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第43話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

専門学校の帰り道、僕は吉祥寺の駅から一人で歩いていた。目的地は決まっている。桃香のアパートへ向かっていたのだ。すると、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえた。振り向くと、買い物袋を手に持った桃香が小走りで向かって来た。

桃香の笑顔に、僕はきっと彼女の第六感が働いたんだろうと思った。桃香は予知能力を持っていると、僕が今日アパートへ来ることを予感していたんだ。


「海ちゃん、今日は海ちゃんの好きなオムライスだよ。そろそろ来るかなって思って、材料を買ってきたの」と僕の横へ並んで微笑んだ。

予想通りだし、本当にオムライスは食べたかった。


「持ってあげるよ」と僕は買い物袋を持った。


「ありがとう」と桃香は言った。そして、買い物袋を持った僕と反対の腕へ自分の腕を通した。


僕たちは恋人同士みたいに、アパートまで寄り添うように歩くのだった。こんな姿を見たら、きっと美鈴は悲しむだろうな。なんて思いながら、僕は腕を振りほどく勇気さえなかった。


オムライスを食べ終えたとき、桃香は一昨日の出来事を話し始めた。桃香が偶然に出会った人。

その話しを聞いて、僕は驚いたし会いたいと正直に思った。桃香の話によると、その人は図書館で働いていた。

場所は上野公園の敷地に建てられた図書館。桃香からその人の名前を聞いたとき、僕の淡い恋心が蘇った。

桃香が偶然にも出会った人物は、僕の恩師であり初恋の人だった。あの言葉を教えてくれた女性。


潮彩の僕たちは宛てのない道を歩くと心の中で呟いては、僕の頭の中で彼女の顔が浮かんだーーーー


赤いケチャップが目に飛び込んでは複雑な気持ちになった。美鈴の部屋で過ごした三日目の夜、僕のために作ってくれた夕飯である。どちらのオムライスが好みかしら?と言われているように思えた。


これは大人の災いなのかーーー


その夜、美鈴と二度目のセックスが終わった。僕はこれで何度目の質問なんだろうかと、思えることを言われるのだった。


「海ちゃんって、変なことを言うね。美味しいなんて、私にはわからないわよ」


やっぱり言われたーーーーと心の中で思う。僕は無意識に女性をオーラルすると『美味しい』なんて言葉を口にしてしまう。女性の身体は神秘的な輝きと美味を教えてくれた。

胸の柔らかさや、秘部の甘い香りと甘味。これまで、僕は三人の食材を味わった。食材と言ってしまうと誤解されそうだけど、僕の中では究極の食材に例えてしまうと思って欲しい。

究極とはそれ以上で、それ以下でもなく、その女性だけが持つという意味である。だからと言って、比べないかと言ったら嘘になる。

僕が言いたいのは、その女性だけが持つ究極の食材であって、世界で一つの食材で究極の胸と秘部が作られているのだ。


胸の形も様々で、初めて経験した女の子(桃香)の場合、胸は大きくなかったけど、横からのラインやフォルムは美しさがすば抜けていた。乳首の色は薄いピンク色で、乳輪も溶け合うような淡い色をしていた。

乳首との比率も完璧な方程式みたいに美しかった。秘部は果汁が溢れるほど熟れて、一度味わったら忘れることのできない甘味だった。


二人目に経験した女の子(朋美)は、スレンダーな身体から想像できない豊満な胸だった。乳首はつぶらな瞳を思わせる小粒で、少し茶色い香ばしいアーモンドみたいだ。

噛めば噛むほど深みある味が溢れた。乳輪はくっきりと円を描いて、強い主張もなくごく自然に胸とのバランスを保っていた。

秘部は柔らかく、少しだけ歯ごたえのある肉で形成されている。深みある味はクセになるだろう。


三人目に経験した女の子(美鈴)は、美しい絵画のような胸を描いていた。そこには一切の無駄はなく、魅力だけが存在するラインで描いて、胸を超えた胸で魅了していた。

桃色の乳首は甘い綿菓子のようで、舌の上で溶ける甘味は絶妙だった。乳輪の色合いは美しく、淡い色合いは心を奪うようだ。

秘部の内側は、動きに合わせて吸い付くようで、その味わいは至福へと誘う気持ち良さが広がっていた。


三人の違いは、僕の本能を目覚めさせた。究極の食材は至福の時間を与えてくれる。だから、僕は美味しいと感想を言うのだった。もしも、僕に女性の神秘を語らせてくれるなら、僕は喜んで公演しようと思っていた。

しかし、実際は口で語るよりも、現実の女性は宇宙を超えた神秘で包まれているのだろう。

話しを少し戻そう。僕は今、三人の女性に揺れていた。それは贅沢な悩みだろう。高級な料理を毎日食べることぐらい贅沢だろう。

そんな生活をしてたら、きっと大人の災いが降りかかる。そして、破滅への道を辿るだろう。


「美鈴は自分の魅力に気づいていないんだよ。君の魅力は僕だけのモノにしたい。それは贅沢なことなのかな?」と僕は訊ねた。


「海ちゃんって、たまにキザなセリフを言うよね」とスプーンに映る自分に向かって、美鈴は聞き返した。


そして、話しを終わらせるように、美鈴はシャワーを浴びてくるとベッドから抜け出した。何か気に障ったのか。その夜、美鈴は僕の質問に対して答えることはなかった。

隣で美鈴の寝息を感じて、僕は美鈴の胸や秘部を想像していた。眠くなかったのと、美鈴の態度が気になって眠りにつくのが怖かった。


翌朝、目覚めたら隣で眠る美鈴が消えてなくなりそうな気がしたからだ。僕は一睡もできないまま、朝日を迎えるのだった。


第44話につづく

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