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名言集が嫌いな話

 よくある様々な人の名言を集めた本が嫌いだ。ひとりの人の名言集なら構わない。おすすめされて買ったココ・シャネルの名言集はとても力強くて楽しく読めている。

 様々な人の名言に美しい写真を添えた本はもっと嫌いだ。美しい鳥や風景の写真を集めた写真集は好きだけど。

 なぜ美しい写真に名言を添えた途端に親の敵のように憎たらしく思うのか。答えは簡単だ。すべてが借り物だから。あの手の写真はだいたいアフロなどの使用料が高いフリー写真を借用しているだけだ。それに借り物の名言を添えたところで借り物に借り物を添えただけで陳腐だ。

 少なくともわたしには贈り物としての価値は感じられない。わたしがそのような本を贈られたら贈ってくれた人には申し訳ないがブックオフに売る。手元に置いておくのも堪えられない。

 本来、名言というのは人間が生きてきた中で得た経験を凝縮した答えだ。それ自体は素晴らしい。けれど、数多の人間の名言を集めたら数多の人間を集めたのと同じで矛盾する。生きている人間なら議論をして折り合いをつけられるが、既に完成した言葉は議論しない。
 結果どうなるかと言えば陳腐になる。本来、人ひとりの人生の厚みがあった言葉が、たった1ページ分の紙の薄さにまで軽薄になってしまう。わたしはその安っぽさが嫌いだ。

 そんなもん買うお金があるなら、そのお金で素敵なレターセットを買って手紙を書いてくれたほうが圧倒的に価値がある。たったひとこと、あなたが思う言葉をくれたほうが嬉しい。

 なんて言ってるが、わたしは物欲の塊なのでアマゾンギフト券とか普通に欲しいです。   
 本を贈るのは難しいから相手の好き嫌いを踏まえて贈ろうねーくらいの話です。

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