ホップバーン(ホップバイト)とは
HAZY LABOは、埼玉県新狭山駅北口徒歩1分にあるHazy & IPAに特化したブルワリーとテイスティングルームです。
2023年12月6日に発泡酒製造免許を取得しました。
そんなHAZY LABOの所長、東里(あいざと)が今までに知りえたHazyの知見をnoteに書いていこうと思います。
素人研究所なので間違っていることもあるかもしれませんが、その時は御指摘ください。
さて今回のテーマ、「ホップバーン」とはホップフォワードビールにおいて絶対に多すぎてはならないオフフレイバーの一つです。
ホップバイトともいいます。
それは…、大根おろし、生のタマネギなどの辛〜い味に似ています。
「舌を刺すような苦味を伴う辛口の味」
程度の差はありますが、コレが混じっているビールは意外と多いです。(ホップフォワードビールにおいて)
そしてそれは時間がたつにつれ、減少していきます。
しかしその痕跡は、ビールの味を辛口にします。
ステンレスの樽に入れて常温熟成させると、製造から2ヶ月もすればホップバーンは殆ど消滅します。
(辛口味もなくなります)
よく混同されている渋みとは全く違います。
渋みは赤ワインやお茶などに多い味の要素ですね。
ビールにおける渋みはレアです。
私はあまり出会った事はありません。
しかしホップバーンにはよく遭遇します。
このホップバーンの原因は何でしょうか?
諸説あります。
1 ホップの微粉
2 ホップ由来の酸化された色々な物質
3 ホップ由来のポリフェノール
1の「ホップの微粉」はフィルターや遠心分離機で除去できます。
それらを使ってもホップバーンが残っていることもあるそうです。
つまり「ホップの微粉」以外の要因も考えられます。
2の「ホップのルプリンに含まれる、アルファ酸やベータ酸などの酸化された色々な物質」は、麦汁に溶け込んでいるのフィルターでは除去できません。
そして、3の「ポリフェノール」
渋柿やお茶のタンニンがその類いですね。
個人的には、3は渋みの可能性が高いと思っています。
ホップバーンは苦味を伴うのでルプリン由来の割合が多いように思います。
という訳で、このホップバーンの原因は1〜3の合体だと思います。
ホップの抽出効率も関係していると思います。
抽出効率が良いとホップの使用量を減らせます。
少ない量で大きなの効果が得られるのは理想的にも思えますが、そう単純ではないようです。
ホップの抽出効率が良いとホップバーンは増えます。
しかしなんとトロピカル感も増えるのです。
つまり、ホップバーンが多めに出ているビールはトロピカル感も強い傾向がある…。
悩ましいですね。
そして抽出温度はホップバーンに大きく関係しているようです。
高温抽出だとホップバーンは多くなる傾向です。
でも高温でホップを使う(ホットサイドホッピング)と、トロピカル感も増えるのですが、ホップバーンとイソアルファ酸の苦味も多くなります。
低温抽出(コールドサイドホッピング)ではホップバーンも出にくいのですが、トロピカル感は減りシトラシーになりがちです。
ホップバーンはホップの品種によっても違いがあります。
オーストラリアのギャラクシーホップはホップバーンが多い事で有名なホップです。
しかしホップバーンが多いという事はトロピカル感も多い傾向があるようで(個人的見解)ギャラクシーはトロピカルなフレイバーがドーンと出るホップでもあります。
逆にホップバーンの少ないホップはあるのでしょうか?
あるそうです!
じゃあそのホップはトロピカルじゃないの?
いいえ、トロピカルなホップもあるそうです。(アザッカ、リワカ、ネクタロン、HBC586など)
このホップバーンは時間が経つと消滅する事も多いようです。
何故でしょうか?
ホップバーンの主な要因がポリフェノールだとすると、熟成によるポリフェノールの重合という説明がつきます。
ポリフェノール同士がくっ付いて高分子化し、ホップバーンを感じなくなるという仮説です。
十分にあり得そうですね。
しかしセオリーで考えると、Hazyは新鮮なうちに飲まなくてはいけません。
新鮮なビールはアロマが強いからです。
が、新鮮なHazyはアロマが強いが、ホップバーンも多め…。
(空輸の新鮮な海外Hazyにはホップバーンが多く含まれていることが多いのです)
結果として辛口寄りになり、それを補うために多糖類を加える…。
結果的に、後味のキレに問題が出てきてしまう…。
でもアロマは美味しい飲み物の重要なファクターです。
多少のホップバーンが出ていても、アロマが強い方が訴求力があります。
つまりHazyは多少のオフフレイバーが存在していても、アロマが強く新鮮な状態のほうが一般的には美味しく感じるという事だと思います。
結論!
「許容できるレベルのホップバーンは受け入れたほうがいい。それにより得られるトロピカル感とアロマの強さ、フレイバーの強さ、濁りの中に潜むコクと旨みを享受したほうが良い」
でも熟成させたHazyには、アロマは少なくてもホップバーンが消えた優しい味の魅力があるようです。
そして熟成することで出現するアロマがあるのでした。
この話はまたの機会に!
HAZY LABO 所長 東里(あいざと)
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