理容師=外科医?赤白青のサインポールの色にはそれぞれ意味がある🌈
ヨーロッパでは、12~18世紀頃には当たり前にあった『理髪店』。
当時の理容師は、髪をカットしたり髭をシェービングするだけでなく、歯の治療や傷の手当てまで行う『外科医』の仕事も兼ねていました。
中世のヨーロッパでは、主に、
『大学教授』
『サン=コームの外科医』
『理髪外科医』
この3つの職業が傷病人の治療に当たっていたと言われています。
中でも、『サン=コームの外科医』は、あまり聞き慣れない方も多いのではないでしょうか?
いわゆる国王公認の外科医のことで、別名『長衣の外科医』とも呼ばれていた人たち。
それに対し、理髪外科医は『短衣の外科医』と呼ばれ、最初は文字通り理髪のみを生業としていましたが、次第に、外科医としても簡単な治療を行うようになりました。
彼らの治療法の中に、『瀉血(しゃけつ)』と呼ばれるものがあります。
「身体の悪い部分には悪い血が集まる」
こういった考えから、患部の血を抜き取るという、今では考えられない治療法が行われていたんです。
散髪をした後、客の患部を切開して血を抜き取っていました。
その際、患者に棒を握らせ、腕を固定。その棒を伝って、受皿に血が落ちていく仕組みになっていたといいます。
そして、
「術後に、血のついた棒をそのままにしておくのは衛生的に好ましくない」
このような理由から、その棒を赤く塗って使用するようになりました。
その棒は、『理容外科医の棒』と呼ばれ、術後に使う包帯を干す棒としても使われていました。
治療が終わった後、洗浄した棒に包帯を店の軒先に干していると、よく風に吹かれ、棒にその包帯が巻き付いていました。
そのときの赤と白の模様が、日本の理髪店の看板『サインポール』の原形になったと言われています。
その後、1745年に、イギリスで理容師の組合と外科医の組合が分裂した際、外科医は赤白、理容師は赤白に青を加えることが定められたため、理髪店の看板が私たちが知る3色カラーになったのではないかと言われています。
ちなみに、サインポールの色(赤・青・白)はそれぞれ、『赤:動脈』『青:静脈』『白:包帯』の色を象徴したもの。
そこから理容業を営むお店の象徴となったそうです。
日本では、この西洋の影響を受けて、明治時代に開かれた理髪店が理容業の始まり。
明治時代の理髪店について記された文献には、
「店前に赤と青の捩れたる棒、高さ五尺許、項に金の玉を付したる看板を建たり」
このように記載されており、西洋の理髪技術とともにサインポールが店前に置かれていたことが分かります。
当時は、ポルトガルから伝来した砂糖菓子『有平(アルヘイ)』に似ていることから『アルヘイ棒』と呼ばれることもあったそうです。
美容院ではオレンジや緑を使ったサインポールもありますが、理髪店では、今でも赤白青のデザインがそのまま使われています😌
最後まで読んでいただきありがとうございました🌈