間違えがちなフランス語 4. 文法編(マガジン版)
これまでフランス語の単語、表現、発音を見てきたわけですが、これらは語学の上達においてとても大切な要素です。単語が大切なのは言うまでもありませんね。単語帳を眺めたり辞書を引いて一つ一つ単語を覚える、という地道な作業はどんな言語を学ぶにも付き物です。
しかしこれには、せっかく単語を覚えてもそれを母語と同じように使うとは限らないという落とし穴があります。たとえば「スープを飲む」と言いたいとき、「飲む」は "boire" なので "boire de la soupe" でいいのかと思えば "manger" を使って "manger de la soupe" と言う方が一般的だったりします。これは直訳すれば「スープを食べる」ですが、このように何が自然な表現なのかはその言語に、はたまたそれを内包する文化に依るのです。
では単語もしっかり覚えて、自然な表現も身につければ一安心かと思えば今度は発音の壁につきあたります。せっかく知っている単語なのに伝わらない…どこまでもつきまとうこの苦悩はやはり、「伝わる発音」を目指してゆっくり克服していくしかないのでしょう。
そうして完璧な発音、完璧な語彙(なんてものはないのですが)を獲得できたとして、それでも「まったく伝わらない」ことがあるのが語学の面白いところ。そう、いちばん大事な文法が抜けています。会話やコミュニケーションという言葉を使ったゲームには様々なルールが介在しますが、その中でもとりわけ重要で、みんなが守らなければならないのが文法です。
では「文法」の観点では一体どんな間違いが多いのか、見ていくことにしましょう。
副詞の位置
意外と多いのがこれ。以下のような間違いをよく見かけます。
*Je souvent fais les courses.
私はよく買い物をします。
これは言わずもがな、英語の影響でしょう。"I often..." と言いますもんね。
しかしフランス語ではこの語順は間違いで、正しくは以下のように言います。
Je fais souvent les courses.
基本的に副詞は動詞の後、と覚えればいいでしょう。
それから、"je" のような代名詞が動詞と離れることはまずありません。
toujours pas, pas toujours
「その犬はいつも出入口にいるわけではない」と言うとしましょう。
「いつも」なので "toujours" を使うのは見当がつきますね(この単語については「1. 単語編」でも言及しています)。
そして「~ない」なので否定文にするわけですが、
Ce chien-là n'est toujours pas à l'entrée.
と言うと違うニュアンスになってしまいます。
これだと「その犬はいつも出入口にはいない(=そこにいることはない)」あるいはほとんどの場合「その犬は “まだ” 出入口にはいない」という意味になります。この形だと否定されているのは "est" (être) で、とにかく「いない」ことに焦点が当たります。
なので「いつもいるわけではない」(=いないこともあるが大体いる)と言いたい場合は、
Ce chien-là n'est pas toujours à l'entrée.
その犬はいつも出入口にいるわけではない。
という風に言います。
"pas toujours" と語順を逆にすることで、今度は "toujours" が否定され、そこに「いる」のだけど「いつも (toujours) ではない」ということになります。
この形を、「大体いるけれど時にはいない」とある場合に限って否定していることから部分否定と呼んだりします。
"toujours pas" と "pas toujours"、前後の順番が違うだけでまるっきり意味が変わってしまうので気をつけたいですね。
ちなみに似たようなものに "vraiment pas..."(本当に~ない)、"pas vraiment..."(本当に~というわけではない)の使い分けもあります。
Ce café n'est vraiment pas bon.
このコーヒーは本当に美味しくない(=まずい)
Ce café n'est pas vraiment bon.
このコーヒーは本当に美味しいというわけではない(=そんなに美味しくない)
ここから先は
間違えがちなフランス語
詳しくは無料note「間違えがちなフランス語 0. イントロダクション」( https://note.com/hbkindigo/n/n…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?