ビタミンA不足は、ジェンダー問題である
5月14日は「母の日」です。
昨年から、私は母のいない母の日を迎えています。
カーネーションは、母の好きな花でした。
子どもの頃、夕食にカボチャがあるときは、母は必ず言いました。
「色のついた野菜を食べないと、鳥目になる」
「鳥は遠くまで見えるから、鳥目になってもいい」と言ったところ「鳥は夜は目がみえんとぞ。夜に目がみえんごとなる」と脅されました。
それはやばいと、カボチャを食べるようになった気がします。
母の言うように、カボチャやにんじんなど色のついた野菜には、ビタミンAが含まれています。
ビタミンAは、目の中にある網膜の感光物質であるロドプシンを保つ作用があります。
この結果、暗いところでの視力の順応性が保たれます。
このおかげで暗いところでも見えるのです。
ビタミンA不足では、感光物質ロドプシンが少なくなり、夜が見えにくい「夜盲症」となります。
いわゆる「鳥目」です。
ビタミンAは、脂溶性で乳製品や動物の脂や肝臓(レバー)に多く含まれています。
カボチャと同じ色をした卵の黄身にも多く含まれています。
現在の我が国では、ビタミンAが不足するような状態ではありませんが、世界ではビタミンAが不足する国や地域がたくさんあります。
ビタミンAが極度に不足すると、視力だけでなく、免疫機能がうまく働かなくなり、感染しやすくなります。
色のついた野菜や乳製品が不足している発展途上国では、ビタミンAの欠乏症は、常に頭においておかなければならない疾患です。
ビタミンAは、昔は、注射で投与されていました。
1982年に錠剤が開発され、子どもが容易に飲めるようになりました。
このような注射から錠剤への投与形態の進化は、公衆衛生で大きな進展をもたすことになりました。
現在WHOでは、発展途上国でビタミンAのサプリメントの錠剤を普及させて成果を上げています。薬の投与方法は、きわめて公衆衛生的な問題です。
「夜盲症」といっても、あまりピンと来ません。
ネパールで働いたことのある医師の本を読んで、初めて理解しました。
ネパールの高地は、野菜がとれず乳製品も乏しいことから、ビタミンAが不足しており、夜盲症になる人が多いのです。
水を汲みに行くのは夜で、女性の役目でした。
夜盲症に罹っている女性にとっては、とても危険な行為です。
夜道で目が見えず、転倒して怪我をしたり、道を踏み外して命を落とす女性もいます。
ビタミンAのサプリメントの供給は、ジェンダーの視点からも、大変大事な取組です。
https://note.com/haveleo/n/nfc1cf25f3be5