二度と経験したくないこと
人生には何度も経験したくなるような素晴らしいことがある。
もう一度一日の始まりに戻って味わいたくなるような経験。
美しい景色に巡り合えた時。
達成感のある成功体験。
平凡なようで尊い、愛する人と過ごす日々。
その幸せな瞬間を凍らせて閉じ込めていたくなる。
だけど、二度と経験したくない日もある。
それは親が死んだ日だ。
私の永くとも短くともない人生の中では
間違いなく一番悲しい日だった。
そして私は、母が死んだ日のことを一生忘れることはないだろう。
あの場所、あの日の匂い、あの時の服装まで
記憶の中にこびりついて離れない。
悲しみを越えた、哀しみ。
「またね。」「また来るね。」
いつもそう言って別れていた。
そう言えることがどれだけ幸せなことだったのか。
なってほしくないことが現実になるのは、苦しい。
いつかは来る、と分かっていても。
頭でどれだけシュミレーションしていても、現実に起きてしまえばそれまで。
受け入れるしかない。
自分の人生はまだ続くのだから
受け止めるしかないのだ。
どれだけ苦しくても。辛くても。
愛する人が増える、ということは「失う日が来る」というリスクを負うことになる。
それでも、私は愛することをやめない。
人を愛する人生を送りたい。
「失う」ということがどれだけの哀しみかを分かった今でも、その気持ちは変わらない。
何度も経験したくなる素晴らしい日々を、大切な人たちと重ねて生きたい。
たった一日の哀しい日がそれを覆したとしても
生きている限り、また創ればいい。出会えばいい。
愛しい時間を。
そう思える時間を共に創ってくれた母に感謝します。
(ここで使っている写真はすべて母と一緒に過ごした時間の中で撮ったものです。たくさん旅行に行ったり、お出かけしたり、思い出を作ることができました。この記事の見出し画は、私の結婚式のもの。)
ご覧いただきましてありがとうございました。