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〖昔書いたお話〗迷子の魚

子ども時代に書いたお話です。
出来るだけ当時のままご紹介できればと思います。
作者は子どもの私、若干の編集は今の私です。
この〖迷子の魚〗が生まれて初めての創作話です。
小学2~3年生だったと記憶しています。



迷子の魚


ここは海の中。
魚の子どもが、お父さんとお母さんと暮らしています。
その子は灰色で、赤くて真っ直ぐな線がいくつも背中にありました。
あたりは暗くて、砂の山や大きな石にぶつかるので遠くにはいきません。
それでも辺りを泳いだりしていると、いつも同じ場所にいる魚たちの近くに、見たことのない小さな魚がうずくまっています。
その魚は青くて、背中に点々がいくつもあります。
赤い魚は話しかけました。
「どうしたの?」
青い魚は返事をしません。
「どこから来たの?」
「・・・」
「まいご?」
すると、青い魚はうなずきました。
いつも同じ場所にいる魚たちに青い魚が帰る場所を聞いてみても、辺りを少し泳いでみても、どうにもわかりません。
赤い魚は青い魚を連れて家に帰ることにしました。
そうして、青い魚は赤い魚の家の子になりました。
赤い魚の家では、他のものも食べますが、よく昆布を食べます。
青い魚は昆布を食べたことがなくて、他のものを食べたかったけれど、また迷子になるのも大変なので同じように食べていました。
赤い魚の家は居心地がよくて楽しかったけれど、青い魚はいつもお腹が痛くて苦しくなりました。
そうしてある日、死んでしまったのです。
赤い魚もお父さんもお母さんも、どうしてなのか分からず、たくさん泣いて悲しみました。

(終)

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羽優
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