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ゲーム「Erewhon」感想

※この感想は18禁ゲームの感想です。ご注意ください。

 CLOCK UP作品でテーマが因習の村。公式が自称してるジャンルが「因習の村でマレビトとして奉仕されるADV」。これは絶対やばいだろうなと思って購入し、ようやくプレイしたので感想をまとめていきます。

ジャンル:因習の村でマレビトとして奉仕されるADV
プレイ時間:約12時間
媒体:PC


■ あらすじ

 公式サイトにあらすじがあったので引用します。

きっかけは一冊の手記だった。
偶然手に入れた手書きの手記に記されていた"地図にない村"
そこは――狂い咲く椿、一足早い紅葉、沢山の赤い花々。
気が狂いそうに赤い森に囲まれていた山奥の寒村、来待村。
青年はその村に来訪神として迎えられる。

ようこそ、おいでくださいました。御廻様。
今年の祭りは二十年に一度の特別な式年例大祭でございます。
この者たちは、この特別な年に訪れる御廻様のため生まれ育った斎の者たちでございます。
ふたりは毎夜交代で伽に参ります。
村の美しい娘を一夜妻として神に差し出す……
これは古代からつづく大切な斎の儀式。
神を歓待するための、神聖な行為なのです。

STORY

うわーエロゲっぽい!こんなあらすじなのでエロシーンが大量にあろうが違和感はありません。エロゲと親和性のある設定で良かった。


■ ゲームシステム

 いつも通り良い感じです。やっぱりこの会社のシステムはすごい!しかし毎回語ってるので割愛します。
一応、直近でプレイした同会社別作品の感想を載せておきます。

不満点

 この会社のゲームシステムは大好きなのですが、1個だけ不満点が。
本作では環境設定にスカトロ緩和制限がありません。他の作品だとあります。しかし本作には小スカ(つまりおしっこ)の表現があります。つまり、小スカの場合は緩和すらしない……なんで!?飲尿もあるのに!?
 ちなみに、他作品ではちゃんとスカトロ緩和表現設定があります。しかし本作にはその設定が無い。恐らくですが、大便以外はスカトロだと思ってないんだと思うんです。本作は他作品で当然のようにある大便は表現されてないので……。
よく考えて?飲尿も特殊性癖だからな?

ボイスは女性のみ

 CLOCK UPでは主人公の声をつけることが標準機能だと思ってたのですが本作は女性のみボイスがついてます。主人公も重要そうなキャラも男性というだけでボイスがついてません。話が盛り上がってるところでスン……と声がなくなるので悲しいです。


■ グロ表現について

 本作はグロ表現がありますが、グロ表現緩和設定があります。グロシーンは黒塗りしてくれているのですが、この会社に慣れ親しんだ私としては思ったよりグロ表現が無かったなという印象。痛々しいテキストの表現も全くなかったし。
ただし、CLOCK UPという会社の作品に馴染みがない方はご注意を。レイプ表現は当然ですし、下品な隠語や絶叫喘ぎ、あへ顔おほ声飲精等、かなり癖が強いです。「因習の村?へ~、面白そう」という軽い気持ちだけでプレイされる場合は覚悟を決めてからスタートすることをオススメします。


■ 設定を守ったエロにしろ

 本作はエロシーンが多いです。それは別にいい。エロゲだし、性交するのが村の歓待だし、そもそもジャンルが「因習の村でマレビトとして奉仕されるADV」なので当然です。
それでも、本作はかなり古い時代の隔絶された田舎の設定です。電気も通らず、水道も引かれておらず、ガスも通ってません。そんな時代で、普段の言葉遣いもそこそこ古めかしいのに、なんでエロシーンだけ「おちんぽ」とか「孕み子種精液」とか、そういう俗語使うの? 作中では「卑猥で興奮する」とか表現されてましたが、こっちとしては雰囲気ぶち壊しでガン萎えですよ。
この会社はどんな世界観でも同じような隠語を使うので、そういう言葉を使
えと言う指示なのかもしれない。けどゲーム中に裏事情を感じさせないでくれよ!没入感が無くなる!


■ 奉仕させるだけで絶頂する

 男性向けエロなので、前戯なしで挿入して感じていたり、奉仕させるだけでなぜか喘いだりするのはよくあることなのですが、さすがに奉仕させるだけで絶頂させるのは欲望を反映しすぎでは?と思ってしまいました。いや~~さすがに、さすがにね?絶頂はやりすぎじゃね?


■ 逆転あり

 男性向けエロでこれ気にする人はあんまりいないと思うんですけど、一応書いておきます。
とあるシーンだけ男性が女性を責めるのではなく、女性が男性を責めます。しかもペニパン装備のガチなやつです。苦手な人は気を付けた方がいいかも。あ、好きな人も気を付けて。本当に1シーンのみなのでこれを期待すると辛いです。


■ 主人公はかっこよくない

 今までプレイしていたCLOCK UP作品の主人公って、正義感に溢れていたり、硬派でかっこよかったり、なにかしら魅力があったのですが、本作の主人公は魅力がありません。自ら周りを拒絶して距離を置いて、でもひとりぼっちは寂しくて、周囲とのコミュニケーションを面倒くさがるわりに自分は誰かに愛されたい(見返り無く助けてほしい)という感情に溢れている、気弱な一般人です。
この主人公が好きかと聞かれれば答えはNOですが、この性格だこそ本作の色々な結果になったとも言えるので、そこが結構面白かったです。




~~~~~ネタバレするよ~~~~~







■ シナリオ

※周回するごとに選択肢が増えていくタイプで、攻略順に書いています。エンディングに名称がついてないので勝手に付けてるものもあります。

 主人公は普通の社会人。なにもない生活に疲れ、仕事をやめ、偶然見つけた手記の中に書いてあった”地図にない村"を目指します。その地を目指す途中で遭難し、少女に導かれて村へ訪れることに。そして主人公は「御廻様(おめぐりさま)」と言う名の神として歓待されます。

稀世羅編&十子編

 主人公を村に導いた蠱惑的な少女・稀世羅と、末端の者にまで気を配る優しく真面目な十子の二人を毎夜交互に抱き、祭りの日の嫁を選ぶ話。残った方は鬼姫役になり、かなり辛い役目を受けなくてはならないと言う。
十子からは「稀世羅を嫁に選べ」と言われ、稀世羅からは「主人公を神に選んだのは自分。他にも遭難者は山ほどいたが、一目見てあなただと確信した。自分を選んでほしい」と言われる。

稀世羅(きよら)ルート

 嫁に稀世羅を選び、鬼姫を十子にしたルート。
祭りでは鬼姫役はその身に鬼姫を降ろし、御廻様に犯され、村全員の男に犯されます。
祭りは無事終了し、主人公は村に居座り、稀世羅は主人公とラブラブハッピーな日々を送ってるエンドなので、一目惚れして主人公を導いた稀世羅にとっては大勝利エンドですね。主人公も稀世羅にビビりつつも魅力に逆らえないようなので、一応どっちもハッピーってことになるでしょう。
鬼姫役をやった女は元に戻れないとキャラが語っていけど、十子は十子ルートと同じような結末になるんだろうな~……。

十子(とおこ)ルート

 嫁に十子を選んだのにぶち壊されたルート。稀世羅ルートでは稀世羅が主人公に対して「もっとひどくしていいんだ、だってあなたは御廻様なのだから」とそそのかします。けれど本ルートでは、村の中で女性が物のように扱われている姿に心を痛めている十子に対して「それが普通だ」とそそのかします。主人公は何も考えずにただ言っただけの言葉が、十子にとっては救いだった。十子を破滅に追いやったのはこの言葉だったのが重いんだよな~。
そして十子は嫁に選ばれたにも関わらず、鬼のような振る舞いをあらわし、鬼姫として調伏されます。

十子掘っ立て小屋エンド

 嫁として選ばれたのに鬼姫を憑依させてしまったので村のみんなの性欲処理を引き受けることによって自らを罰しているのでは……とか言われてるエンド。
恐らく十子は自ら鬼姫を演じているのですが、鬼姫役を演じたのは幼い稀世羅が鬼姫役をしなくても済むようにだと思っていたので、なんでその後も性欲処理を引き受けているのか全くわからなかったです。今はもうわかったけどさあ!

十子と二人だけエンド

 十子が主人公だけを気にかけるよう、主人公だけを見つめるよう歪めたエンド。主人公も十子を求めて歪んじゃったし、十子も歪んじゃったし、なんなの……。
主人公は稀世羅よりも十子の方が好きなんだろうなというのを察してきた頃合いです。稀世羅ルートだと性欲が勝ってるだけで基本ビビってるからなぁ。

サエ&取り替え子編

 始めからプレイし直すと新たな選択肢が追加されてるルート。村の最底辺の奴隷であるサエを救うことを願い、十子に協力してもらう話で村の裏側が少しずつわかり始めてくる話。

サエルート

 色々な犠牲を越えて主人公とサエが村を脱出し、平和(?)に元の世界で暮らす話。
サエにとっては外の世界とかどうでもよくて、白馬に乗った王子様ポジションの主人公と一緒にいられればなんでもいいって感じです。主人公はサエの目を外に向けたいと思ってもうまくいってないので、すぐ崩壊しそうなエンディングだなという印象です。だって主人公、甲斐性ないし。自分は依存しやすいくせに、他者から依存されるの苦手そうだし。

取り替え子ルート

 ここから好きな雰囲気が出てきたのでテンション上がりました。隔離された村・虐殺の逸話・因習の村!最高!
サエと十子は実は取り換え子で、本来なら立場は逆。十子は「ならば人生すべてで償おう」と言い、サエはそんな十子に劣等感を覚える。そしてサエは十子の死を願う。うーん、泥沼!最高!
主人公が崖から落ちそうな十子の手を掴み、自分を好いているサエにあぐらをかいて「このままだと自分も落ちてしまう、助けてくれ」と言ったらサエが「ならば死ね」と突き放し、主人公ごと崖から落としたのが本当に面白かったです。そういうの大好き~!!

そして主人公たちは崖から落下し、洞窟の中で瀕死になります。その後、十子は死に、十子の願いを受け入れ、主人公だけ生き延びます。なんとか洞窟から脱出し、そこで目にしたものが信じられず、すべて殺し、すべて燃やしたエンディングが最高だったな~!!気弱な主人公の影はなく、迷いなくすべて消していくさまは圧巻でした。

廻歴編

 タイトル画面から「紅い悪夢を喰む」を選ぶと見れるルート。取り替え子編の続きで、すべて消し終わった後に再び洞窟に引きこもる話です。
洞窟の中は過去・現在・未来が混在しており、洞窟内に生息している生き物(?)を喰らうことによって身に着けた特殊能力で過去視し、本作の謎が一気にわかるルートでもあります。

TRUEエンド

 たぶんTRUEエンド。すべてを救うエンド。
過去すべてを見て、十子の願い通りすべてを救うために事を成すのがとても良かった。その過程で主人公が悩み、うずくまり、進まず、何も考えず、けどちゃんと選択したのが面白かったなぁ~。そして最終的に消えていなくなる。うーん、”最後”の演出としてとても良い。

姫様を攫うエンド

 過去に戻って生ける妙薬である姫様を攫った結果、追いかけてきた村人に喰われるエンド。主人公は実は異形に変じてるので、今思えば、村人はバケモノ喰ってたってこと?やべ~~。
ここの選択肢、「なんとかしなきゃ!」って感じの選択肢なんですが「もう1度」を選んだ結果、このエンディングになります。でも、なんで「もう1度」を選んだら姫様を攫うのか意味がわからなくてわらってしまいました。結局喰われてるしよォ!

何もしなかったエンド

 誰かが助けてくれることを願って何もしないエンド。
一番主人公らしいエンディングだと思います。こういうのも良い。

触手エンド

 死んだ十子のことが諦めきれず、過去に遡ってすべての十子を独占する話。
洞窟の中は過去・現在・未来が混在しているため、過去のエリアから外に出ると過去に行けるようです。主人公は洞窟内に生息している生き物(?)を摂取し続けた結果、触手のバケモノ化しています。他ルートで「バケモノ!」と悲鳴をあげられた理由がここでわかりました。そりゃそうなる。
主人公はこのルートで「”あの”十子を諦めきれない」と言うのですが、村の権力者と協力して神として祀られ、最終的に”自分が愛した十子”も”生まれ変わりの十子”もすべてゲットします。
え~?それだったらどの十子でも良かったんじゃん。

十子に幸せにしてもらうエンド

 選択肢は「十子を幸せにする」でしたが、どう見ても「十子に幸せにしてもらう」エンドです。これも主人公の性格をあらわしていますね。十子に依存しきってるのが面白かった。


■ いろいろ

主人公が魅力的でないのが面白い

 主人公は性欲に流され、意思は弱く、常識の範疇での正義感はあれど一丁前に何か言える度胸もなく、ただ自分より下の立場と思われる人には言い、何かを決めることもせず、生きる決定も死ぬ決定もしたくないような性格です。普通にしてたら一切魅力がないんです。それが本作だと良い塩梅になって面白い!面白さに昇華できてるのは作家の手腕でしょうね。

十子について

 主人公の「お前は普通だ」という言葉によって、自分の犠牲が他人にどう影響するか全く考慮せず、ただやりたいことをやり通すのがとても良かったです。「これは私のわがままだ」と言うんですが、本当にその通りだったな~!
十子が十子ルートで鬼姫役をあらわしたのも稀世羅にさせたくなかったからだし、その後性欲処理を引き受けていたのも村の女たちに辛い思いをさせたくなかったからだし、けどそれを主人公がどう思うかなんて考慮しないし、村の女たちが本当にそれを望んでいるか一切考慮しないので、「十子から見て辛そうかどうか」でしかないんですよね。自分のエゴで他人に介入するさま、良かったな~。

稀世羅について

 あんなに意味深で蠱惑的で何か裏がありそうな少女、稀世羅。作中での表現すべてが真実だと信じるなら、なーんにも裏がありませんでした。マジで主人公にただ一目惚れしただけ。マジで主人公と性交したかっただけ。マジで主人公を自分のものにしたかっただけ。裏話ではもう蚊帳の外ですからね。何も関係ないよ。
これは予想してなかった展開だった。ミスリードに見事に引っかかりました。くそう!面白い!






■ まとめ(ネタバレなし)

 プレイ時間は約12時間。伝奇ものとして結構好きな話でした!エロは不満点が結構あったけど、話が面白かったからいいかな。
主人公の性格が魅力がない気弱一般人だったからこそ諸々の結果になったと思うと良い性格設定だった気がします。楽しかった!
でもオススメはできないかなぁ。この会社、やっぱ癖強すぎるんですよね……。

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