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松本山雅全選手個人総括やってみる<FW編>

<個人総括>

■FW

・菊井 悠介

出場試合:32試合(30)、出場時間:2482分
成績:2G3A、警告・退場:4枚・0枚

12人がプロに内定した流通経済大学からのルーキー。高校時代は2トップの1角、大学時代は433の3トップやIHで起用されていたが、山雅にはあまりいなかったタイプのFWでどのように起用されるか?は注目されていた(どちらかというと2トップ想定っぽかったし……)。

しかし、シーズンが始まるとその答えは早々にピッチで出される。開幕戦で後半から出場するとSHの位置からアクセントとして躍動。サッカーIQや技術の高さを見せつけ、終盤にはセットプレーからいきなりアシストを記録。大きな開幕勝利に貢献した。サポ・監督からの信頼も厚く、鹿児島戦以降はコロナ後の八戸戦、出場停止の富山戦以外は全て先発出場とフル稼働した。

これだけの出番を経て、多くのチャンスを演出。攻撃のかじ取りをするだけではなく、時には監督やキャプテンにも自らコミュニケーションを取りに行くなどその大物っぷりもルーキーとは思えない堂々としたものがあり、チームの助けになっていたのは間違いない。その点においては後半戦は特に、周りが彼に少し背負わせすぎていた部分はあったかもしれない。

ただし、出場時間ほど数字がついてこなかったのは明らかなマイナスポイント。数字にならなかったアシストも多かったものの、来季はこの数字もついてくるようなアタッカーになりたい。監督が変わったことがどちらの転機になるか。

・横山 歩夢

出場試合:29試合(25)、出場時間:2133分
成績:11G1A、警告・退場:2枚・0枚

高卒1年目だった去年は16試合に出場して513分出場。ゴールやアシストこそ奪えなかったものの、山雅の高卒ルーキーとしては珍しい"即戦力級"の働きを見せる。降格した今年はまずは「初ゴールを奪う」ことが彼自身の目の前のの課題になっていたが、キャンプでのアピールに成功するとコロナでの大量離脱の危機も運よく逃れ、開幕スタメンに。ここでプロ初ゴールとなる同点弾を奪えたところから序盤戦は彼の得点力が爆発。

開幕からの9試合で6ゴールと固め取りをして、世代別の代表にも選出。高校時代から有名な存在ではなかった自身の価値を一気に高め、Jリーグ全体での知名度も格段にアップした。元々ドリブルはうまかったが、ボールの貰い方や裏抜けの技術が上がったこと、そしていわき戦のクロス(1点目)にも代表されるような"その後のプレーの幅"の増加によって、一時は「1人・2人では止めようがない」プレイヤーとして相手に脅威を与え続けていた。

だが、順調だったことばかりではない。八戸戦前の活動停止、愛媛戦での負傷によってその後の試合はコンディションがあまり上がってこなかったのは火を見るよりも明らかで、自分では前半戦の感覚でプレーしてても思うように身体がついてこないという時期も長かった。

それによって守備での貢献度の低さや絶好調でない時のプレー選択の課題もより明るみに。前半戦は間違いなく「争奪戦はほぼ確実」という状態だったが、そういう意味ではそこがネックになってくるかもしれない。こうなったからにはここで課題が出たというのをポジティブに捉え、来年はチーム・代表活動ともに爪痕を残せるような充実の一年にしたい。

・小松 蓮

出場試合:28試合(22)、出場時間:1615分
成績:5G1A、警告・退場:1枚・0枚

金沢・山口と3年間のレンタルを経てようやく帰還。
数字にも出ている通り、横山菊井に続くFWとして出場機会を確保すると、3分の2の試合で先発出場を記録した。強烈な武器・個性を持ち、得手不得手もはっきりとしているFW陣の中では異質な存在で、攻守で何でも卒なくこなしつつ、チームのバランスを見て動けるサッカーIQも見せていたように感じる。

特にFWの軸として横山が定着してきたことにより、その相方としてもう1枠を掴み取ったのがこの小松。エースが仕事をしやすいように空中戦で競り合い、ボールを収め、下りてきてはボールを捌き、守備では低い位置まで走り回り、カウンターとなると彼のもとに真っ先にサポートに向かうなど備え持った献身性はもちろん、万能性がうまくマッチしてのこの出場時間となっている。

ただし、先発としての高い貢献度と裏腹に、勝負所で下げられてしまうシーンも多く、宮崎戦のように負けていても交代で起用されないということも。ストライカーとしての評価・数字はなかなか伸びてこなかったのがなかなか悩ましいところだった。2ゴールを挙げた藤枝戦のように手の付けられないプレーを見せることもあるだけに、5ゴール1アシストでキャリアハイという状態は来季で打破したい。

・ルカオ

出場試合:21試合(12)、出場時間:1198分
成績:4G4A、警告・退場:3枚・0枚

わずか4試合216分で0G0Aと不完全燃焼のまま終わってしまった昨シーズン。フルコンディションで稼働すればJ3では別格のフィジカル・推進力を持っていて、他のFW陣を見ても経験の少ない選手ばかりなので(シーズン前の時点では)ルカオの稼働率が山雅の命運を握っていると言っても過言ではなかった。

その中で去年を大きく上回る出場時間を記録。第2節YS戦で山雅での初アシスト、第20節鹿児島戦では初ゴールを決めると4G4A。本格的に稼働したのは後半戦のみだったにも関わらず、(ゴール+アシスト)数は横山、外山に続く3位。守備でも献身性を見せながら、ゴールに直結するようなプレーは安定して見せれていたように思う。

ただこれだけの選手なので、フルコンディションになるまでに時間を擁してしまったのもまたチームとしては痛手だった。監督も熟考したであろう、横山とのコンビネーションは成熟しきれないままシーズン終盤まで来てしまった一方、TPJとのジョーカー起用はハマってたりもしたのでもう少し万全の時間があれば……と思うところではある。人間性も好感が持てて、個人的には長く山雅で見たい選手だが、強烈すぎるその個性が体制変更でどう見られるか。

・榎本 樹

出場試合:28試合(2)、出場時間:598分
成績:4G0A、警告・退場:4枚・0枚

高卒から2年半出番が得られなかった中、監督交代後、昨シーズン終盤に猛アピール。一躍エースとして名乗りをあげた状態で今シーズンを迎えた。しかし、出場数こそ28試合と小松・横山に匹敵するだけの試合数があったものの、先発は2試合のみ。監督からは「お前はうまくない。すごみはある。つぼに入った時の強さはチーム一番」という評価は貰いつつも、結局出場時間は限られてしまった。

その言葉通り、598分で4ゴールは(途中出場からというのはあるが)チームでトップ。特に空中戦やボックス内での強さは秀でていて、愛媛戦の浜崎とのコンビネーションのような一瞬のスキを見逃さないボックスストライカーっぷりはFW陣の中で貴重だった。

その中で先発だったのは横山不在時の今治戦、鳥取戦。先発機会が少なかったのは横山との兼ね合いは考えられるかもしれない。周りを使うというよりは周りに使ってもらうプレイヤーであり、菊井、小松、ルカオ、TPJと比べるとその点が難しかったように思う。ただし来季はボックスストライカーが一気に序列をあげる可能性はある、逆襲のシーズンなるか。

・田中 想来

出場試合:7試合(1)、出場時間:97分
成績:0G0A、警告・退場:0枚・0枚

トップチームに登録していない段階にも関わらず、長野県サッカー選手権決勝でまさかのベンチ入り。そして、途中出場。それだけでもかなり強烈なインパクトだったが、積極的な裏抜けで限りなくガチメンに近かった長野を相手に決勝ゴールを記録。

去年の9月に練習試合に連れて行った時から、トップチームに少しずつ顔を出させるようにしていました。コロナがなければ和歌山や鹿児島のキャンプにも参加させる予定でした。プリンスリーグも何試合か観ましたが良かったですし、練習に合流しても物おじせずにやれていたと思います。彼は耳が良いので、こちらの言ったことに対して100%応えようとするメンタリティー。それから自分の良さを知ってくださいと、自分のクオリティーを出そうとするメンタリティー。本当にポジティブな選手だと感じていた。

https://yamaga-premium.com/archives/277192

というコメントにも表れているように、その後のリーグ戦でも短い時間ながら、2、3人の間を縫っていくドリブルなどで強気なプレーを披露。守備でもしっかりと背後の相手を見ながら、"戻るところは戻る"ようなサッカーIQの高さを見せていた。

山雅の歴史に新たな1ページを刻んだだけでも100点満点と言いたいところだが、リーグで1点でも決められていたら文句なしだったかも。

・戸島 章

出場無し

去年山雅に移籍したが柴田体制からあまり出場機会に恵まれず、名波体制になってからは伊藤翔と入れ替わるように東京Vにレンタル移籍。移籍後も7試合(先発1)103分で1ゴールと思うような結果は得られなかった。オフにはキャンプ目前で契約を更新。

外山のように逆襲を見せたかったが、FWのポジション争いは横山や小松ら生え抜き勢、ルカオのような強烈なアタッカーがいたことで状況は外山以上に難しかった。純粋な総合力を考えるともう少し試合に絡むこともあったようにも思うが、結局出番のないまま夏のウィンドーで表原とともに栃木クラブに移籍となった(戸島のみ期限付き)。

ちなみに移籍後は関東リーグで3得点、全国社会人サッカー選手権大会で2得点と一定の活躍を残す。戻ってくる可能性は限りなく薄いように思うが、献身性としなやかなポストプレー、サイズ感は魅力的。来シーズンはどうなるか。


GK4人、DF13人、MF15人、FW7人の計39人の総括、これにて終了(ドンちゃんだけご容赦を……)。なんだかんだ今年も多かった!笑

残る人、残らない人、残りたくても残れない人、様々だとは思いますが、今年も1年ありがとうございました!お疲れ様でした!

今後のプロ生活に幸あれ!

END

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