ゲーム「レイジングループ」感想
人狼ゲームを今までやったことがありませんでしたが、なんとなくイメージで知っていました。たしか隠れてる人狼を探し当てる、そんなゲームのはず……。
人狼をモチーフにして、かつ民俗学系のお話と聞いていたので、私が好きそうなゲームの気配に喜んで飛びついたわけです。最初に言っておくと、かなり夢中になってプレイできます!楽しい!
ジャンル:和風ホラーアドベンチャー
プレイ時間:42時間
媒体:PS4
■ 移植媒体多すぎ問題
私はPS4版でプレイしましたが、スマートフォン、PS4、Swich、PC各種サイト……結構いろいろなところで販売してます。ありがたいですね。
大まかにスマートフォン版とそれ以外で考えた方が良さそうです。スマートフォン版通常、スマートフォン版プレミアセット=PS、Swich、PC版のようなので、スマートフォン以外だったら特に考えずにプレイしやすい環境で購入するのが良いと思われます。
■ あらすじ
公式サイトにあらすじが無かったので、とりあえずPSStoreに書かれている説明文を引用します。
これだけだとちょっと微妙なので、私なりのあらすじを載せておこうと思います。
こんな感じです。
■ 死に戻り
主人公である房石陽明は死ぬと「最初の1日目」(バイクで迷った時)に戻りますが、なぜ戻るのかもわかりません。記憶を保ったまま死に戻るため、死んだら毎回最初の1日目から再スタートになります。
この手の選択肢を選ぶことで話が変化するノベルゲームでは、ループものというのはかなり良い定義づけだと思います。最初の説明があった時にかなり好印象を受けました。
■ どことなく感じるFate/stay nightの香り
これは私が感じてるだけかもしれませんが、
主人公すぐ死ぬ
死んだらヒントコーナーがある
これらがなんだか、Fate/stay nightとかぶってしまって!
主にタイガー道場とかぶってしまって!
ちょっとクスッとしてしまいました。
■ プレイヤーも一緒に考えると楽しい
本作は人狼ゲームをモチーフにしているため、誰が人狼(本作では「おおかみ」)なのか当てる必要があります。ただし、ノベルゲーム(文章を読むゲーム)なので自由に介入することはできません。選択肢を選ぶだけです。
ただし文章を読みながらプレイするとより楽しい!
本作での人狼ゲーム、「黄泉忌みの宴」は下記のような役割となってます。
人狼ゲームに馴染みがある方もわかりやすいように役職をググって付けときました。
おおかみ(人狼)……殺人鬼。夜になると一人殺害。
へび(占い師)1名……一人指定して「ひと」か「おおかみ」か判別。
からす(霊媒師)1名……処刑された人が「ひと」か「おおかみ」か判別。
くも(狩人・ボディーガード・騎士)…一人指定して守る。
。さる2名……お互いが「さる」、つまり「ひと」だとわかる。
10名以上のメンバーのため、誰がどの役職を持っているのかを考えるのがとても楽しいです。
このゲームをプレイする時はぜひ推測しながらプレイしてみて欲しい!
■ ゲームシステム
(UI以外の)ゲームシステムがかなり良かったので書いていきたいと思います。
最初に色々説明してくれる
本作について、ゲームシステムについて、配信ガイドラインについて、色々説明してくれます。とても親切な設計なので全部読みました。これは全部読んだほうがいいやつ~!
残酷表現
テキストの残酷表現が「XXXX」みたいな形で規制されるそうです。ただし本作はイラストも文章もそんなに残酷とは思わなかったのですが、私がホラーを大好きすぎるせいでそう思わないだけかもしれません。
ホラー苦手な方は嬉しい機能……かもしれません。
Key(キー)による進行
本作では特定の情報(Key)をルートを開放していきます。いわゆるフラグですね。
今は選択できないけど死ぬことによって情報を取得し、その情報のおかげで別の行動を取れる……という面白いシステムでした。
セーブ・ロードがとても便利
通常のセーブ・ロードに加え、オートセーブ(とは言っても章はじめにオートセーブ)、シナリオチャートでのロードが可能です。このシナリオチャート上でのロードが本当に便利でした。
ノベルゲーム全部これ入れてくれないかなぁ~!
UIダサい問題
おそらくこのゲームが初期に発売されたのはスマートフォンだと思います。そしてスマートフォンだとUIは普通に見えるんだと思います。スマートフォンはタップしないといけないので大きいボタンの方が見やすいし触りやすいですからね。
でも!私がプレイしたPS4版だと!それがクソダサく見えてしまった!
しかし話が面白いので、まあいいかと無視できるレベルになりました。
オプション
親切なノベルゲームであれば入れてくれるような設定がちゃんと入ってます。次の選択肢へスキップする機能もあるのでかなり便利。
ただ、次の選択肢へスキップする機能は私は使いませんでした。だってシナリオチャート上でのロードが本っっ当に便利だから!これ最高!!
暴露モード
トゥルーエンド閲覧後に開放されるオプションです。
主人公の隠された独白、各キャラの心情が描写されるモード。
これもかなり良いシステムでした!
~~~~~ネタバレするよ~~~~~
■ 黄泉ルート
初期ルートである黄泉ルート。ヒロインは芹沢千枝実(せりざわ ちえみ)。
偏屈な村を嫌がって外の大学に出ており、帰省中のところ主人公と出くわした。明るく社交的だがどこかおかしいところもある。
主人公が事故って千枝実に助けてもらい、その助けた場所がいわくつきの地だったもので大問題。部外者として最後まで隔離され、「黄泉忌みの宴」に何も介入できないままおおかみ勝利で終わってしまうルート。
初めて知る情報に戸惑う主人公。唯一友好的に接してくれる千枝実に対して「黄泉忌みの宴」の情報を仕入れ、なんとか軌道修正をしようとアドバイスをするのがもどかしく、それが面白いルートでした。千枝実の「かみさま」への怯えっぷりがホラー演出に拍車をかけていた気がします。
ちなみにこのルートで私は「おおかみは嘘をつけないのかな?」と勘違いをしてましたが、違いました。そのキャラクターが嘘をつけない性格だっただけでした。
そういうのも良い!キャラクターの性格がわからないからこその予想できないこの感じ!素晴らしい!
■ 既知ルート
2番目のルートである既知ルート。ヒロインは回末李花子(うえまつ りかこ)。
村の有力者である四家の1つの当主。ミステリアスで何かを知っていそうだが、ドジ。
主人公が事故らずに正式な手続きを経て休水へ入り、死んでいた人間を一人生かした状態で「黄泉忌みの宴」に介入することによって役割が変わり、他のメンバーもかなり異なった行動を取り、こちらはひと勝利と思いきやひと悶着あるルート。
役割が変わったことにより休水への入り方が異なるので「黄泉忌みの宴」も変わるのですが、まさか主人公が役職持ちになるとは思いませんでした!うおー!なんだこれ楽しい!
そして黄泉ルートでは二人しかいなかった「おおかみ」が三人に増える!うおー!!楽しすぎる!!
後半になるまで「おおかみ」が誰かわかりませんでした。まさかの「おおかみ」すぎる。
本ルートではヒロインも変わるのですが、李花子はそんなに好きになれませんでした。喋り方と照れた時の奇声がなぁ……。外見的には好きなキャラだったので残念。でもひと勝利の幸せエンドかと思ったら最後の最後で全部ぶち壊してたのが最高でした。た、たのしい!予想できない!
■ 暗黒ルート
3番目のルートである暗黒ルート。ヒロインは巻島春(まきしま はる)。
思い込みが激しく引っ込み思案の女子高生。
さてここからどうするんだと思ったら、既知ルートからさらに一人生かすことによって再度役割を変わってしまい、主人公が「おおかみ」になってしまい、「おおかみ」として勝利するルート。勝利したら……。
いやー、このルート面白すぎる!主人公の狂人っぷりがよく現れています。主人公は後々「おおかみになった時、ぼくはとんでもない狂人になった気がする」と語るのですが、安心してほしい。普段から狂人だったよ。このルートではことさら強調されていただけだよ。
「おおかみ」側に配属されたことによって、おおかみでしかわからない情報を得られるようになり、ほぼすべての断片情報を拾えるようになるのが楽しいです。
そして同じおおかみの春に「悪」を教えるのがとても良かった。二人の関係性が恋よりも相棒だったのが好きでした。いや、恋も結構ありましたが。
このルートでは今まで死んでいたカメラマンの橋本雄大が大活躍した回でもありました。主人公がカメラマンを生かした結果、主人公の敵となって展開を進めるのが難しくなるってすごい。主人公自身も認めていますが、主人公の上位互換として敵が出てくるのが最高でした。
橋本雄大をかわし、なんとかおおかみ勝利に持っていった結果、あんな大怪物が現れるとは思いませんでしたが……。
■ 神話ルート
4番目のルートである神話ルート。
トゥルーエンドへと至る道。すべてのKey(情報)を集めてすべてを救うために奔走し、大団円を迎えるルート。
情報を集めるために命を消耗品扱いしてやり直しつつ検証し出してするのを冷静にやってる狂人っぷりが出てきました。主人公は恐怖と快楽の区別がつかず、「善悪は持ち合わせておらずその場の空気を読んで善悪を判別する」、そして死んでやり直すとは言え自分の命を消耗品扱いする倫理観欠如のやばい主人公だ~!大好き~!
この倫理観欠如主人公が奔走した結果、手に入れた情報をもとに実行するのが神騙り。これは本当に楽しかった!
主人公は「科学的に実現可能なことはすべて人がやっている」、そうして謎を解明していったけど、未明の部分が神秘なわけで、わからないからこそ神秘なわけで、それをどうやって科学と区別していったのかがちょっと謎でした。神秘部分も無理やりこじつければ科学になるし、科学も神秘になりうると思うんだけど……。
でも結局は面白ければなんでもいいと思うんですよね。面白かったので良し!
■ 暴露モード
他キャラの心情も描いてくれたので大満足でした。
スキップ使いつつも全編読み直しです。ボリュームがすごい。そして隠しルートも待っている。
隠しルート1「裏切りオールナイト」
ラスボスと一緒に国を滅ぼすエンド。
「これもありだな」と思える主人公がすごい。ていうか選択肢が「絶望するか」という主題なのに「これもあり」って言うのは、主人公って絶望も好奇心(知りたい欲求、恐怖)に直結してる、つまり絶望も快楽と区別がついてないんだろうなあ……と思ってしまいました。なんで今まで生きてこられたんだろう。好奇心のまま簡単に死にそうだけどな。
隠しルート2「原始の舞」
おおかみとして色々やった後に思いっきりギャグエンド。信仰パワーでラスボスぶったおしたぞ!
私は笑いましたが、ヒントコーナーで言われてるようにたしかに人を選びそう。
■ エクストラ
各キャラのその後が描かれたショートストーリー郡です。
ほとんど楽しめました。一部、洒落怖で有名な「きさらぎ駅」やクトゥルー神話(本作の表記に準拠)を出されたのは正直微妙でした。ジャンル違うじゃん……?話自体は結構面白かっただけに、肩透かしくらいました。
■ 文句はちょっとだけある
暴露モードを解禁したことによる、またはエクストラによる別作品の匂わせがものすごい!匂わせっていうか完全にその部分だけ異色!レイジングループはレイジングループで完結してくれ~!と思ってたら下記のようなインタビュー記事がありました。
とあるキャラクターの名前が思いっきり出てるので自主規制してます。
まさに言いたかった文句に対する回答でした。
既存キャラに頼ったような形に見えるというか見せてると思うんだよな……。
既存キャラに頼るな!!!
■ まとめ(ネタバレなし)
プレイ時間は42時間。人狼ゲームをやったことのない私でちゃんと理解できるか怪しかったですが、めちゃくちゃ楽しくプレイできました。
フルボイス、ロードのしやすさ、この辺はかなり素晴らしいと思います!唯一の欠点であるUIですが、ストーリーが面白いので最終的に気にならなくなります。
ストーリーが本当に楽しいのでこれはネタバレを踏まずにやってほしい。
一部気になるところがありましたが、無視できる面白さ!おすすめです!夢中になってやってしまうこと請け合い。私は夢中になってプレイしました!
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