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マタニティ・マークは、首都圏の鉄道会社がPRをして全国に普及した

21世紀の国民の母子保健の行動計画である「健やか親子21」の話です。

この検討会では、母子保健課長の方針で、毎回委員から提出を受けた資料からドラフトをつくって議論をしました。

よく、出席した議員から「○○の資料が抜けている、とか、○○を事務局はなぜ議題にしないのか?」と指摘されることがあります。

最初の会議に課長から「委員からあらかじめ提出された資料をもとに議論します」と宣言しました。

ある委員から「今回の議題では○○が大事なのに、なぜその資料が出ていないのか?」と発言がありました。

「そんなに大事な事柄ならなぜ事前に委員から資料の提出がなかったのですか。次回会議で委員から資料提出とご説明をお願いします」

課長から切り替えされました。

これをきっかけに、受動的だった委員の態度が変わり、その後の会議では積極的になりました。

健やか親子21の検討会で、妊婦バッチ(マタニティ・マーク)の提案がありました。

日本助産師会の委員からだったと思います。

妊娠初期には周りから見てもわかりませんが、こうしたバッチを身につけたりバックにつるしたりすれば、妊婦だとすぐ判って、席をゆずってくれるとか様々な配慮ができるのでは、という説明がありました。

当初は賛否両論はありましたが、妊婦バッチの創設は、健やか親子21の目標の一つに決まりました。

妊婦バッチを具体的につくることになり、デザインは公募されました。

この選定会議のメンバーに、富山県に出向していた私も選ばれました。

最終的に四つのデザインに絞られて、委員の多数決で選ぶことになりました。

私が投票したものは別のものでしたが、一番票を集めたのが、現在のマタニティ・マークになりました。

2006年から全国の市町村で、母子保健健康手帳と一緒にマタニティ・マークを渡すことが開始されました。

首都圏の鉄道会社がいちはやくPRをしてくれて、これが広く普及するきっかけになりました。

今では、マタニティ・マークは、妊婦にやさしい環境づくりのために広く使われています。

宮崎県立総合博物館に行ったときに駐車場にマタニティ・マークの標識があって、感動しました。

アイデアとデザインがよかったので、公共交通機関をはじめ多くの関係者が採用してくれたのだと感じています。

頭の固い役人が提案する資料からは、決してこうしたマタニティ・マークのようなアウトプットは出てこなかったでしょう。

さらに、私が選んだデザインだったら、これほど広まることもなかった。

「これしかない!」と思ったことだけは覚えております。

ただ、どんなデザインだったのか、今では全く記憶にございません。

宮崎県立総合博物館の駐車場の標識

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