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3.11大川小学校でなにが起こったか。『クライシスマネジメントの本質』読書録
東日本大震災の津波で、88人中たった5名しか生き残ることができなかった大川小学校。宮城県内の他の学校で死亡したのは、逃げ遅れた戸倉中学校の1名。なぜ大川小学校だけ、ここまでの死者が出てしまったのか。
被災後すぐさま2人の友人と現地に赴き、のちに日本最大級の総合ボランティア支援組織「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の基礎をつくった、ドラッカー学会の西條剛央先生の著作。
zoomでの出版記念講演会をお聞きし、すぐさま購入を決めた。質的研究による本格的な研究書だが、文体がなめらかで一般書のように誰でも読める。
・責任者でもない1人の先生が、山に逃げてはダメだという空気を作ってしまった。
・あれは危ない、これも危ないと、すべてのものを危ないとして意思決定不全に陥ってしまった。
・災害後の調査では、事件を反省するのではなく、なかったことにしてしまった。
反省の反対は、なかったことにすることだという著者の指摘は重い。形式を取り繕うことに重きを置き、本質を見据えることを忘れてしまった。市教委は本質をとらえることなく、形式を取り繕って事態の収拾を図ろうとしたのだ。それゆえ著者は「本質行動学」という学問を提唱されることとなった。
僕の個人的な感想になるけれども、大問題が起こってしまったのは、問題を起こす人間がいなかったことが悪かったのだと思っている。学校の言うことを無視して山に登る。山に登ってはいけないという空気を作った6年生の担任を打ち倒す?!
優れたことを知っている。正しい行動をする。褒められたことをするのではなく、自分らしい問題の起こし方で問題を起こせる人物が必要だったのだと。
ナチスに迫害されて渡米したドラッカーは『傍観者の時代』で、ナチスより問題だったのは、それに従った傍観者だったと結論付けた。
起業家の時代になったと言われて久しい。この時代に「のさばる」のは、そんな「自分らしい問題を起こせる人間」だと思う。物語になる行動を起こせる奴らだと。
もう、優れているから、正しいから評価される時代ではない。そんな奴は「何お前、黙っていろ」と言われてお終いだろう。
優等生が評価される時代は終わった。これからは、自分らしい問題を起こせる人間が、のさばる時代なのである。
・・・これはまぁ単なる私見であって、西條先生はこのような野蛮な話はしないけれど・・・
お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃
起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)
下のリンクの書籍出させていただきました。
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