![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163033644/rectangle_large_type_2_fa702429ddf41bd4571f28961cc57713.png?width=1200)
古畑任三郎「しゃべりすぎた男」に登場する「裁判所速記官」に注目する
第2シーズンの第1話、脚本は三谷幸喜さん、ゲストは明石家さんまさんです。
以下、盛大にネタバレしています。
裁判所速記官が最初に登場するのは、別事件での小清水弁護士の尋問シーンです。
目撃者と、目撃者を厳しく問い詰める小清水弁護士とのやり取りが描かれます。速記官の視線は発話者に向けられています。機械速記は完全なブラインドタッチで打鍵しますし、唇の動きなども聞き取りの助けとします。発話者の顔を見るという録取姿勢は、現場での仕事ぶりに沿っていると感じました。
次の登場は、芳賀刑事の尋問シーンです。真犯人につながる大きな手掛かりがひそんでいますが、それとは気付かせず、尋問は続いていきます。その後、認否の変更について、今泉被告人に質問する場面にも登場しています。
最大の見せ場は古畑氏の尋問シーンです。情状証人であるはずの古畑氏があり得ない大暴走をします。
この中で古畑氏は、速記官に向かって、「記録のおねえさん、これ何に見えますか」と問い掛けるのです。速記官は、この問いに「水差し?」と返します。速記官にせりふが与えられたドラマを、私はほかに知りません(日本の作品では)。
さらに、証拠はあるのかと問われた古畑氏が、「あります、この中に」と答えて上着のポケットから取り出すのは速記録のコピーです。「しっかり読み込んだ裁判記録」は、芳賀刑事の速記録を指しています。
全編を通して、速記官と速記録に着目されたエピソードだと感じます。