"…吸血鬼の仕業に関しては、有名な小説"ドラキュラ"から中世の魔女裁判の…研究書に到るまで多くの文献がある。…しかし私はそれが過去の問題であるとは思わないし、昔の人々が吸血鬼の仕業と呼んだ奇妙な状態によって、ある種の精神障害や、それに伴う肉体疾患を説明できると考えている。イギリスに最初に精神分析学が伝えられた時、私はその研究を始め、ロンドンに設立された診療所の講師となった。間もなく我々精神分析者は、ある患者達を扱うと疲労困憊してしまうという事実に気がついた。厄介な患者というわけではなく、ただ我々を「消耗させる」ので、治療のあと、へとへとになってしまうのだった。電気治療科の看護婦にこの話をすると、彼女は同じ患者達は電気器具を「消耗させ」て、平然として驚くべき電圧を吸収してしまうと語った。 同じ診療所で精神分析の仕事をしているうちに、2者の間に病的な愛情関係がある症例に数多くぶつかった。……治療に来るのは必ず二人のうち消極的な人物のほうで、精神療法によってかなり良くなった。彼らは常に同じ症候群を呈していた。感受性が強く、顔色は青白く、衰弱した容姿で、虚弱体質であり、気が弱く、疲れやすかった。…このような患者の治療では、いつも非常に早く良い結果を得られたのである。しかし奇妙な点は、病的な関係を断つことによって、その関係の強いほうのパートナーは著しく動揺し、半ば虚脱状態になることであった。…支配的パートナーは必ず別離に非常に積極的に反対した。当時私はすべてをフロイト派の心理学によって解釈していたが、別離が病気でないはずの方のパートナーに与える影響を奇異だと思わざるを得なかった。一方が元気になるにつれて、他方の具合が悪くなったのである。……テレパシーや磁性のオーラについての知識があれば、我々にはまだ完全に理解できていない何らかの方法で、親密な関係にある消極的パートナーは積極的パートナーに「漏電」していると考えてもおかしくないと思う。…強いほうのパートナーは…相手の生命力を多少意識的に呑んでいるのである。……しかしこのような症例は、吸血というより寄生といった方が適当であろう。…寄生という用語は、攻撃が無意識的、本能的な場合に用い、吸血という用語は攻撃が故意になされる場合にとっておく方がよいであろう。……ほんとうの吸血行為はエーテル体を投射する力がない限りありえない。…吸血行為の記録文献には幽霊というには、もっと実体を備えたなにものかについての記述がある。" (✷‿✷)思うに、血液そのものも単なる物質ではなく、人体と同じ複雑なエネルギー機能を持つ宇宙的な媒体と思われます。その生理学的面と磁場を内包する量子的な面それぞれを吸う物質的存在又は霊的存在が、記録上に残されています。さらに類推を進めれば、“気”や“生命力”を吸うとは、人間の運命エネルギーを吸うとも解釈できます。フロイト、ユングの革命的心理学の系譜には運命分析心理学を立ち上げた、リポット・ソンディがいます。彼は、その人間の先祖を追跡、分析する事で、先祖と共通の人生運命を強制してくる深層意識領域を想定、治療成果をあげる事で、実証したのです。言うなれば、吸血鬼とは人間の運命を吸い尽くし、人間の霊体を破壊し、吸血(エネルギーを吸う餓鬼的存在)存在を移植感染させる霊的エネルギー&肉体と言えます。先祖から子孫へと寄生する餓鬼界に堕ちた霊もまた吸血鬼の淵源かもしれません。