「運命を転がる」
今回は旧作から数編。 とても昔に同人誌などに書き散らして忘れていた作品たちです。 「あなたの語る言葉から遠く逸れてゆく快楽」
「スープを運ぶ」
「詩は」
「やがて今」 髪を右手で束ねながら つる植物のたなびく浜辺を歩くと 足裏に熱い砂
「夢見る者へ」 見捨てられたとなじるのは あなたがあなたの主人になっていない証 その小さな体の奥の 閉じた水門を開き 水に満ち満ちた河口に 鴉の大群を置き 背後で赤々と落下する太陽を見送り 独りで誰にも届かない歌をうたえば ゆたかに遊びながらいずれ あなたは他でもないあなたのものになる