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向かいの塀が百日紅の薄暗い桃色を湛えている日暮れを抱えている
眠たくても、この眠気を抱えて眠っても、朝起きた時のことを容易に想像できて、それに飽きてしまって眠れないし、その眠れなさにもほとほと飽きてしまった。ご飯にも同じことが言えて、性欲にも同じことが言えて、三大欲求に限界を感じる
第四の道が要る、人間でなさが今とてつもない
形式主義的なきらいがあるといわれ、全然そんなことなくて心外だった
心外というのは、主義思想を端的に表そうとする心胆を跳ね除けたくて活動をしているのに、隣人がその忌むべき存在であった驚きから由来しているのだ
みえないあなたにささやく音の礫が遠くから風に乗ってこちらへやってくるのを翻訳して伝えている
神さまに一番近かった時は、あんまり楽しくなかった
人は神さまをすぐに見出すことができるから手玉に取りやすくて、不衛生
傾斜のある町の傾斜のない家で
祖父母とはそういうものなのかもしれないが、わたしの祖父母は物持ちのいいほうだと思う。きょう、海外旅行の免税店で買ってきたというコニャックを引っ張り出してくれた。角という角がとれて、川底の石のように口あたりの丸いお酒をいただいた。角という角がとれるには、いったいどれだけの年月がひつようなのだろう。
私よりも年上のお酒は、比喩ともとれない甚く大まじめなそぶりで、命の水のようだった。のみながら、祖
豆苗は幼子のように伸びる
いつもいったり来たりしている。身体はもっと遠くまで伸びやかになる。
塩素水に手を浸すと皮膚が融けて温かくなる。花を炙り、締め、いのちを延ばすようなことをしている。延びないとは分かっているので、じつは花に火を入れる口実にしている。行けるようになったからもっと目まぐるしくなって、その分やすんで、夏は川へいく。
言い淀んでよかったことがある。大きさのちがうホウキとちりとりでなんとかきれいにするのは楽し
わたしたちはあなたたちのことを知らないけれど、あなたたちのことを感じている
住み慣れたシェアハウスをはなれ、家をかえた。いまの僕の家に日照りはないが、少しばかり陽が差し込む。
越してきた当初、家は僕を見、インストールした。昼はうすぐらく、夜になると黒くなる。裏手は墓地で、かれらも僕をみていた。
それからしばらくたって、僕が家をみる番になった。家の近くに、二人の天使像があることに、気がついた。
弱さとは、群れることではなく、また逆に、なにものかを拒むことでもない。弱さ