任意団体の事務を任されたら
私は5年前に会社を定年退職し、友人の紹介で、任意団体の事務長をすることになりました。
事務長といっても事務所にいるのは私一人です。
団体の長からは「経験豊富だろうから任したよ。」と、
前任者からは引継書の準備もなく、「何でも聞いてちょうだい。」と言われました。
前職では営業と企画が主で、事務部門の経験はありません。
聞いてちょうだいと言われても、何を聞いたらいいかわかりません。
ただ一つの救いは、退職後失業手当をいただいている間に、パソコン講座を受講していたことぐらいでした。
ともかく、前任にご迷惑かけないため、目の前にある事務をこなしていきました。
一つの事務を覚えると、その裏付けとなることを参考書や資料で調べました。
今思うと、それでもよかったのでしょうけど、
最初に、大枠で理解していけば、苦労も半分で、もっと楽しく仕事できたなと感じます。
わたしは、同様の境遇に出会った方が、
これからお話しするいくつかの着眼点を、記入した順番で取り組んでいただき、
その上で、その仕事の深堀をしていただきたく、この記事を書きました。
働いているところは、任意団体ではありませんか?
通常、勤務先は、株式会社等、法人がほとんどです。
しかし、少人数で任される事務局は、法人格のない任意団体が多いのではないでしょうか。
連合会等の各地域にある支部、地域の企業が作る法人会などで、
収益事業を伴わない非営利団体がそうです。
私のいる事務所も、まさしくそれです。
株式会社のように、取引を開始する時に会社謄本と代表者の印鑑証明書を持参すればいいのと違い、任意団体の場合は、それに代わる書類を準備しなくてはならず、
苦労する場面が多いです。
労働契約書を読んでみます。
労働契約書で、雇用形態がどうなっていて
社会保険の加入の項目に、何に○が付いているか、確認します。
自分の雇用形態が、労働保険の条件に何に当てはまり、加入対象となったか、調べます。
昨年度の書類をみて、前任者に、どのように手続きをして、申告をしていたかを、聞いておきます。
最終的には、税理士や社会保険労務士に会い、現状の通りでよいか、相談するといいです。
ここまで把握しておくと、一安心です。
会社員の頃は、給料明細にある社会保険料の控除金額をあまり気にせず、内容を調べなかったと思います。
これからは、自分でその手続きをすることになることを、承知しておきます。
一年間通じてどんな事業があるのでしょうか?
事業内容を把握するには、事業報告書を見るに限ります。
事業報告書は、総会資料ですので、なくてはならない書類ですから、大切に保管されています。
その団体が存続するためには、
団体に加入している者(以下、会員)を対象にした研修会、
一般市民を対象にした相談会の開催、
地域を代表する団体への参加・協力、
会員同士の懇親を深めるための懇親旅行などが、企画されています。
その事業をこなすため、役員が任命され、役員会を年に数回、総会が年に一回、行われます。
役員は、自分の事業(あるいは会社)の仕事があり、
任意団体の仕事に割く時間が限られていますので、
事務方としてどのように動いたらいいのか、どんな役割があるのか、理解できてきます。
決算報告書を眺めてみます。
自分がどのように雇われ、何人の役員がおり、どんな事業をしているかわかりましたので、
それを踏まえ、決算書を眺めてみます。
収入が、会費、上部団体からの交付金、前期の繰越金で賄われています。
支出が、行事を行うための会場費等であり、役員の手当と日当であることがわかります。
ここで大切なことは、任意団体は、会員数に関わらず、
団体の活動費(=支出)は、毎年一定ではないか、ということです。
それに対し、その活動費に見合う会員数があり、
収入(=会費)が得られているかどうか、ということです。
情報化社会となり、どの業界も大きな変化があり、
地方経済の趨勢を考えると、どこの任意団体も会員数が減少しているようです。
役員のなり手不足、会員数減により一人当たりの会費負担の増加しているのではないでしょうか。
まずは、会員数の今後の傾向と収入の推移から、
今後の団体のあり方をまず把握しておくことが大切です。
事務所にある書類を確認します。
ここまで話が進むと、事務所に、どのような書類がなくてはならないかわかってきます。
簿書保管台帳が備えられ、基準に基づき保管・処分されているかを調べます。
業務のシステム化がどのくらい進んでいるかを確認します。
会員との連絡方法が、システム化されているかも大切です。
一般の会社と違い、遅れている場合が多いかと思います。
もし遅れているとしたら、それを改善していくことで、
自分自身の仕事が飛躍的に、楽になっていくことを意味します。