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讃岐戦プレビュー~いざ新たな船出へ~

明日はいよいよ待ちに待ったJ3での初戦。

当初は入門ガイドにささっと書き加える程度にしようかとも思っていましたが……開幕戦ということもあってがっつりめにプレビューを。

(もちろん入門ガイドも読んでもらえると喜びますが)

今回は山雅視点、讃岐視点、さまざまな視点から10のポイントにまとめてみました。

讃岐戦の10のポイント

■ポイント①過去最高に読めないチーム状態

長かったキャンプを終えて、各チーム特に重要度・注目度の高いのが開幕スタメン。その予想を難しくしているのがなんといっても某ウィルス。

誰がコンディションが良いのか?どういう取り組みをしているのか?があまり見えてこないので驚きの人選があっても不思議ではない。そもそも誰が本命なのか分からないポジションもある。

また今回はスタメンが発表された際に3バックになのか?4バックになのか?も注目ポイント。試合が始まってみないと並びが分からない……なんて可能性もそれなりにあるだろう。

■ポイント②開幕スタメンは?現時点で固いのは4人?

選考の基準だが、基本的には"現在のコンディションを重視した上での"ベストメンバーという側面が強くなるはず。

その中でも"よほどのことがなければ開幕スタメンは固いだろう"と個人的に考えてるのは4人のみ。名前を挙げると「ビクトル・橋内・前・パウリーニョ」である。

実力はもちろん、共通して言えるのはチーム内でのキャラクター、立ち位置、あとは獲得経緯など……。ただ仮にこの4人が固いとしても"前がどこで起用されるのか"という新たな問題が発生する。これに関しては他の選手との兼ね合いも大きいはずなので人によってバラけそう……。

ちなみに自分が好き勝手に考えた予想スタメンも添えて

※他媒体を確認前に作ったのでその点は悪しからず……

■ポイント③2トップの組み合わせ

大前提としてまだ2トップと決まったわけではないが……スタメン予想の難関ポイント、かつ人によって意見が分かれそうなのは2トップの人選

最終兵器ルカオ、名波体制で得点王の榎本、キャンプでも存在感を示している快速横山、TM第1号の小松、最も経験のある戸島、トリックスター菊井……ほんとに読めない笑

そして、この2枠争いは個人戦ではない。ユニット重視の傾向が強いので"状態の良い2人が起用される"のではなく、"どの組み合わせをスタートに持ってくるのが1番「効果的」なのか?"という要素が強くなるはず。開幕スタメンを掴み取るのはどのユニットか。

■ポイント④若手は特に負けられない

名波監督就任から「3週良かった若手は試す」ということを公言。実際去年もそこから榎本や稲福、山田ら前半戦出番のなかった選手にもチャンスが回ってきている。開幕からメンバーは流動的になることが予想されるが、キャンプでも好アピールを稲福や横山、二ノ宮のような選手たちはいきなり起用されても不思議ではない。

だが、そんな山雅の若手陣もこの試合では文字通り「若手ではない」。若返りの進む讃岐の平均年齢はJリーグで最も若い23.6歳。山雅だと宮部・野々村・米原・小松が23歳にあたる。さらにJリーグの経験だとこれらの選手よりも浅い選手ばかりなので山雅でいう「若手」たちもそこへの意識は強く持って臨みたい。

■ポイント⑤トランジション勝負にどう付き合うか

讃岐の西村監督は新体制発表会から"攻守の速い切り替えや長い距離のスプリント"をポイントとして掲げており、「攻守の切り替えの速さがリーグナンバーワン」と称されるサッカーを目指している。

対して山雅もそこは磨いてきた点。キャンプのテーマでもある「球際の激しさや最後まで走り切る走力、ピンチで体を投げ出す泥くささといったハードワークの部分」は負けてはいけない。途中の中断があったのが気がかりではあるが、そこは言い訳にはしたくないはずなのでバチバチにぶつかりあってほしい。

だが、同時に「球際勝負にこだわる必要はない」場面もある
キャンプでやってきたストロングの部分でぶつかり合うのは讃岐側にとってはやりやすくなるだろう。山雅のこれまでの戦いを考えても、そうしたチームの足を止めるためには「体力」よりも「思考」を追いつけなくすることが有効だったりする。

若さを武器にハードワークでぶつかってくる相手に対して、試合の流れを読みながら自分たちがいかに試合をコントロールし、それをいなしていくか?はJ3で戦う上でも重要になってくるだろう。

■ポイント⑥ビルドアップの立ち位置は?

ここ最近サポーターをざわつかせている「4バックは成功するか?」問題。これまでの失敗があるのと過程が見れない状態にあるのでサポは気が気ではないのは当然だろう。

ただこれまでの「名波体制後の戦い」やキャンプでの「CBのSBコンバート」「縦ずれ横ずれの植え付け」などを総合的に加味すると、これから進められていくのは「CBのSB化」⇔「SBのCB化」(=HV化)になってくるはず。

<3→4>

<4→3>

去年の4バックチャレンジは前年の形とは違った戦術・メンバーで行っていて"線"で繋がっている感じはあまりしなかったが、今回の場合は去年からすでに宮部をタッチライン際に立たせたり、CBを肩上げしてオーバーラップさせたりとチャレンジはさせており、後方のメンバーもほとんど残留させたことで"線"は見えている。

話は逸れたが、端的にいうとこの「縦ずれ・横ずれ」と「左右CBのSBロール」が完成すれば3バックだろうと4バックだろうと"システムはそれほど関係ない"という状態になるのではないかと思う

問題はどれだけすぐにそのレベルまで移行できるか(できているか)。
開幕戦ではボールを保持する時間は出てくるはずだが、左右のCBは特に保持時にどういうポジションを取るのか?には注目したい。

■ポイント⑦最多クロスWBを離すな

ここからは讃岐の分析も踏まえて。昨年讃岐は3421、352を用いていたがFWを多く獲得したのでシステムは352と予想。

昨年の讃岐のストロングポイントの1つとなっていた左右WB。右の川崎は3G3A(共にトップタイ)、左の薩川は2G(4位)2A(3位)、さらにラストパスでも薩川が1位、川崎が4位と讃岐はWBが関与してのシュートがとにかく多い。特にクロス数では川崎がリーグ全体で3位、薩川が8位とリーグトップクラスの数字を記録しており、とにかくガンガンクロスを入れてくる(※ちなみに薩川は今オフに鹿児島に移籍)

個人的にはJ2・J3の違いの1つとして「サイド攻略にかける工数(手順)の違い」があると思っていて、J2では"工数をかけてでも相手の守備陣を崩して相手のマークのズレを作ってクロスを入れる"のに対してJ3は"崩しきらないでもクロスを入れることで、中の人数を確保する(=事故を起こさせる)"ことが多いように感じる。

讃岐は特にその傾向が顕著で、両WBにボールが入ると周りの選手はその選手に任せ、ボックスに入る傾向にある。故にドリブル突破が難しければアーリークロスも多くなり、クロス数も増えやすくなる。その結果、中が合わせられず、結果的に"WBtoWB"でシュートまで繋がるケースも。

山雅としては対面のWBの選手が相手WBにクロスをあげさせない距離に寄せ、それにより最悪ドリブル突破されかけるリスクがあっても悪い体勢でクロスをあげさせるような距離感を意識したいところ。

■ポイント⑧勝負の分かれ目になる?アンカー鯰田

352のアンカー役には組み立てが得意で展開力のあるタイプを置いており、今年もそれは継続されると予想される(山雅でいうとIHに動ける選手を置いて、アンカーに佐藤和弘を置くイメージ)。恐らく仙台大からのルーキー鯰田かCBも兼任していた西本が置かれるのではないかと思う。

先ほど、ポイント⑦にあげたWBに敵陣でボールを展開したり、裏のスペースにボールを入れる役割を与えられているだけではなく、自陣からのビルドアップでも3CBからボールを出し入れすることが多いのでアンカーの選手に自由に展開させないことが重要になってくる。

と同時に高い位置からの奪取を狙う山雅にとっては最大の狙い目になるポジションでもある。ここから縦に早い攻撃を繰り出してゴールに迫る……そんな攻撃が一番の近道になるかもしれない。

また保持の際にも去年の讃岐はアンカー脇は使われがちだった。このスペースを埋めたいがためか、2ボランチにすることもあったのでそこには引き続き不安がありそう。噛み合わせ的に突きやすくなっているのでやるかやられるかアンカー周りの攻防にも注目。

■ポイント⑨進撃の2トップに立ち向かえ

今オフの讃岐の補強で目を引いたのが大型FWの補強。元々、フィジカル系の選手にシンプルに勝負させる攻撃が多かったがここの役割の選手は大幅に入れ替え。栗田マークアジェイ、林友哉が移籍し、代わりにオルンガ2世と期待されたドゥンガ、JFLから松本ら180オーバーのFWを3人も補強。これでもかというほどかき集めてきた。

いくら「ゴール前で負けない!」「競り負けない!」とは言っても多くのチャンスを作られると難しくなってくるので、まずは全体を高いラインに保ち、ずるずると下げることなく、立ち向かっていくことで不要な競り合い・事故を起こさせない方に注力するほうが賢明。

中村駿や岩本ら2列目の選手も仕事がしやすくなってしまうのでできるだけスペースは圧縮したいところ。そこで勝負させなければこの大型FW陣も諸刃になってくる。

■ポイント⑩勝ちグセを取り戻せるのは

J2最下位の山雅、J3最下位の讃岐。どちらも失点はリーグ最多でシーズンを終えた。

それを思い出して悲観的になる必要はないが、今年もなかなか勝てないとその悪影響は出てくるのは避けられないだろう。

いくらキャンプで前向きさや選手同士の一体感を取り戻したとしても、試合で生まれた”負の感情”は試合でしか晴らせないところもあるのでこの初戦でまずは1つ。しょっぱくても、劇的でも、勝てばよかろうもんでも、「公式戦での久々の勝利」にまず何より価値を見出して、J3初勝利をモノにしたい。

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読んでいただきありがとうございました。まだまだ拙い部分も多いかと思いますが今シーズンもよろしくお願いします。

最後に。

待ちに待った初戦に水を差すようですが、今年の山雅はJ2最下位で降格してしまったチームです。誰かのせいで落ちたわけでもなく、去年1年が悪かったわけでもなく、これもまた松本山雅が歩んできた歴史の"1つの結果"と言えるかもしれません。

ただ、そう考えた時にこの"1つの結果"のおかげで、再び挑戦者として這い上がれる、もっと良いクラブを作れる……そんな新しい歴史をこれから作っていけるクラブだとも思います。

J3を戦う上でクラブに関わる人間が同じ矢印をむいていくためにも、相手を、選手をリスペクトし、謙虚に戦っていくメンタリティ、その姿勢を持ち続けられる1年にしていきたいと思います。自分も微力ながら相手の選手・監督などの情報だったり、今の山雅の戦術・狙いなどを共有していく所存です。

その先にはきっとみんなで笑い合える未来があるはず……そう信じています。

さあ、長くはなりましたが……J2昇格に向けて

いい開幕戦にしましょう。

END

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