ナポレオンの命を奪った美しい緑色🌈
18世紀後期に、スウェーデンの科学者カール・ヴィルヘルム・シェーレによって作られた『シェーレグリーン』と『パリスグリーン』。
それまでは、主に、植物から作られた緑色の塗料が使われていました。
この緑色よりも非常に美しい緑色であったため、当時の人々は魅了され、スウェーデンからドイツ、ヨーロッパを中心に普及しました。
パリスグリーンは、1808年に生産が始まると、上流階級のドレスや、皇族の部屋の塗料などに使われ、特に当時のビクトリア朝の壁紙に多用されていました。
同時に、ヨーロッパの壁紙産業は飛躍的に成長します。
さらに、安価で生成が簡単に出来たため、緑の染料として人気を博し、それまで利用されてきた緑の染料に代わって、調度品に幅広く使われました。
他にも、ケーキの装飾・子どものおもちゃ・飴・洋服・本などが、綺麗な緑色に変わっていきました。
モネの『睡蓮』や、ゴッホの『ヒマワリ』にも、このパリスグリーンが使用されています。
この塗料に魅了されたのは、フランスの英雄『ナポレオン』も同じでした。
彼は、根っからの緑好きだったことで知られる人物。
敗北者として南太平洋の絶海の孤島『セント・ヘレナ島』へ幽閉された時も、壁一面を緑色にして、極めて豪奢な部屋で過ごしたと言われています。
そんなナポレオンの死因は、一般的に「胃がんのため」とされていますが、これだけではなかったようです。
近年行われた研究で明らかになりました。
ナポレオンの頭髪サンプルから大量の『ヒ素』が検出されたんです。
実はこのパリスグリーン、原料は毒性の強いヒ素。
当時、普及した壁紙や来ていたドレスによって体調を崩す人々が続出し、後に、このヒ素という物質に毒性があることが分かったんです。
壁から剥離した細かな粒子は、空中に放出され、肺に吸収されます。
つまり、壁紙が湿気を帯びたり、カビが生えたりすると、ヒ素が気体として放出されていたんです。
ヒ素との接触は、胃がんのリスクを高めることも分かっています。
さらに、ナポレオンは風呂に入る際、何時間もバスタブに浸かって過ごしていたことで有名です。
もちろん、風呂場の壁紙の色も緑色。
奇しくも、緑色を愛したナポレオンの死因は、その緑色にあったということです。
まさに、時代と共に運命を遂げた人物『ナポレオン』。
もちろん、現在の塗料ではヒ素が含まれていることはなく、今は禁止毒物となっているため、当時のパリスグリーンを購入することはできません。
「綺麗なものには棘がある」
この言葉の信憑性がさらに高まったのではないでしょうか😌
最後まで読んでいただきありがとうございました🌈