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医学界では植物の種や動物の卵が計測の単位として使われる


計測は医学の基本です。
病変部位については、計測されてカルテに記載されることになります。

メタボ健診が導入されたときに、内臓脂肪の評価を行うために、アナログな腹囲の測定は画期的だったと思います。

腹囲を継続的に計測することにより、経年変化を知ることができ、健康教育的にも面白い試みです。

体重でも、腹囲でも、歩数でも、計測することにより、評価を行うことができます。
数値化が医学の第一歩です。

身体の一部は、長さを測る単位です。

前腕の尺骨の長さは、ちょうど30センチくらいで古代ローマでは長さを測る単位となっていました。
フィートは、足先からかかとまでの長さです。

日本地図をつくるために正確な距離を計測するために、伊能忠敬は歩く歩幅を一定に保ちました。

そのための訓練を行っています。
歩くことで距離を正確に測定することができました。

指の太さは、大人ではそれほど個人差がないと言われています。
このため医学界では、古くから指の太さで臓器や腫瘍などを測定しています。

そのときの単位は、横指(おうし)です。
3横指(さんおうし)と言えば、指三本の太さくらいということが、医学関係者には伝わります。

医学界には、大きさを記述するのにいろんな例えがあります。
身体の一部だけでなく、植物の種や鳥の卵なども使われます。

しかし、現代は、植物や鳥の卵を知らない医師も増えています。

粟粒大という言葉があります。粟粒は「ぞくりゅう」と呼びます。
漢字だと粟の粒の大きさだと判るのですが、口頭で「ぞくりゅう」と言われると、なんのことかわかりません。

今や粟を見たこともない医師もいます。
初めて粟粒結核という言葉を聞いたときに、「結核にも一族とか流派があるのかしらん」と感心したものでした。

レントゲン像で、粟の粒大の陰影がたくさん見える結核のことをいうのだと聞いて、なんだと思いました。
結核菌が血行性で広がるとこうした陰影となることを知りました。

産婦人科医からは、鶏卵大は判るが鵞卵大は判らないという話を聞いたことがあります。
ガチョウの卵など見たことがないと言っていました。

確かに!

母指頭大は、文字通り親指の大きさです。
昔、小林よしのりさんの漫画「東大一直線」で、受験勉強をしていることを「験勉してる?」と言い換えていました。

勉強をしていると答えるときは、「親指大ね!」
検便をもじったギャグでした。懐かしいです。

伊能忠敬先生像

こうしている間に、小説のネタを思いつきました。

あるスパイ事件に関与した二人の人物の会話で「さんおうし」という言葉が交わされていました。
これにはなにか重要な意味があるのではないかと、捜査本部で調べますが判りません。

一体「さんおうし」とは何なのか。
言語学者や民俗学の学者に聞いても、判りません。

迷宮入りとなるところでしたが、刑事がある病院の看護師の会話を耳にしてなぞが解ける。
医学の世界では、横指(おうし)という単位があることが判った。

そこで医学関係者に、狙いを定めて、突き止めていく。
犯人はお前だ!

安易すぎたらすいません。
でも、推理小説で横指という言葉が出てきたことはないですよね。

「三横指の夏」というタイトルはいけるかも。
「コルチヒンの夏」の次に出そうかしら。

夏シリーズで有名になったらどうしょう?
なるわけないか。

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