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ナポレオンの命を奪った美しい緑色🌈

18世紀後期に、スウェーデンの科学者カール・ヴィルヘルム・シェーレによって作られた『シェーレグリーン』と『パリスグリーン』。

それまでは、主に、植物から作られた緑色の塗料が使われていました。

この緑色よりも非常に美しい緑色であったため、当時の人々は魅了され、スウェーデンからドイツ、ヨーロッパを中心に普及しました。

パリスグリーンは、1808年に生産が始まると、上流階級のドレスや、皇族の部屋の塗料などに使われ、特に当時のビクトリア朝の壁紙に多用されていました。

<ビクトリア朝とは?>
ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の期間のこと。この時代はイギリス史においても、産業革命による経済の発展が成熟に達したイギリス帝国の絶頂期であったとされている。

同時に、ヨーロッパの壁紙産業は飛躍的に成長します。

さらに、安価で生成が簡単に出来たため、緑の染料として人気を博し、それまで利用されてきた緑の染料に代わって、調度品に幅広く使われました。

他にも、ケーキの装飾・子どものおもちゃ・飴・洋服・本などが、綺麗な緑色に変わっていきました。

モネの『睡蓮』や、ゴッホの『ヒマワリ』にも、このパリスグリーンが使用されています。

この塗料に魅了されたのは、フランスの英雄『ナポレオン』も同じでした。

彼は、根っからの緑好きだったことで知られる人物。

敗北者として南太平洋の絶海の孤島『セント・ヘレナ島』へ幽閉された時も、壁一面を緑色にして、極めて豪奢な部屋で過ごしたと言われています。


そんなナポレオンの死因は、一般的に「胃がんのため」とされていますが、これだけではなかったようです。

近年行われた研究で明らかになりました。

ナポレオンの頭髪サンプルから大量の『ヒ素』が検出されたんです。


実はこのパリスグリーン、原料は毒性の強いヒ素。

当時、普及した壁紙や来ていたドレスによって体調を崩す人々が続出し、後に、このヒ素という物質に毒性があることが分かったんです。

壁から剥離した細かな粒子は、空中に放出され、肺に吸収されます。

つまり、壁紙が湿気を帯びたり、カビが生えたりすると、ヒ素が気体として放出されていたんです。

ヒ素との接触は、胃がんのリスクを高めることも分かっています。

さらに、ナポレオンは風呂に入る際、何時間もバスタブに浸かって過ごしていたことで有名です。

もちろん、風呂場の壁紙の色も緑色。

奇しくも、緑色を愛したナポレオンの死因は、その緑色にあったということです。


まさに、時代と共に運命を遂げた人物『ナポレオン』。

もちろん、現在の塗料ではヒ素が含まれていることはなく、今は禁止毒物となっているため、当時のパリスグリーンを購入することはできません。

「綺麗なものには棘がある」

この言葉の信憑性がさらに高まったのではないでしょうか😌

最後まで読んでいただきありがとうございました🌈
 

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早坂 渚
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