東洋医学は、治療に際して全身のバランス状態を見る
自分を治す力は、もともと自分の中に備わっています。治療は、内在する治す力を引き起こすことを基本とする。そこに東洋医学の在り方があり、その力のことを自然治癒力や自然良能と呼んでいます。
病名を付けない東洋医学
一般に東洋医学では、病名をあまり付けません。
病名が付いているということは、治療方針を立てる上でとても大切なことですが、その一方で、患者という人間全体よりも“病気という部分”に囚われてしまう弊害が起こり得ます。
また、東洋医学は病名が付いていなくても治療が可能です。病気では無いと診断されたにも関わらず、相変わらず不快感があって辛いといった状態(不定愁訴)に東洋医学が有効なのです。
外してはならない”全体のバランス”
では、東洋医学は治療に際して何を見るかというと、外してならないのが全体のバランスです。部分(各部)に現れている症状を調べるのは、全身の調和・不調和を確認するためにあるとも言えます。
全身のバランスが損なわれている場合、”血(けつ)や氣(き)の巡り”に不調が生じます。血は血液、氣は生命体を支えているエネルギーのことです。
この氣血の流れに偏りや滞りが起こると、いろいろな部位に凝りや痛みが現れたり、ほてりや冷えが生じたりするのです。
診断法の中に、手首の内側のところの脉(脈)の状態(強弱など)を診ながら、全身のバランスを調べる脉診(みゃくしん)というものがあります。これは、全身を診断するための東洋医学独自の方法です。
不調和
また不調和は、力が抜けているべき上半身に余分な力が入る一方、下腹にあって全身の要(かなめ)となっていなければならない丹田(たんでん)が威力を失い、中心力が低下した状態を引き起こします。
腰を中心とする動作のバランスが悪化し、肩に力が入って体軸をブレさせながら(体を左右に揺らすなどして)歩行したり、少し押されただけで倒れそうになったり、頭だけのお辞儀になって卑屈そうに見えたりといった“症状”がそれです。
東洋医学の治療家の中に、患者の起居動作にうるさい先生が時々います。それは、こうした様子をよく見ているからでしょう。
バランス状態の悪化は、心理面にも影響する。
身体の凝りは精神の緊張を導き、重心の上がりは冷静さを失わせます。肩や背中、腰などの凝りを取り、丹田に力が込もるよう重心を下げる鍛練を積み、呼吸法によって吐く息が長くなれば、自ずと心身が調和し、幸せな気持ちに満たされていくはずです。
令和5年5月19日発行【林英臣の元氣メール第1442号】
〜密教ヨガに学ぶ神人合一の人生 其の十四〜より
▼合氣は、即生活なり!🥋
痛みや凝り、冷えや慢性的な疲労感などの症状は、バランス回復を図ろうとしている体の反応であり、同時に今のままの生活を続けていてはいけないというシグナル(兆候)でもあります。
症状を改善させるためには、一体自分のどこに偏り(不安定)があり、その原因が何なのかについて、しっかりと究明することが必要です。それによって改善策を立て、運動や呼吸、食事など生活全般を変えていけば、徐々にその効果が現れることになります。
東洋医学やヨガでは、生活の場が病院であり教室となるよう、患者や受講生に指導します。治療院や教室は、毎日通ったとしても、一日のうちの僅かの時間の施術や行法に過ぎません。治療効果を高めるためには、やはり教えて貰った指導を、ちゃんと生活に反映させることが大切です。
「合氣即生活」〜塩田剛三先生の言葉〜
合氣道に塩田剛三という達人がおり、武道界では大変有名な人物です。その塩田先生と、筆者の大和言葉の先生である河戸博詞先生が、旧制中学(東京都立第六中学校)の同級生でした。そのご縁で紹介をお願いし、昭和61年2月11日に浜松で開催された紀元節講演会の講師に来ていただいたことがあります。
塩田先生は、その前日に浜松入りされ実家に泊まられました。そのおり、色紙にサインをお願いしたところ、お名前とともに「合氣即生活」と書いてくださいました。
道場に通う日だけが稽古ではない
武道も、道場に通う日だけが稽古のときではありません。稽古着を着ていないときも、武道家としての気構えや立ち居振る舞いを忘れることなく、生活そのものが合氣となるよう励んでまいります。
合氣の修行は、まさに氣を合わせるところにあり、自分と相手、自分と天地の氣を合わせてまいります。それを、生活に応用せよというのが塩田先生の教えです。
その後筆者は、合氣道養神館の静岡道場(浜松・磐田)で8年間ほど稽古します。そのとき、塩田先生は既に故人でした。
頂戴した色紙「合氣即生活」は、今も自宅事務所に飾っております。
令和5年5月27日発行【林英臣の元氣メール第1443号】
〜密教ヨガに学ぶ神人合一の人生 其の十五〜より
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