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日本国の肇(はじ)まり〜『大國民讀本』を読む〜(8)

では日本国の肇まりは、どうであったのでしょう

我が国では、天照大御神(あまてらすおおみかみ)という宇宙全体を照らすくらい尊い神様が神々を率(ひき)い、高天原(たかあまはら)という高貴(こうき…立派でとうといこと)で広々とした場所で熟議(じゅくぎ…よく話し合うこと)されました。

そして、この世に平和を建設しようという方針を立て、大御神の孫にあたるニニギの尊(みこと)を高天原から降(くだ)らせました。そのとき天照大御神は、次のようなご神勅(しんちょく…神様のお言葉)を出されました。

これを天壌無窮(てんじょうむきゅう)の神勅といいます。
天壌は天地(あめつち)、無窮は終わりのないことです。

「葦(あし、水辺に生える草)が生い茂り、生き生きした稲穂(いなほ)が永遠に実る国こそ、私の子孫が王となる地です。我が孫よ、行って治めなさい。さあ行きなさい。天皇(てんのう)の位が受け継がれて栄えることは、天地と一緒で終わることがありません。」

こうして、天照大御神の子孫によって、日本の国が治められることになりました。我が国をまとめる中心が明らかにされたのです。

そして、天照大御神は三種の神器(さんしゅのじんぎ)という宝物(ほうもつ)をニニギの尊に授けました。ヤサカニの曲玉(まがたま)とヤタ鏡とクサナギの剣(つるぎ)です。

三種の神器の玉は愛情、鏡は誠(まこと)、剣は正義を表しています。
これらの詳(くわ)しい説明は後でします。

ニニギの尊の次はヒコホホデミの尊、その次はウガヤフキアヘズの尊、さらにカムヤマトイハレビコの尊へと子孫が続きます。カムヤマトイハレビコの尊は、初代の神武天皇(じんむてんのう)のことです。

<林英臣の補足>
ヒコホホデミの尊のヒコは日子、ホホは穂穂、デミは出実です(ミは神霊を称(たた)えた音でもある)。日の神である天照大御神の孫として、稲穂が良く出て実る様子を表しています。

ウガヤフキアヘズの尊のウガヤは、鵜の羽でできた産屋(うぶや)のことです。その屋根が葺(ふ)き終わらないうちに誕生した皇子(みこ)であることから付けられた名前です。

カムヤマトイハレビコの尊のカムヤマトは神日本(かむやまと)、イハレ(いわれ)は大和地方の政治の中心地の名、ビコは日子です。神々しい日本の初代天皇として、天照大御神のご精神を受け継ぎ、大和の地で即位することを示しています。

ニニギの尊が降りましたところは、九州は日向(ひゅうが)の高千穂(たかちほ)です。ニニギの尊とヒコホホデミの尊、ウガヤフキアヘズの尊の三者を合わせて日向三代(ひゅうがさんだい)と呼びます。日向三代に続く神武天皇は、日向を発って苦労しながら大和の地に向かいます。

〜『大國民讀本』を読む〜(9)に続く

上記は、昭和2年(1927年)1月25日に出版された、文部省認定・林平馬著『大國民讀本』の内容を、林英臣が、こども向けに“翻訳”したものです。

「戦前は立派だった」いや「戦前はひどかった」、「戦後、日本は良くなった」いや「戦後、日本はダメになった」などと、大東亜戦争(第二次世界大戦)で歴史を前後に区切ることが一般的です。

ところが、『大國民讀本』を読むと、日本は明治から既におかしくなっていたことが分かります。90年以上前の本とは思えない内容が本書に記されているのです。これから取り戻すべき日本の原点が、余すところなく示されていることに読者は気付くはずです。

戦前の日本の実態をよく知り、これから祖国再生を進める上で、心得とすべきことが沢山出てまいります。

昭和に入ってから出版された本ですが、90年以上前の内容ですから古典の意訳に近い作業が必要でした。そこで、子供から大人まで世代を超えて読んでいただけるよう、できる限り分かりやすく書きました。

親子一緒に学んでいただいていただいても、楽しい本になったと自負しています。また、明治以降の日本史を正しく学べる本として、読者のご研究の参考になれば幸いです。

意訳者 林英臣

『大國民読本』を読む〜はじめに〜より(一部追記)



昭和2年に出版された著書ながら、今読んでも新しく、胸に突き刺さる指摘ばかりです。新しいがゆえに、我が国の抱える病巣や問題の根が深いことが良くわかります。

👉戦前の日本が良くわかる本『大國民讀本』

林英臣の元氣メール(メルマガ)」で、こども向けに優しく噛み砕いて連載していた内容を、〜『大國民讀本』を読む〜として刊行しています。

noteで、逐次紹介して参りますが、下記からお求めいただき、共に「日本の原点」を取り戻すべく、ご家族ご友人と学んでくだされば幸いです。

https://hayashi-hideomi.com/books

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