ソフトバンク川瀬晃の勝ち越し2点打がいつも以上にうれしかった訳
もし今年ソフトバンクがパ・リーグを制することができたら、この7月17日のロッテ戦がポイントになるのでは…。そんな会心の勝利だった。
増田珠の一発で反撃
ソフトバンクが先制するも、先発石川柊太が井上に同点弾を浴び、さらに押し出しや犠牲フライでロッテが3-2と1点リード。ソフトバンクは3年ぶりの1軍昇格即スタメンの増田珠がプロ初安打となるソロホームランですぐ反撃した。
中継ぎが踏ん張る
そして8回にデスパイネが同点ホームランを放つのだが、敢えて触れたいのがリリーフ陣の踏ん張り。石川降板後は武田翔太と松本裕樹が無失点でしのいだ。これが大きい。耐えて耐えて食らいつく。ただ、まだ同点だ。
頼れる2人はもういない
延長に突入したが、10回の表もはや2アウト。バッターはデスパイネだから一発に期待したが、しぶとくライト前ヒット(代走に谷川原)。続く牧原大成は高めの球を弾き返してランナー二塁、一塁とじわじわチャンスが広がった。ここでバッターは途中出場の川瀬晃。去年までなら代打長谷川あるいは川島慶三の展開だがもう諸先輩たちはいない。そう、若鷹自らが結果を出すしかない。ここで外野の間を割るような当たりが出たらすごいよなと夢想したら、川瀬はなんと高めの球を弾き返して外野の頭を越してしまった! 一気に2人が還って2点勝ち越し。ついにソフトバンクが5ー3とした。
首位陥落を回避
いつになく元気いっぱいにガッツポーズした川瀬。どちらかと言えば守備固めの男が殊勲の一打を放った。この日はゲーム差0.5の2位西武が一足先に勝っていたため負けたら首位陥落のピンチだったのだが、川瀬のタイムリーによる2点差でソフトバンクは逃げ切った。冒頭、シーズンを振り返った時ポイントになり得ると書いたのは、こういう背景からだった。
驚いたヒーローインタビュー
何より驚いたのが、川瀬のヒーローインタビュー。リーグ制覇や日本一を目指しているという言葉が、力強くスラスラ出てきた。川瀬はいわゆるレギュラーではない。そんな若手が当然のように優勝を意識した言葉を発する。普段から意識していないとよどみなくしゃべれないはずだ。
コロナ明けでようやく甲斐拓也が復帰したものの、今度は第二捕手の海野がコロナに。嘉弥真も藤井もグラシアルも離脱したままで、本来の戦力がそろっていない。あっさり首位を明け渡していても不思議でない中で、何とか踏みとどまっているのは若手の頑張りがあるからだ。即スタメンの増田がホームランを放ち、さらにアピール合戦が激しくなったが、川瀬もしっかりアピールできた。
世代交代の波、加速中
ソフトバンクにおける、コロナによるピンチは世代交代の波を加速させている。同じしんどいのなら何がしかの副産物を得たいものだ。ソフトバンクは苦境に耐えつつ若手に経験を積ませることができている。それを実感できたからこそ、このロッテ戦観戦後はいつも以上にうれしくなった。