親指の役割(ソクタイプ式速記符号)
前回の投稿では、Y(小指)、HとT(薬指)、SとK(中指)の5つのキーの組合せで主に子音を、AとIとO(人差し指)の3つのキーの組合せで主に母音を担当する仕組みについて説明しました。
では、親指の役割とは何でしょう。今回の投稿では親指の働きについて説明します。
親指が担当するキーは4つです。
左手の親指がTとKの2つ、右手の親指がIとNの2つです。
この4つのキーを「中のムレ」と呼びます。
(中のムレの真ん中に*キーがありますが、今回は説明を割愛します)
まず、1つ目の働きです。日本語の2音目に高頻度に現れる音節「イ、ン、ツ、ク、チ、キ」を表します。
T つ
K く
I い
N ん
T I ち
K I き
T N は、「っ(促音)」を表します。
「あちら」という言葉は、「 A T I A K T 」と打ちます。
左手の人差し指で「あ」を、左手の親指でT、右手の親指でIを押し下げて「ち」を、右手の人差し指・中指・薬指で「ら」を打ちます。
指を当てて押し下げる位置は、画像のとおりです。
次に、2つ目の働きです。
小指から人差し指の4本を用いて打つ音節に、中のムレのキーを組み合わせることによって、「略語」を構成します。以下に例を挙げます。
A (あ)→ A TK(ある)
S O(そ)→ S OTK(それ)
T KSA(わ)→T KSA TK(私)
THKSA O(で)→ THKSA OTK(です)
上記は左の親指で打つ「TK」を組み合わせる形ですが、右手で打つ音節に右の親指で「IN」を打ち加えても、同一の略語となります。
左手で「私」と打ち、右手で「です」と打てば、1ストロークで「 T KSA TK INOASKHT (私です)」と入力することができます。
指を当てて押し下げる位置は、画像のとおりです。
3つ目の役割です。
左のムレ・右のムレに何も打たれておらず、中のムレだけが打たれている場合、これらのキーは助詞(に・が・は・の・には・にの・にも・では・での・でも)を表します。
T に
K が
I は
N の
T I には
T N にの
T IN にも
TK I では
TK N での
TK IN でも
中のムレで「T I」と打たれた場合、それ以外に打たれているキーとの関係で、「ち」を表したり、助詞の「には」を表したりするというわけです。
A T I A K T → あちら
T I → には
以上、親指のマルチな働きについてのお話でした。