青空のクリームソーダの傘
バスから降りたら激しい雨だった。傘は持ってきていない。いつもそうだ。肝心なときに傘を持ってきていない。
降りた場所はイオンモールの目の前。店内に駆け込んで入口に設置してあるペーパータオルで濡れた身体を拭い、買い物をする。そうしているうちに服は乾く。
買うものが揃ったところで外を見る。まだ雨は降っていた。こうなったら傘を買うしかない。
どうせなら失くしたくないと思えるだけの可愛い傘を買おうと思って、再びイオンモールの中をくまなく見て回る。
そうして一通り見回って一番気に入ったのが旅する喫茶コラボの青いクリームソーダの傘。一目惚れと言っても過言ではなかった。
「今から使います」とレジで言ってタグは切ってもらった。さっそく店外に出て傘を開く。可愛い。買ってよかった。
これなら散々傘を失くしてきたわたしでも傘に意識を向け続けられると思えた。
それから数ヶ月経った。
青いソーダのプリントの上に雨が降れば雨粒がソーダの泡のように見えると発見した。激しい雨なら強炭酸に、小雨なら微炭酸に見える。最高だ。買ってよかった。
低気圧に弱いから雨降りは苦手だけれど、この傘を差すようになってから少しだけ雨降りも楽しめるようになった。
あと、留め具にさくらんぼがついていて可愛い。
これなら散々傘を失くしてきたわたしでも失くさずに壊れるまで使える気がする。
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