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具志一朗と傷を舐め合う #1

格好いい男、格好悪い男


深呼吸学部の学園長、橘川さんに怒られたブログが好評だった。
沖縄に住むクラスメイト、具志さんからメッセージをいただいた。

「俺も同じこと言われたんだ」
「ちょっと話そう」

同じ痛みを持つ者同士、話があう。
もしかして不良グループとは、こうして形作られるのかもしれない。

学級委員だった僕が、なぜこうなってしまったのか。
自らの髪を鏡で見ながら、時々反省する。

格好悪い男

AM10:30、話をさせていただいた。

具志さんは沖縄の読谷村在住。
不動産会社を経営する傍ら、さまざまな事業に興味をお持ちだ。

「動く本屋さんをやってみようと思うんです」
「そこで橘川さんの本を売って、読者にラジオや、ツイッタースペースのゲストに出てもらいたい」

具志さんは「FMよみたん」のパーソナリティもされている。

僕は静岡県で、小さな学習塾と起業家研究をさせて頂いている。

実は昨夜、怒れる男橘川さんの出版イベントがあった。4人のスピーカーがいらっしゃり、主役は1時間遅れ合流。

空海や次世代の大義、橘川さんの新刊の話。クリアな音声に乗せながらも砕けた雰囲気。居酒屋トークの暖かさがあり、真剣な場でもあった。

「格好いいなぁ、この人たち」

僕もまた始めよう。
そう思った。

起業家は酒場で学ぶ


勉強には表通りでなされるものと、裏通りでなされるものがある。

学校を馬鹿にしているわけではない。どれほどAIが発達しても漢字の暗記は必要だ。

表通りの学びで顧客を創造できるかと言うと、そうではない。路地裏で恥を晒し本音を聞かねば。表通りの綺麗な建前だけでは駄目だ。

具志さんは、路地裏の話をする人だと直感した。
だから会いたかった。

zoomで顔を合わせたことはあるが、話すのは初めて。
だが大丈夫だと思った。

「サラリーマンを辞めて自分で事業を始めてさ、病気のように本を読み漁ったんです」
「一日三冊のペースで」
「不安でしてね」

「資格の勉強はずっとして、保有数を数えたこともないくらい」
「本と資格って勉強の種が違いますよね」

内々で認められる学びと、未知に挑む学び。
本物の本は冒険者が書いている。
だから違う。

「これまではシステムを維持する学びが重宝されてきた」
「弁護士もMBAもそうだ」
「奴らが高級取りだったんだよ」

「だけどさ、システムの維持はシステム自体がやるようになっちまった」
「Chat GPTから、な」

橘川さんがこう話をしてくれた。

「彼は先を行き過ぎてる」
「でもね、、」

「橘川さんがしたことを5年後に真似すると、大金持ちになれるって話があるんですよ」
「ふふふ」

と、具志さんが笑う。

「う〜む」
「本当かもしれない!」
「もちろん、、」
「・・・・」
「まったく興味ないですが」

生徒愛は金ではなく塾は天職だ。ヒントは求めても本腰ではやらない。

具志さんも、勿論カネではない。

「お前が誰か、分かんないんだよ」

橘川さんにこう言われた。
僕もだ。

実は、起業家になるために最も重要なものが分かっている。

「私は誰だ」

この問いだ。

我々の死活問題。

「色々な事業に手を出し過ぎてるのかなぁ」

と具志さん。

「そう言えば僕の先輩で、ドラッカーおじさんって呼ばれている方がいらっしゃいます」

「ほほう」

「ずっとドラッカー、ドラッカーとおっしゃっるんで、そう愛されてるんです」
「僕も『勉強大好きおじさん』ってキャラに変えようかな」

まず、まともな髪にせねばならないだろう。

「でもさ、橘川さんだって色々やり過ぎてるじゃん」
「的を絞れ、ってことじゃないのかも」

「しゃべることは大好きなんだ」
「ラジオで話して仲間になって、ツイッタースペースも最高でさ」

具志さんは本当に楽しい。
沖縄人の優しさと知性があって、本音の話もしてくれる。

彼は酒場で学ぶ人、裏通りの冒険者。

「突然だけどさ、、」
「魚ってえら呼吸じゃん」

なかなかの突然具合である。

「ええ」

「好きなのに話をしないってさ、えら呼吸なのに丘で生きてるのと同じだと思ったんだ」

「分かります」
「僕から文章を取り上げられてもそうですし」

これからの世界は、住む世界を探してさすらわねばならない。

新しい時代の人間は、えら呼吸なのに丘で生まれてしまう。

デザイン思考



奥出直人先生の『デザイン思考と経営戦略』の一節を思い出していた。

我々はどのような世界に住むべきか。
自分の関心のあることで、心から信じていることはなにか。

それを文章にするように。

21世紀、イノベーションが大きな産業になるのは、ユーザーのライフスタイルを大きく変えたとき、、、

あるいは、変わりたいと思っているユーザーの気持ちにイノベーションがヒットしたとき『だけ』である。

『デザイン思考と経営戦略』(165page)


あなたのカナンの地はどこか。


僕が住むべきは、居酒屋かもしれない。
心から信じていることは、路地裏の本音。

「未開の地の指針は変わっても構わない」とデザイン思考は教える。指針とも人とも市場とも、すべてと対話しすべてが変わってゆくのだ。

橘川さんは新刊でこう警笛を鳴らした。

「社会は家をなくした」

いや、無くしたのは路地裏だと思う。

・砂場
・駄菓子屋
・宗教
・政治
・本、雑誌
・大学
・新宿ゴールデン街

「行き先がないことと、帰り道がないこと、どちらが君は寂しい」

遥奈『HOPE』

崇拝するアーティスト、遥奈が歌っていた。
前に進むことに焦り、帰り道を失った。


表通りは進むためだけの道だ。
路地裏へ逃げろ。

そこへ行けば、お前が誰か分かる。

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