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七十二候屏風制作物語 七「ヒゲ紬の職人さん」

母校の学科卒業生有志による作品展「すみの会」に出展するための作品制作中です。七十二候の書と龍村の帯を表装して屏風仕立てにする作品です。

お正月に書を仕上げて屏風仕立てをお願いする表具店へ持参。職人さんがまさかの着物姿でした!ヒゲ紬の羽織と対のヒゲの無い紬の着物に総絞りの兵児帯というかなり凝ったコーデ。職人だったお父様の着物を寸法直ししたそうです。お父様は旅行に行くために着物を作るようなおしゃれな方で、ご家族はお正月に男達だけが着物を着るしきたりだそう。その日に私は何となく話題になるかもと思い、職人さんの兄嫁にあたる方から縁あっていただいた総絞りの着物を着て伺いました。

というわけで着物談議にめちゃめちゃ花が咲いた後に、職人さん、奥様、私の3人で表装していただく龍村の帯の16ピースのレイアウトについて打ち合わせしました。
帯の折り返しに織られた「吉祥瓢」から瓢箪の文様であることはわかっていたのですが、奥様から瓢箪の中の文字が「吉」のものと「祥」のものがあると言われました。なるほど、だから「吉祥瓢」なのね~。さらに奥様から書の上の帯のピースには「吉」の文字の瓢箪、書の下の帯のピースには「祥」の文字の瓢箪をレイアウトする提案をいただきました。やっぱり奥様は女神様。この手のこだわりは大好き、もちろん大賛成です〜!
書の横のピースは無地部分をレイアウするのですが、帯をぎりぎりの寸法で使用するため、3ヶ所ほど瓢箪の柄の一部が出てきます。その位置について3人で話し合い、最終的には職人さんの意見にまとまりました。なんだか3人がワンチームになった瞬間のように感じました。実際に表装するのは職人さん1人ですけど〜。

奥様は何度も来ていただいて、と恐縮するのですが、表具店の作業場はいつも未知の世界の新しい発見に満ちいて私はむしろ楽しみです。私としては次に伺う日程を決めて帰りたかったのですが、ヒゲ紬の職人さんはちょっと迷惑そうでした・・・。作品完成まで物語は続きます~。


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