ふろしきたくしこみ

機械速記(ソクタイプ式)を習得した速記者です

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最近の記事

古畑任三郎「しゃべりすぎた男」に登場する「裁判所速記官」に注目する

第2シーズンの第1話、脚本は三谷幸喜さん、ゲストは明石家さんまさんです。 以下、盛大にネタバレしています。 裁判所速記官が最初に登場するのは、別事件での小清水弁護士の尋問シーンです。 目撃者と、目撃者を厳しく問い詰める小清水弁護士とのやり取りが描かれます。速記官の視線は発話者に向けられています。機械速記は完全なブラインドタッチで打鍵しますし、唇の動きなども聞き取りの助けとします。発話者の顔を見るという録取姿勢は、現場での仕事ぶりに沿っていると感じました。 次の登場は、芳賀

    • 活用する片手略語の動詞(ソクタイプ式)

      活用する片手略語動詞(カテゴリb、c) ソクタイプ式速記では、活用する片手略語の動詞が60余りあります。 この記事ではこれについて解説します。 左のムレで打つ片手略語の動詞は、右のムレで打つ速記符号により語尾が変化します。 その活用段ごとに、「右のムレで何を打った場合に」「語尾がどう変化するか」が決められていて、はやとくんのプログラムも、その決まりに従った仮名文字データを出力します。 例えばあわ行五段活用の動詞についての決まりは以下の表のとおりです。 動詞「伺う」を

      • 「虎に翼」第112話 裁判に立ち会っているのは?

        「虎に翼」第112話では、原爆裁判における証人尋問の様子が描かれています。昭和36年(1961年)6月の出来事のようです。 法壇上には、合議体の裁判官が映されています。主人公寅子は右陪席を務めます。 法壇の下に座る人物はどうでしょうか。右側の男性は職服を着用していますから、裁判所書記官であることが分かります。 では、左側のスーツ姿の男性はどうでしょう。 この投稿では、この人物が「裁判所速記官」であるかどうかについて考えます。 まずは、ごく簡単に、裁判所速記官の養成について

        • ソクタイプ式速記の略語(d1とe1)

          この投稿では、カテゴリd1「活用形のある形容動詞」と、カテゴリe1「活用形のある形容詞」について説明します。 画像を御覧ください。 1行目はスケールです。全てのキーを打った場合の符号が表示されています。 2行目以下が「あんなふう」という形容動詞の略語と、「新しい」という形容詞の略語です。1つの言葉を左手と右手を使って入力する「両手略語」です。 それぞれ最初の行が基本の形、続いて活用形が表示されています。 はやとくんには、約100の形容動詞略語、約50の形容詞略語がありま

          ソクタイプ式速記の略語(d3)

          ソクタイプ式速記符号には基本音節と略語があります。 略語は、片手略語・両手略語、左のみ・右のみ・左右どちらでもで打てるもの、中のむれがつくもの・つかないもの、活用形があるもの・ないものなど、指の形や性質により、たくさんのカテゴリ分けがされています。 この投稿では、カテゴリd3、「活用形のある動詞略語」を、「働く」という略語を例にとって説明します。1つの言葉を左手と右手を使って入力する「両手略語」です。 画像を御覧ください。 1行目はスケールです。全てのキーを打った場合の

          ソクタイプ式速記の略語(d3)

          親指の役割(ソクタイプ式速記符号)

          前回の投稿では、Y(小指)、HとT(薬指)、SとK(中指)の5つのキーの組合せで主に子音を、AとIとO(人差し指)の3つのキーの組合せで主に母音を担当する仕組みについて説明しました。 では、親指の役割とは何でしょう。今回の投稿では親指の働きについて説明します。 親指が担当するキーは4つです。 左手の親指がTとKの2つ、右手の親指がIとNの2つです。 この4つのキーを「中のムレ」と呼びます。 (中のムレの真ん中に*キーがありますが、今回は説明を割愛します) まず、1つ目の

          親指の役割(ソクタイプ式速記符号)

          ソクタイプ式速記の「同時押し」を更に解説

          前回の投稿で、ソクタイプ式速記には「同時押し」という技があると記載しました。今回は、この部分について更に解説します。 「同時押し」には2つのパターンがあります。 1つは、1本の指が複数のキーを押し下げる同時押しです。 人差し指は3つのキーを、親指・中指・薬指は2つのキーを同時に押し下げることがで きます。小指は1つのキーのみを担当するので、同時押しはありません。 「A」「I」「O」、3つのキーを担当する人差し指の同時押しを例にとります。 【単独のキーを押す場合】 「A

          ソクタイプ式速記の「同時押し」を更に解説

          ソクタイプ式速記符号

          ソクタイプ式の速記符号の仕組みを紹介します。 速記タイプのキーボードはほぼ左右対称の2つのムレで構成されています。キーの数は21です。 50音と、拗音、長音や、二重母音を含めた基本音節が百数十あります。 基本音節は、左右どちらのムレでも、片手で打てますから、0.5ストロークで入力できます。 片手略語と言われるものが200強あります。 左右それぞれのムレで片手で打つことができますから、これも0.5ストロークで入力できます。 使用頻度の高い言葉が片手略語にあてられています。 両

          ソクタイプ式速記符号

          日本語の機械速記

          ソクタイプ式の速記者です。 日本語の機械速記や、「はやとくん(速記・反訳をコンピューター処理するアプリ)」について、紹介します。 皆さんは日本語の機械速記について御存じでしょうか。 国会などでは手書き速記が採用されていますが、裁判所では、速記タイプライターによる機械速記(ソクタイプ式)が使われてきました。ソクタイプ式速記は、極東軍事裁判をきっかけに司法の現場に導入されたといわれています。 裁判所速記者の養成は1951年に開始されました(現在は停止されています)。 ソク