実務編:ハワイに「登記制度」はあるの?
日本では法務局に不動産を登記するシステムがありますね。法務局(もしくは登記所とも呼ばれます)のシステムが一つだけなので、面倒なことはないと思います。
ハワイでもハワイ州に不動産を登記するようになっていますが、システムは1つではないのです。
王政が終わったあと、ハワイ州の不動産の登記制度は1846年に始まりました。
日本で「不動産登記法」が制定されたのは1899年(明治32年)なので、ハワイ州の登記制度の方が50年ほど早くスタートしています。
ハワイ州では最初は全て「レギュラーシステム (Regular System)」で登記が行われました。
1903年に、もっと細かく調査をした上で、もっと厳しい登記ルールを設置することで、権利を保証する「トレンス・システム」と言われる登記システムが導入されました。これは「ランドコート・システム (Land Court System)」と呼ばれています。
ランドコート・システムで登記をすると、証明書(TCT - Transfer Certificate of Titleと呼ばれます)が発行され、この証明書があれば、法律でハワイ州が権利を「保証」してくれることになっているため、導入当時ランドコート・システムに登記を移行したオーナーが多く、今では不動産の40%がこのランドコート・システムで登記が行われています。
このレギュラーシステムとランドコート・システムに加えて、ダブルシステムというものもあります。
例えば、開発会社がコンドミニアムなどを建設するときに複数の土地を買収したところ、その複数の土地のいくつかはレギュラーシステムで、残りはランドコートシステムで登記されていた、という場合は、どちらにも登記をする、「ダブルシステム」という登記方法が取られます。
聞こえはいい「ランドコート」ですが。。。
このランドコート、あまりに規制が厳しく、ルールが細かいので、どんどん手続きが遅れていて、現在ではTCTの発行になんと6年もかかっているのです。
しかも、登記受付の手続きの後、数年待って、やっとTCT発行手続きまでこぎつけたときに、「あれ、名前の記載がルールに準じていない」などという理由でTCTの発行が拒否されてしまうことがあります。
例えば、ミドルネームの記載。時々イニシャルだけ記載する人がいますが、フルネームの記載がないと、TCT証明の発行が拒否されます。
また、結婚しているかどうかの記載がなかったり、結婚している場合に配偶者の名前(それもフルミドルネーム記載)が書かれていないと、これもはじかれます。
はじかれてしまうと、所有権が保証されないということになります。
えええ〜〜〜!
じゃ、どうすればいいの〜〜〜?
そういう時のために、「タイトル保険」というものがあるのです。
このタイトル保険は、オーナーを守るために発行されるもので、不動産を購入する際は必ずこの保険が発行されます。購入時に一回だけの支払いで、所有されている期間中有効です。
この保険料は購入時に売主と買主両方が負担することになっており、保険料の60%は売主が負担します。
購入額が最大補償額となります(保険の種類によって増える場合もあります)。
TCT発行が拒否されたり、何らかの理由で他の第三者が不動産の権利を主張してきたり、以前のローン融資額が記録から消えていなかったり、といった問題が起こった場合、この保険で全てカバーされます。
このタイトル保険も、実は種類が3種類ほどあり、奥が深いので、また別途ご説明することにします。
簡単に購入して登記して。。。とあまりテクニカルなことはご存知ないオーナーが多いのですが、ある程度知っておく方がいいと思います。
何か起こった時にパニックにならずにすみますしね。
私個人的には、このランドコート、もう廃止にした方がいいと思うんですけどね。。。