが、同社幹部は20日に「燃料価格の上昇は航空チケットの値上げにつながる」と語った。コスト増が利益率に響くと警戒された。

半導体製造装置のオランダASMLは7〜9月期決算が大幅な増収増益となったが、10〜12月期の売上高見通しは市場予想を下回った。部品不足で増産の困難さを示したため、株価は4%下落。同業のアプライドマテリアルズやラムリサーチにも売りが及んだ。

11月には米連邦準備理事会(FRB)がテーパリングを決める公算が大きい一方、インフレや供給制約は長期化しそうだ。米国株の先行きには不透明感もつきまとっている。

仮想通貨交換業者のコインベース・グローバル+3.0%

代表的な仮想通貨であるピットコインが20日、6万7000ドル近くに上昇し、半年ぶりに過去最高値を更新した。価格上昇で手数料収入の伸びが期待できるとの見方から買いが入った。

薬品・医療機器のアボット、ラボラトリーズ+3.3%

20日発表の2021年7〜9月期決算は増収増益で、特別項目を除く1株利益が市場予想を上回った。新型コロナウイルスの検査キットの強い需要が続いた。同時に21年12月期通期の1株利益の見通しも引き上げた。

自動車のフォード・モーター+4.0%

クレディ・スイスが20日、投資判断を「中立」から「買い」に引き上げた。過去数年続けた事業リストラが終了し、電気自動車シフトが大きく進むと説明した。目標株価は19日終値より3割高い20ドルとした。

通信のペライゾン・コミュニケーションズ+2.49%

20日に発表した21年7〜9月期決算で特別項目を除く1株利益が市場予想を上回った。同時に21年12月期通期の1株利益見通しを引き上げた。全米での高速通信規格「5G」対応のサービス普及が追い風。

決済サービスのペイパル・ホールディングス-4.9%

画像検索・共有サービスのピンタレストを1株70ドル前後で買収する計画が伝わった。完全買収なら単純計算で買収規模は451億ドルとなり、巨額の買収負担が懸念された。SNSを通じて興味を持った商品を通販サイトや店舗で購入する「ソーシャルコマース」で存在感を高めることが目的とされる。

石油サービス会社ペーカー・ヒューズ-5.7%

20日に発表した21年7〜9月期決算の最終損益は黒字に転換した。原油相場の上昇が追い風となった。ただ、特別項目を除く1株利益は市場予想を下回った。株価は今年に入り3割上昇していこともあり、売りが膨らんだ。

動画配信のネットフリックス-2.2%

19日夕に発表した21年7〜9月期決算では世界の有料契約者数の伸びが会社予想と市場予想を上回り、目標株価を引き上げるアナリストが多かった。ただ、好決算を見越して株価上昇が続いていただけに、材料出尽くしとみた売りが優勢となった。

バイオ製薬のノババックス-14.8%

政治専門サイトのポリティコが19日タ、ノババックスの新型コロナウイルスワクチン候補が規制当局が求める品質基準を満たせない状態にあると報じた。ワクチンの使用許可に不透明感が強まり、収益期待が大きくしぼんだ。

米テスラが20日発表した2021年7〜9月期決算

売上高が前年同期比57%増の137億5700万ドル(約1兆5700億円)、純利益は4.9倍の16億1800万ドルだった。自動車大手が危機的な半導体不足に苦しむなかソフトウエア上の工夫と代替品の採用などによってしのぎ、売上高と純利益はそろって四半期ベースで過去最高を更新した。テスラは欠品した半導体についてはソフトを書き換えるなどの工夫によって代替品に置き換えていると説明している。7〜9月期の電気自動車(EV)の販売台数は前年同期比73%増の24万1391台、生産台数は64%増の23万7823台だった。自動車大手に比べると車種数や生産台数はもともと少なく、半導体の供給制約の影響は限られたもようだ。5月頃に一時緩和していた北米の自動車産業における半導体不足は8月頃から再び深刻になっている。マレーシアで半導体関連工場が新型コロナウイルスの感染対策のために操業を一時停止したのが主な要因だ。米ゼネラル・モーターズの7〜9月の米国販売台数は33%減の約44万台に落ち込んだ。長引く半導体不足は、これまで比較的堅調だったテスラにも今後、影響する可能性がある。20日付の決算発表で同社は「半導体の供給不足や港湾の混雑、計画停電など様々な課題が工場をフル稼働させる能力に影響を与えている」と明らかにした。

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