読書メモpart2:マネジメントのための質問力
質問の目的
1.情報収集
分析不要(コンテント質問)
目前に必要
会議のお題など今すぐないと困る
将来に必要
日本出張前に日本の気候を聞くなど将来の準備
好奇心満足
単に知りたいから聞く
分析必要(プロセス質問)
現状把握のための質問
原因究明のための質問
決定根拠を明らかにする質問
リスクへの対応根拠を明らかにする質問
もし実行したらどんな問題が起こり、どんな手を打つべきか?
2.その他
責任追求
失敗をどう思うか?責任を感じているか?などの質問
人間関係維持
ゴルフやサッカーの試合のスコアなど
決断を早める論理的な思考法
EM思考法
・現状分析、原因分析、リスク分析、決定分析の4つの領域に分かれる
質問によって収集できる情報は、たくさんあるが客観的な情報を収集することが肝である。趣味や願望、印象、能力などは日本人が質問しがちな項目。
・原理・法則
・理論、論理、過程筋道
・定量化できる客観的な事実
・定性的な客観的な事実
・主観的な推定
・客観的な推定
・意見
・感情、印象、感想
・相手の願望
・趣味嗜好
・相手の能力 etc
現状分析
質問する際には、YES or NOの2択ではなく、複数を並列させることを許可する質問が大切。
工場をアメリカに建てるべきか?ではなく、工場を建てる際に考えられる懸念事項を複数あげてくれる?など。日常の業務でフラストレーションを感じる場面を思いつくままに言ってみてくれる?
英語では、what are other options? what are other factors のように複数形で表せるが、日本語では、選択肢たちや要因たちとは言わないため、単一回答になりやすい。
原因究明
プロセス質問と最小限のコンテント質問を組み合わせることが鍵である。
因果関係はどうして説明できるか?他に考えられる原因はないか?
決定の根拠
どうしてそれを決めているのか?他に選択肢はないか?副作用があってもそれを決定する根拠は?
リスク対応の根拠
どんな副作用、リスクがあるか?リスクに対してどのような対策が取れるか?どうしてそんなリスクが生じるのか?事前に防ぐことはできないのか?
日本人がよく犯す間違い
責任追求のための質問ばかりになってしまい、次につながる建設的な議論ができない。どう責任を取るのか?どうして期待に応えられないんだ?など
感情的な責任追求型の質問が多い。客観的に、状況を分析し、原因の特定、再発防止策、それに伴うリスク対策など建設的な議論をすべきである。
また、士気不足ややる気がない、特定人物の実力不足など属人的な問題と結びつけがちである。多くは精神論や感情論に基づいており、解決策も一時的で根本的な解決には繋がらない。組織的な構造課題や戦略的な課題を見つけていくことが再現性の高い問題解決に繋がる。
なぜ日本人が質問が苦手なのか?
稲作を中心とする農業共同体の日本は、和を乱すなという考えが強い。何か問題が起きても名人と呼ばれる知識人が解決してくれた。そこで、名人が答えられない論理的な質問をすることは和を乱すことに繋がり、敬遠されてきた。また、日本は鎖国や島国という地理的な特性から海外から物理的に侵略を受けることは少なかった。一方、欧米諸国は、侵略や被侵略を繰り返してきた。しかし、これらの侵略は双方に大きな犠牲を伴うことから、双方が理解できるラショナルなプロセスで物事を収める手法が生まれた。
日本は、戦後GHQに支配された際も実質的に決定権はなく、物事の決定には論理ではなく、あくまでも理解を求めることしかできなかった。そのため、国際社会に理解を求めるといった曖昧な表現が今でもニュースなどで多用されているのではないか?と筆者は述べる。
国際ビジネスで気をつけるポイント
結論に至る道筋を考える
定義の不明確な言葉は避ける
質問は当事者に対して行う
比較対象を誤らない
目的な不明確な質問は避ける
感情・属人的な質問は避ける
プライバシーに関する質問は避ける
感じたこと
日本の教育を振り返ってみても思考力を高めるよりは、知識詰め込み型のメソッドが多かったと感じた。社会人になり、思考プロセスを磨くことを求められるが、20年以上生きてきた思考法を変えることは容易ではなく、苦労している同世代を多くみてきた。OB訪問などを受けていても、会社の残業時間はどれくらいですか?男女比率はどれくらいですか?志望動機はなんだったですか?など基本的には分析不要な質問が、大半で自分自身もそういった学生だったと気付かされた。