借金玉さん宛の手紙のようなもの
突然の指名失礼いたします。よくいるタイプのネットの民です。タイトル写真は私のお気に入りのキャンディです。おひとつどうぞ。
Xや有料note、いつも拝読しております。書籍も買わせていただきました。また、何年か前の(もう遠い過去のように感じます)借金玉会では大変おいしい料理と素晴らしい時間をありがとうございました。
お分かりの通りあなたの一ファンです。そして障害当事者です。発達障害(ADHD強め)と鬱を患っています、と少し前なら言っていたのですが、最近双極Ⅱ型と判明しました。依存症も少々たしなんでおります。
実用書としてあなたの本を繰り返し繰り返し読みました。鬱も躁も繰り返しやってはきますが、あなたのライフハックのおかげで少しだけ楽になったような気がします。少なくとも、悩んでいるのは私だけではなかったと知ることができました。
有料noteを購読しているのはあなたの文章が好きだからです。ライフハックでもレシピでもない、エッセイというのでしょうか、それらがとても好きです。
ご自身の苦しい体験を文学や哲学の域まで昇華させる文才と努力、強い意志の力に感嘆します。正直なところ、似たような体験をしても似たような文章は書けないものだなあと自分にがっかりします。
私は借金玉さんの人となりをほぼ文章でしか知らないので、文章の話しかできないのですが、あなたがなんらかの理由で覚悟を決めようとしていることはなんとなく分かります。察しが悪いのでなんとなくですが。
あなたの文章の話をもう少しさせてください。
鮮烈に覚えているのはBook&Appsさんでの「東京が好きだ。たくさんの「隠れ場所」があるから。」というコラムです。
借金玉さん自身が「好きに書いていいと言われたから好きに書いた」とTwitterでおっしゃっていた記憶があります。そういうからにはどんなハイテンションな記事なのかな?という気持ちで読みにいったのを覚えています。
全然違いました。詩的な……というのでしょうか、その時初めて「こういう文章を書く人なのか」と衝撃を受けました。その衝撃がなんだったのか、いまだに言語化できません。たぶん己を恥じたのだと思います。あなたを侮っていたのだと思います。
借金玉さんがたまに挙げる本を読もうとしましたが読めてません。ブローディガンとか、ジャック・ロンドンとか、そういうのです。とても難しく感じます。
私の愛読書は中島らもさんの「今夜、すべてのバーで」です。まあまあの依存症でもある私は、あの本でしか乗り越えられない夜があります。とても長い夜です。ここで「愛読書は借金玉さんの著作です!」と言えたらそれっぽかったのですが、きまりが悪いですね。
私の話ばかりで恐縮ですが、私の症状のひとつに相貌失認があります。人の顔が覚えられないし、顔の美醜というものがよく分かりません。
その代わり?声や頭がいいと顔がよく見えます。歌がうまい人も好きです。そういう意味で借金玉さんは私の中でイケメンに分類されています。なんだかかえって失礼な感じになってしまいました。
私も海外に行って沈没したい気持ちはあるのですが、何せ生来の計画性のなさからパスポートを取得することもままなりません。いつも「ここではないどこか」を夢想しています。マインドフルネスとか、「今、ここ」とか、どこのおとぎ話かな、といつも感じています。
発作的に旅に出ます。借金玉さん言うところの「外こもり」っぽいですが、飽きっぽいので連泊ができません。
アメリカのロングトレイルに憧れています。生きているうちに実行できるかは微妙ですが、想像は自由だし無料なので。これ誰の言葉でしたっけ。
長くなってきたのでお煙草どうぞ。私はもう吸えないので手持ちはないんですが、喫煙具だけあるんです。イムコのオイル入ってなかったらごめんなさい。
「当たり」が全部出てしまったあとのくじ引き。
今の私をひとことで表すならこんな感じです。
もう外れくじしか入ってない箱から、それでも毎日くじを引き続けなければならない、そんな日々です。
そんな時借金玉さんが何かよくないことを匂わせている。病と、プラスアルファの何か。それがなんなのか分かりません。分からないなりに引き止められないな、と思いました。
もちろん生きていてくれたほうがうれしいけど、少なくとも私は「生きていればそのうちいいことがある」なんて言えないです。なんでしょうねこのはずれくじの山。
「ほら、生きようよ!まだこんなに外れくじがあるよ!」なんて言えないじゃないですか。
自分の趣味として写真が好きなんです。でも生活に困ったときカメラとレンズを売ってしまいました。少し余裕ができるとまた買って、また売って。今は手元にありません。またいつか手放すことになるかもしれないと考えたら、もうこわくて買えないです。それでも先日三脚を買いました。これはスマホ用と言い訳しながら。
ここまで借金玉さんに読んでいただけるのか分かりませんが、私はこの文章をあなた宛に書いておかないと後悔すると思ったので書いています。
ネットで読めるあなたの文章の中で一番のお気に入りがあって、今でも読めるのですが、それがどれなのかは秘密にしておきます。
最後になりましたが、季節の変わり目どうかご自愛ください。
一ファンより