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『祖父・多田等観が語った チベット密教 命がホッとする生き方』佐藤 伝著より。
“祖父・多田等観が語った チベット密教 命がホッとする生き方
はじめに
祖父が亡くなって約半世紀。着物姿に下駄ばきの飄々とした姿で、ふらりとわが家を訪ねてくる不思議な老人の姿が、今でもありありと目に浮かびます。
祖父の名前は多田等観といいます。秋田県土崎港にある小さな寺に、6男2女の3男坊として生まれた等観は、22歳のとき、たったひとりで1か月かけてヒマラヤの山々を越え、チベットに入国。ダライ・ラマ13世に謁見しました。
そして、そのまま10年間、ダライ・ラマの元にとどまり、チベット仏教の修行をきわめました。片目を失明するほど勉学に励んだ結果、現地の僧侶でも30 年はかかるといわれるゲシェー(仏教哲学博士)の資格を10年で取得したのです。
帰国にさいしては、ダライ・ラマが別れを惜しみ、貴重な宝物を下賜されました。等観がダライ・ラマからいかに厚い信頼を得ていたかがわかります。
帰国後、等観はチベット仏教の学者として、東京大学や東北大学をはじめとするさまざまな大学や教育機関で教鞭をとりました。”
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