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『エフェクチュエーション』新刊を読む その1

研究を始めた時は「なんの変哲もないインタビューね」って思ってた。

でも何度も読み返して、3回目だったかしら、分かったの。

「起業家ってマーケティングをまったく信じていないじゃない!!」

熟練した起業家って、予想できることを一切信じていないのよ。

サラスバシーのエフェクチュエーションはここから始まった。

・AIが人間を駆逐する。
・近いうちの世界大戦が起こる。
・小中学生が多いから学習塾を開くのに最適だ。

こうしたマーケティングデータを一切信用しないという。

経営学は3流の学問と言われる。

物理も化学も経済学も、法則を用いて物質や環境をコントロールする。

だが、経営学はジョブスが有名になったら彼を持ち上げ、ホリエモンが世間を賑わせたら彼を凄いという。

単なる後追いなら誰でもできるというわけだ。

エフェクチュエーションは、そこを逆手に取った。

科学は原因があって結果がある。基本は因果論(コーゼーション)だ。しかしサラスバシーは、コーゼーション以外の領域を開拓した。

エフェクチュエーションが有効な領域は以下の3つ。ここでは従来のやり方が役に立たない。

1
ナイトの不確実性。

法則や統計を用いても処理できない領域。一切予測不可能な領域。複雑性とも異なりそうだ。

2
ゴールの不確実さ。

野望はあるがゴールがない。そのような領域。起業論らしい話だ。

3
等方位性

物理の用語である。空間の中を自由に物質が動いている状態を想像していただきたい。

皆同じトラックを走っている社会。良い大学に入り、良い会社に入り、良い暮らしをする。そんな直線的な社会と対置されるのが等方位的な社会である。

彼女は社会の捉え方をも根本的に変える。皆が自分の使命を追う社会。エフェクチュエーションが威力を発揮する世界があると提示した。

まさに混迷の時代の理論である。

社会科学の概念そのものを変革してゆく。その様子はセクション2から記述されるという。

楽しみである。

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Hayato  Matsui『逆転人生』共著者
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