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note発の書籍『逆転人生』
はじめに
起業家研究所omiiko代表の松井勇人です。どん底から逆転した4人の仲間と、書籍を上梓させていただきました。
起業家とは無敵の鉄人などではなく、むしろ解決不能に見える病気や困難、トラウマに侵されていた人間だと研究は教えています。
出版社社長のGreenmanもそうでした。
出版前の打ち合わせで、彼にこんなことを打ち明けてもらいました。
「私の妻も、かつての私もそうでしたが」
「社会から孤立する人が、今とてつもなく増えています」
「どうやったら、孤立せずにいられるのか」
「どうしたら、そんな人が世の中を渡っていけるのか」
「この辺りを松井さんに、しっかりと書いて欲しいんです」
この本には、5人のどん底を味わった起業家の復活する姿が、肉声のまま綴られています。
極端に住みづらくなってしまった世界をどうすればいいか。
そんな問題を解決する方法と共に。
ある起業家研究で、こんな話が語られています。
トラウマという煉獄から復活した起業家たちが、どうしても自分がやらなければならない仕事に目覚め、新しく住みよい世界をつくる。
現在そんな起業家たちが世界で同時多発的に生まれています。だからもし、あなたが困難の最中におられるなら、『神曲』にあるダンテように地獄の門をくぐり天まで翔け抜けてほしい。あなたが決してひとりではないことを、どん底を味わった者の記憶に触れて思い出してほしい、と思っています。
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5人の人生、少しだけご覧ください。
逆転人生 file.1 荒西将志
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小6の時にバブルが弾けて親父の会社は倒産。家も差し押さえられ、一家で長屋へ引っ越したところから、ほんまに絵に描いたみたいな「スーパー貧乏生活」がはじまったんです。電話回線もなくて、夕食はパンの耳。絵に描いたような貧乏でしょ? 友達に「うそやろ?」って聞かれましたけど・・・僕のほうが嘘って思いたかったです。
ある日、友達が遊びに来ることになったんです。でも恥ずかしいから家の周りをぐるぐる。そのうち友達は察したんでしょうね。「金持ちやから友達になったんちゃうで!」と言ったんです。 その時僕は、ずっと張りつめてた糸がプツンって切れて、公園で号泣しました。
そこで、「いつか社長になる」って自分に誓ったんです。
逆転人生 file.2 國友英治
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コーチングを学ぶと、患者さんへの声かけも変わってきます。リハビリが長期化すると、患者さんの意欲も次第に薄れていって足が遠のいてしまいがちになります。そこへ理学療法士が「リハビリに来ないと、またぶり返してしまいます、良くなりませんよ」って言ってしまうと余計に患者さんの意欲は減退してしまうのです。コーチングを使って「このケガが完治されたら、Aさんはどんなことをされたいですか?」「どんな未来を想像しますか?」と声かけをしてあげるとゴールが明確になって、その未来のために患者さんの行動が変わってくるのです。
今も社会問題になっていますが、医療介護は離職率がとても高くなっています。最初はみんな医療介護職に就く人は「誰かの役に立ちたい、人助けをしたい」 と志を持って働き始めるんです。でも現場に出て、だんだんと働く意欲とモチベーションを保てなくなり、心が燃え尽きて辞めていく。負のスパイラルになっていました。だから僕はこのコーチングを取り入れて、患者さんだけではなくスタッフにとっても、もっと働きやすくモチベーションを保てる環境にしたかったんです。
まさか、この考えが僕の首を締めることになるとは、この時はまだ想像もしていませんでした。
逆転人生 file.3 田中淳吾
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「寝ていても務まるような仕事だ」と口癖のように父はこぼしていた。父は若い頃はロックバンドのボーカリストとしてプロを目指し、結構いいところまでいったようだった。そんな夢を追う生活を諦め、寝ていても務まる仕事を何十年もしているのはどんな気分なのだろう。
父はよく酒を飲んでは、母とケンカすることもしょっちゅうだった。両親の仲は決して良いとは言えず、家庭内は不穏な空気が漂っていた。朝勤の時は、一緒に過ごす時間が長くなるので憂鬱だった。帰宅するのをビクビクしながら待っていたと思う。
その頃に私がなんとなく感じていた在りたい姿は、「自由でいること」だったのだと思う。そして自由でいたいという気持ちは、今もなお私の中で、一番強い核のように存在している。
就活の時期になり、この先の人生をどうしていいか分からない焦りもあったのだと思う。 本当にこのままでいいのか?という違和感をいつも感じていた。その頃、知人から勧められた本の中に、『深夜特急』があった。インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで旅をするというノンフィクション小説だ。それを読んで、衝動的に「旅に出よう」と思った。
アメリカを1ヶ月かけて、電車でまわる一人旅。貧乏旅行なので、宿は大部屋で何人もの外国人と過ごす。アメリカ旅行の中で感じたことは、ただただ、「いろんな世界がある」ということだ。これまで常識だと思っていたことが常識ではなくなる。つまり、価値観の変化だ。
逆転人生 file.4 松井勇人
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すこしだけ、私が復活するまでの話をさせて頂きたい。
不眠と重度鬱で8年間投薬され、2年間は風呂にも便所にも行けず寝たきりだった。ある程度良くなっても、6年間ひきこもりでいた。
たまに来る飲み会やBBQの誘いもすべて断る。そんな状態で仲間に会わせられる顔があるわけがない。
しかし、一本の電話が運命を変えてくれた。
「今年の12月に結婚します。松井さんも、来てくれる?」
高校の時によく遊んだ同級生からの電話。それまで俺は、友人の結婚式に呼ばれたことなど一度もなかった。
「このままだと結婚式に行けずに死ぬな」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「ありがとう。行かせてもらうよ」
俺は沈黙の後、精一杯の祝福の声を彼にかけた。四六時中アルコールを飲んでいる酩酊した声だったけれども。
逆転人生 file.5 みかみん
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摂食障害という病気をご存知でしょうか?
痩せたい願望が強すぎて、セルフコントロールできない状態というのが分かりやすいかもしれません。私の場合は、過酷なダイエットから水すら飲めなくなる拒食症になりました。それから反動で食べまくる過食症、さらに過食したことをリセットしようとする過食嘔吐を繰り返していました。
一番酷かった時期は、借金をしながら過食をして、リセットしようとトイレで゙嘔吐して、それを一日6回繰り返す。異常行動だと分かっていてもやめられないのです。
過食スイッチが入ると仕事に行くこともできません。会社をクビになっても過食衝動はとまらないので、借金をしながら過食用の食材を買うのです。
おわりに
5人の起業家はここから復活を遂げ、今活躍の最中にいます。
哲学者ニーチェは『ツァラトゥストラかく語りき』でこう述べました。
いつか世界を変える英雄が生まれる。そんな英雄にも迷いの夜があろう。そんな夜に、ふと開いた本の一行の微かな助けによって、変革が可能になるかもしれない。その一夜の、その一冊の、その一行で、革命が可能になるかもしれない。
その英雄とは一人の者ではなく、トラウマから立ち上がった新時代の起業家たちすべてです。
この本を手に取っていただいたあなたが、新しい時代をつくる仲間になっていただけること、私たち全員が心より切望しております。
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お読みいただきまして、誠にありがとうございましたm(_ _)m
2021年10月8日(金曜日)発売
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