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未知な職業スポンジダイバー🌈

まだ、ポリエステル・ナイロン・アクリルといった化学繊維がなかった時代。

ギリシャでは、海底から採取した『海綿』と呼ばれる海の生き物をスポンジとして利用し、体を洗うのに役立てていました。

海綿は、5億年ほど前から存在する海の生き物。

その中でも、『モクヨクカイメン』という極上の海綿は、体中に孔(あな)が開いているクラゲのような生き物で、地中海南東の温かい海に生息しています。

海綿のスポンジは、兜(かぶと)のパッキングや水のフィルターとしても使われ、当時、大変重宝されていました。

ギリシャの海綿産業の中心地は、エーゲ海のドデカネス諸島。

島民は、何世紀にも渡り、海綿を採るために海へ潜り続け、生計を立てていました。

この職業を『スポンジダイバー』と言います。

60代までの成人男性が、この職に就いており、彼らは、『命がけ』で働いていました。

なぜ、命がけだったのか……それは、海へ潜る方法が、『素潜り』だったから。

スポンジダイバーは、重さ約15キロの平石のおもりをつけ、海へ入り、一気に潜水します。

その深水距離は、約30メートル。8階建てビルの高さに匹敵します。

日本の海女(あま)さんのように、2〜5分間海へ潜り、採取した海綿を網の中へ入れて持ち帰るんです。

19世紀半ばに、『スカファンドロ』と呼ばれる潜水服が登場したことにより、海綿産業が盛んになっていきました。

船にホースを繋ぐことで、海底でも呼吸が可能になり、10倍以上の生産量が確保できるようになりました。

ただ、スカファンドロは、ゴム製の素材であったため、水圧に耐えられなかったり、正確な減圧知識もなかったため、事故が多く発生していました。

事故の増加を受け、1882年に潜水服の使用が禁止され、また素潜りの時代へと逆戻りしてしまいます。

そして、20世紀には、赤潮の影響で天然の海綿が死滅してしまい、その影響で、海綿産業は廃業を余儀なくされてしまいます。

その後、他の島への移住を繰り返しながら海を渡ったスポンジダイバーたちが、アメリカのフロリダ州で専門知識を広めたことをきっかけに、再び、海綿産業は発展していきました。

現在は、石油からできた合成スポンジが登場したため、海綿スポンジの出荷量は激減しています。


日本では、あまり知られていない『海綿スポンジ』。

ネットで簡単に手に入りますので、ぜひ使ってみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました🌈

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早坂 渚
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