見出し画像

リレー写真展"葉山のいとなみ"展 写真家インタビュー vol.5 井島健至さん

====町制100周年記念事業==== 
葉山に拠点を置くプロの写真家8人によるリレー写真展
写真展"葉山のいとなみ"vol.5 井島健至「花はいろ 人はこころ」

2024年11月30日、8名のプロの写真家によるリレー写真展示”葉山のいとなみ”が始まりました!(2025年3月末日まで、詳しくはこちらから)
今回の展示アーティストは、井島健至さん。

井島健至 (Ijima Takeshi)
葉山町堀内在住。横浜市立大学国際文化学部を中退後、渡米。
2000年〜2003年ニューヨーク在住。帰国後、写真家として独立。
神話と文化と身体をテーマに撮影を続ける。

**********************
展示初日、まちづくり館に在廊して下さっている井島さんに、お話をうかがいました。

展示によせて

事務局:さっそくですが、奥さまが高田理事とお知り合いで、そのつながりで、この写真展に参加してくださっているとうかがいました。
井島さん:うーん、たしか長沼ご夫妻(※ハンカチーフブックス主宰)に高田さんをご紹介していただいたのが始まりですね。長沼ご夫妻とは、7,8年前から仲良くさせていただいています。今回の写真展参加のきっかけは、その長沼ご夫妻が取組んでいた葉山町政100周年に向けてのプロジェクト「対話型制作スタイルによる「葉山」のコア・ブランディング」に、カメラマンとして関わるようになったことですね。
事務局:詳しく伺っていいですか?
井島さん:このプロジェクトは、葉山の町政100周年にあわせて、葉山で活動するイノベーターにインタビューし、その対話のエッセンスをまとめてHPで公開するというものなんですが、そのインタビューに同行して対話の様子やインタビュイーの撮影をしているんです。このHPは「nowhere HAYAMA」といって、全体的なオープンは3月末になるんですけど、昨日(1/31)トップページが今回の写真展示に合わせて公開になったばかりなんです。タイトルになっている”nowhere”は、長沼ご夫妻が名付けたんですけど、「ノーウェア」(どこでもない)と言う意味にもなるし、”now” ”here”(いまここ)と言う意味にもなって、どこでもないけど今ここにあるという、禅みたいな考え方を表現してるんです。

展示風景

事務局:そういう考え方と、今回の展示作品がモノクロームであることは、関係がありますか?
井島さん:そうですねぇ、、、先ほどお話しした”nowhere”/ “now” ”here”を一枚の写真として表現するとなると、、といろいろ考えました。そもそもHPの方は、web magazine用にカラーで見やすいように様々なショットを撮っていますが、自分の写真作品として表現するときはモノクロというイメージがずっとありました。場所と人とのつながりを見せつつ時間性=”今ここ”、”一瞬と永遠”を表現するために、色という情報(現代性とか今性を)を削ぐ(”nowhere”)ことで逆説的に見えてくる”now” ”here””をフォーカスして見せられたら、と。今回の展示作品からはそれを感じてもらいたいと思っています。
事務局:その意識は、この撮影されている場所にも関わる?
井島さん:ここに展示しているのは、HPでもメインカットとなる写真なんです。メインカットは、インタビュイーの方を構図の真ん中にして撮影するというスタイルで一貫させたい、と僕から提案したんです。そして撮影場所は、その方とその方の世界観が明確に伝わる場所にこだわりました。

展示作品(©井島健至)

事務局:撮影場所の選定も長沼ご夫妻や、井島さんでされたんですか?
井島さん:それはインタビューされる方によります。こちらがインタビューを通して感じたその人らしいロケーションを提案した方もいらっしゃいますし、インタビュイーの方が「私と言えばここ」と言う感じで決めた方もいらっしゃいます。そして何枚か撮影したものの中から、インタビューを通じて僕が感じた”その方らしい”写真をチョイスさせてもらっています。

展示作品(©井島健至)

事務局:HPはカラー、作品はモノクロと表現方法を変えていらっしゃることについて聞いてもいいですか?
井島さん:HPを見るデバイス(PCやスマホ)の画面だと、風景の中に佇む人ってどうしても小さく見えるじゃないですか?でも、こうやって大きく引き延ばしてプリントすると、僕が伝えたかった、「その人と取り巻く空間との関係性」といったことが同質に捉えていることが伝わりやすくなると考えました。一方で、HPの写真は、HPでの役割がありますから、自分のコンセプトとHPとは別だと思っています。なので、今回この展示のお話をいただけたのはものすごく良いタイミングだったと思ってるんですよね!HPと展示の空間、どっちも見て、この企画を知ってもらえる機会ですから。
事務局:なるほど!本当に、色彩も含めて、HPと写真両方の表現が同時に見られるいいタイミングですね。話は変わりますが、葉山には長沼ご夫妻がいらっしゃったから引っ越されたんですか?
井島さん:葉山の前は金沢文庫に住んでいました。妻の母が金沢文庫で子どもたち向けにデザイン教室(ASABA ART SQURE)を開いていたので、家族でそばに住んで行き来していたんです。その場所には葉山在住のアーティストの方々ががよく来ていたので知り合いになっていて、当時から葉山はとても近くに感じていたんですよね、そうこうするうちに、住んでいた家の都合で新たな家を探すことになり、それならばいっそ以前から暮らしてみたかった葉山に住もうってなったんです。ちなみに結婚式を挙げたのが一色海岸のブルームーンなのです。

奥さまと(事務局撮影)

事務局:金沢文庫もとてもいいところですが、葉山との違いとか感じましたか?
井島さん:うーん。違いと言うか、、、金沢文庫の称名寺のそばにいたんですけど、称名寺自体が国から史跡指定されていますのでその一帯の景観が保全されている稀有な場所で庭園芸術的にも貴重で歴史と文化があるんですよね。その区画は自然と暮らしが調和していて葉山と近いものを感じます。ただやっぱり街全体としてみれば人口も約7倍多く都心へのアクセスがデザインされた都会なんですよね、それに比べて心地よさとか住みやすさは自分たち家族にとって葉山のほうが合っている、と感じています。あと、葉山の方が圧倒的にものづくりや表現者の方が多くて、大事にしているものが共通している方達が多くいらっしゃる印象でその意味でもとても暮らしやすいです。
事務局:ずっといていただけますか?(笑)
井島さん:ずっといたいですね!(笑)妻は陶芸家なんですが窯も備えたので子育てなどで中断していた作陶を再開することになりましたので!
事務局:素晴らしい!奥様のご活動も楽しみです!

展示風景(事務局撮影)

コマーシャルワークの傍、ライフワークとして『祈り』を基点に歴史が重なる神社や巡礼地などを旅して、体感し表現することに取り組んできたという井島さん。葉山にきてからは、過去の痕跡が今を通じて未来につながっていると考えるようになったそうです。「だからこそ、現代に生きるそれぞれの人たちのそれぞれの場所(聖地)で、今まさに生み出されている人生の物語を未来の神話としての写真が撮れたらいいなと思うようになりました」。奇しくも、このプロジェクトのキーコンセプト”nowhere”,”now” ”here”に通じます。「続けているうちに、ライフワークとして特別にしていたテーマが目の前の日常に重なっていくようになってきたんですよね」と語る井島さん、直近の予定は、第12回葉山一色海岸アート展に参加されるとのこと。そこでも、井島さんの目を通して表現される葉山や人の”今ここ”に出会えることでしょう。
時を経て、出会いや思考を経て変化していく井島さんの表現活動のこれからがとても楽しみです。

井島さんの展示は2/14(金)まで、”どこでもない、今ここ”を感じに、まちづくり館に是非、お越しください!

☆販売中☆
・TISSUE vol.3 特集まなざしのいいひと(ハンカチーフ・ブックス編)
                     1,540円(税込)


【展示情報】
井島健至『花はいろ 人はこころ』
(葉山のいとなみシリーズ第五弾)
会期:2025.2.1(土)~14(金)
場所:葉山まちづくり館(葉山図書館2階)開館時間:10:00~17:30
※開館日は、図書館に開館日に準じます。

文責:山本玲子(葉山まちづくり協会 事務局)

いいなと思ったら応援しよう!