ベルエポックの頃のパン屋の空気を体感してみる
昨日の続きから、今朝の投稿は始まります
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昨日の投稿
はてさて、kopin木下くんが長野から和歌山まで来てくれて、彼にも僕にも大変ゆかりのある小麦粉「リスドォル」でバゲットを焼くことになったわけです
@kopin.bread
そこで僕が提案したのは、約100年前、1930年代のフランスで採用されていた製法でバゲットを焼こう、という事でした
当時のフランス、生地作りには既に機械が採用されていたようですが、まだまだパン職人=ブーランジェにとっては環境的に厳しかった
エアコンなど到底無い中、大きなオーブンを擁する厨房は当然灼熱
そんな劣悪な環境の中、ブーランジェは自らの身体を酷使し、二交代制で24時間パン作りがされていたようです
とはいえこの時代のフランスはベルエポックの真っ只中
伝統的な良さと現代的な発想が融合するヨーロッパの歴史上でも、もっとも魅力的な時期にあたります
当然1920年代から40年頃までのフランスは、パンにとっても至福の時期でした
美味しさが貪欲に追求され、当時のブーランジェが生地作りにかける時間は、今の日本で長時間発酵と言われるもののおよそ倍の時間をかけたもの
生地作りに時間がかかれば、先ずパン屋が考えるのは睡眠を削る事
睡眠が美味しさの追求の犠牲になるのは、どうやら今も昔も変わらないようです笑笑www
それでも流石に眠らないことには体力が持ちません
そこで当時の先達が凄かったのは、睡眠と美味しさを両立させようとしたこと、でした
今で言う、イノベーション、ですよね
イーストを減らすと共に、生地の温度を程よく調節
その生地を眠る直前に捏ね、布団に潜り込む
するとブーランジェが寝ている間に、しっかりと生地も発酵熟成する
翌朝起きると生地は既に美味しく仕上がっており、すぐ分割に取り掛かる事ができて、開店時間迄に美味しいパンが焼ける、という寸法でした
それでも当時この製法でかけられた時間は、常温で6時間ほどだったようで
それまでクタクタになるほど働いた体には、6時間に満たない睡眠時間は、到底不十分だったと思います
現代では、冷蔵システムが発達して、生地作りにも積極的に活用され、美味しさと時間効率の両立が叶っています
それでも睡眠を犠牲にするパン屋さんは後を絶たずwww
色々と考えさせられるものです
今回私がこの製法を提案した時、昔、これまでに幾度か私の投稿に登場してきた上司から聞いた話を思い出しました
当時のフランスのパン屋の厨房は、その上の階が寝床になっていたそうで
厨房で作業しているブーランジェは、交代の時間が来ると、オーブンからパンを取り出す棒を使って天井をドンドンと突つき、上の階で寝ているブーランジェを起こしたそうです
当時のパン屋の環境の大変さがうかがわれるエピソードですが
とはいえ、現代しか知らない私なんかからすると、その当時の空気感がちょっと羨ましい気もしたりするものです😆www
今回、私も同じような段取りを辿ってみようと画策してます
はてさて、その結果は。。。
いや、必ずやBon Painに仕上げてみせます💪
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