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記憶を紡ぐ糸

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大学3年生の時に書いた小説。記憶喪失の女性、高宮若葉が自分の失った記憶に迫るミステリー。
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#第一話

記憶を紡ぐ糸 第1話「喪失と出会い」

記憶を紡ぐ糸 第1話「喪失と出会い」

 人間の記憶は、糸を紡ぐように断片的な記憶を繋ぎ合わせることで成り立っている。人間の脳はそれぞれの断片的な記憶を保存して、これまでの記憶に繋ぎ合わせていく。なかなか優れた機能を持っているようだ。

 しかし、保存したはずの記憶がすべて失われたらどうなるのだろうか。思い出すものが無ければ、何も引き出すことは出来ない。

 私には記憶が無い。自分がどんな人間で、どんな人生を送ってきたのかも思い出すこと

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