クリスマスのお土産|#才の祭小説
高校2年の冬。
修学旅行の行き先は、沖縄だった。
私にとって
沖縄のイメージといえば、海。
他に、ぱっと浮かぶものは無かった。
4日間の日程で、
決められた内容の平和学習と、
タクシーを使った自由行動。
特に行きたい場所もなく、
クラクメイトの決めたルートを
一緒に回ることにした。
沖縄までの旅路は、飛行機。
はじめて乗った飛行機は
なんだか、ふあっとして
気分が落ち着かない。
到着後、
あたたかい空気の中を歩いた。
12月の沖縄は、春の陽気。
米軍基地を横目に、
私は、うなだれた。
そして、3日間の徹夜が始まる。
初日は、
慰霊碑を見たり、洞窟へ行ったり。
決められたルートを順番に回っていく。
夕食は、ホテルの大広間で、
みんな揃って食べた。
しかし、何も美味しくない。
おかしい…
これが、ホームシックか!!!!
寝る部屋は、1人じゃない。
そこが問題だったのかもしれない。
もう、寝れない。
長い夜を過ごし、
サーターアンダギーを食べ、
バナナボードに乗り、
また次の夜を向かえた。
ホテルのロビーを見ると、
クラクメイトが部屋着で歩いている。
これが普通なのか。
私には、無理だなと思いつつ、
売店のお土産コーナーを訪れた。
日中、いろんな名所に行ったものの、
母へのお土産を決められずにいた。
売店には、よくある
沖縄限定グッズが並ぶ。
そして、目にとまったのが、
ディズニーキャラクターが
琉球王国の民族衣装、
琉装を身にまとったキーホルダー。
これなら使えそうだと思い、
お土産に買った。
部屋にもどり、
朝が来るのを待つことに。
翌朝、美ら海水族館へ向かった。
私は、水系のもの全般苦手。
魚も、イルカも、サメも。
なのに、ついて行った。
そのため、
水族館での記憶は2秒ほどしかない。
ほぼ、気絶していた。
そしてまた、
夜を向かえ、朝が来た。
クラクメイトが
国際通りでお土産を買うと
言うのでついて行った。
私は、あちこち見て回り、
ウロウロしているうちに、
市場へ迷い込んだ。
そこには、
豚足とブタの顔の皮が、
サングラスをかけ、
レイを身にまとい、
決めポーズしている
不思議なものが置いてあった。
『なんやこれ、面白いやん』
思わず、携帯でパシャリ。
さっそく、母に送信。
数分後、
母は、職場で悲鳴をあげた。
そんなこととは、つゆ知らず。
帰宅後、キーホルダーと
お菓子を渡した。
母は、豚にビックリしたこと。
3日間、何も食事を作らず
カップラーメンで過ごしたこと。
職場の人に
寂しいんやろと
冷やかされたこと。
そんなことを話してくれた。
お互い、ホームシック。
なんだか、変だわ。
そして、
このキーホルダーは
15年後の
今も大事に使われています。
おわり
※ノンフィクションです。