華麗なる日々 六日目
ある夜、天満に飲みに出かけた折の事である。『天神橋カレー』という看板を見かける。ちょっとのぞき込むと新しそうな店構え。そうか天神橋筋界隈にもカレー屋はあるか。
翌日、自転車に乗り天神橋筋に向かう。自転車で天神橋筋界隈をブラブラしながらカレー屋を探す回るのもいいのではないだろうか。少なくとも『天神橋カレー』という保険がある。見つからなくてもよさげでなくてもカレー屋を探し回るのを楽しむつもりで自転車を走らせ・・・
天神橋筋8丁目の商店街の端の脇道に『ナミニノカレー』の立て看板を見つける。古ぼけたビルの3F、隠れ家的な、3F建てのアパートのような、もう戦後じゃないってような、今にも洗濯物を抱えてカールを巻いたおばさまが玄関から出てきそうな古ぼけた建物にそのカレー屋はあった。
うん、入らずにはいられない。淀川を渡ってきた私にとっては、天神橋筋に付いてすぐ、散策も何もしてないが、見つけたものは仕方がない。天神橋筋商店街にすら入ってないけど仕方がない。
建物自体はどこにでもある感じの3F建てのアパートである。ただそこに飲食店が並んでいるのが、何とも言えない怪しさを演出してくれる。
中に入ると、意外にも盛況で驚く。ほぼ満員、いやちょうど僕で満席になった。ボロアパートの3Fの謎のカレー屋とは思えない人気である。
内装はアジアの片隅を思わせる如何にもな感じでごっちゃっとさせてあるのが見える。こういうのは好きではない。アジアテイストという甘え。カウンターには不揃いなスプーンが乱雑に突っ込んだ瓶があり雑然さを際立たせる。カレーを注文するとおしばりが出てきたのだが『口八丁』のロゴが。アジアテイストと雑が混乱して甘えを呼んでこうなる。
汗は出るが辛さはほどほどでちょうどいい。ただキーマカレーがモソモソとしてるのが気になる。いやキーマカレーってそういうものだけど、僕はキーマそんなに好きじゃないやと気が付く。ラムだってのもあるのだろうがモソモソ加減がいまいちに思える。とはいえ、これは好みの話だから・・・。
今後は出来るだけキーマは避けよう。