白でも黒でもなく、グレーで。
“とりあえず、わたしが目下一番びくびくしているのは、次にオフラインで山本さんに会う機会が来ること。 まともに話せる気がしない。”
気づいているかはわからないけど、なるべく私は kuroda と直接話すのを避けるようにしている。嫌いってわけじゃないんだけど、kuroda があまり対面での話は得意でないと知っているし、テキストでやりとりした方が "kurodaらしい" 回答がでてきやすかったり、言いたいことが言えるような気がするからだ。
「テキストばっかりで回りくどい」「一回直接話して、議論したらいいじゃん」って意見が聞こえてきそうだけど、私はそうは思わない。多分 kuroda は優しいから、対面で!と私が言い出すと気を遣って時間を作ってくれると思うけど。誰かのやりやすさが、別の誰かのやりにくさを生み出すのであれば、それは全体としてはゼロサムであって、全く何も生み出していないのだと私は思う。
でも、かといって私は優しいだけの人間ではないから、時々、人見知りを爆発させているkurodaを捕まえては、ベラベラと話をするのが好きだったりもする。これは優しさではなく、私の単なる意地悪な子ども心がそうさせる。少しだけサディスティックに、kuroda の個性を笑い飛ばせば、人見知りも盛り上がる話のタネになるんだぞって思ったりもしている。
---
大丈夫じゃないのは、不意の雑談だ。想定外のシーンで知人と出くわすのがとにかく苦手。前職の時、同僚とエレベーターで一緒になるのが嫌すぎて、9階のオフィスまでいつも階段を使っていた。
話かけるなオーラを出すのは難しいから、ヘッドフォンとかでもう耳ごと隠してしまったらいいんじゃない?ヘッドフォンつけて、首でも揺らしてみたら、誰もきっと声をかけなくなるよ。これはおすすめ(私はけっこうやる)
あとは、キョロキョロしないとか。一点だけみてると話しかけにくいかも。あ、でもだめだな。私みたいな空気読めないお喋りタイプはそういうの関係なく声かけちゃうかも。やっぱり一番いいのは、ヘッドフォンをつけて、スマホずっとみてることだな。スマホ横持ちしてるとなおよし。誰も邪魔できない。
---
まあ、なんにせよ、人のことはそんなに興味がないのに、人という存在に悩まされているkurodaの矛盾した心情はとても人間味があって、私は好きだなと思う。白でも黒でもなく、グレー。白にも黒にもなれるが、どちらでもなく、どちらでもないということがグレーの存在をグレーたらしめる。
なんてね。
====
この作品は、共創プロジェクト『不協和音』の作品です。このプロジェクトでは、エッセイを通してお互いの価値観や発見を共有し、認め合う活動をしています。プロジェクトについて興味を持ってくださった方は、以下の記事も合わせてご覧ください